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ロシア人のドタバタ珍道中とノスタルジーを描く 音楽映画『オーケストラ!』
ボリショイ交響楽団の名指揮者アンドレイはブレジネフ政権のユダヤ人演奏家排斥を拒否して、掃除夫に降格される。ある時、パリ・シャトレ座からの公演依頼を目にしたアンドレイは昔の仲間を集めてパリに乗り込むが、バイオリニストのアンヌ=マリーの間に秘められた過去があった。チャイコフスキーのバイオリン協奏曲をテーマにロシア人の珍道中を描くハートフル・コメディの傑作を動画で紹介。コラム『過ぎ去った時代へのノスタルジー』 -
チャーリー・パーカーの伝記映画『バード』 ~酩酊の「Lover Man」 レコーディング秘話
ビバップの創始者で伝説のサックス奏者チャーリー・パーカーの短い生涯を描いたクリント・イーストウッドの伝記映画。ドラマとしての物足りなさは否めないが、演奏は素晴らしく、極上のミュージック動画として楽しめる。酩酊状態でレコーディングに挑んだ『Lover Man』を動画とSpotifyで紹介。阿川泰子のヴォーカル&邦訳と併せて。 -
映画『スラムドッグ$ミリオネア』僕と君の違いは『運』だけ
クイズ・ミリオネアに出場したスラム出身の青年が次々に難問を解いてファイナルアンサーに挑む。貧困、人身売買、売春など、インドの壮絶な現実を背景に、少年達のパワフルな生き様と知恵を描いたヒューマンドラマ。コラム「貧困を生き抜いた兄弟 ~正義に生きるか、暴力に走るか」「僕と君の違いは運だけ」「暴力こそ救い ~兄サリームの生き様」 -
映画『トゥモロー・ワールド』人類の希望とは何か ~EUの未来を予見する
2027年。子供が生まれなくなった世界でセオはアフリカ系女性の護送を依頼される。彼女は奇跡的に子供を身ごもり、出産間近だった。現代の欧州を予見するような重いトーンの近未来SF。コラム「映画が予見したEUの未来と人類の希望」「神なる女体と未来の子供」 -
英国王室が分かる4部作「エリザベス」「ゴールデン・エイジ」「ブーリン家の姉妹」「クイーン」
25歳で王位を継承したエリザベス1世の半生をケイト・ブランシェットが知的に演じる歴史ドラマ。老獪な政治家相手に自らの理想を時、政策決定を下すエリザベスの姿は現代キャリアウーマンにも通じる。 -
死刑制度は本当に遺族と社会を救うのか ~映画『デッドマン・ウォーキング』
死刑囚の精神的アドバイザーを務めるシスター・ヘレンは、死刑宣告されたマシューと面会するうち、死刑が本当に解決策なのか疑問を抱くようになる。一方、我が子を殺された遺族は激しい憎悪をつのらせ、死刑にすべきとの態度を崩さない。死刑囚と遺族感情の間でヘレンは苦悩しながらも、最後までマシューに寄り添うことを決意する。 -
映倫のボカシがぼかした作品の本質 サイコスリラーの傑作『羊たちの沈黙』
バッファロービルは性倒錯ではない。自分自身を嫌って『変身』を望んでいる。推理の鍵となる女装ダンスの場面(被害者の生皮を被って鏡の前で全裸で踊る)に挿入された映倫のボカシのせいで、作品の本質までぼやけてしまった日本の劇場公開版に対する異議を動画と画像で説く。 -
芸術とは己の極限を目指すこと ~映画『Shine』とラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
幼少時から類い希なピアノの才能を発揮したデヴィッド・ヘルフゴッドはラフマニノフの大曲《ピアノ協奏曲第三番》に魅せられ、猛特訓の末、栄冠を手にする。心を病んだデヴィッドは精神病院に入院するが、ギリアンの愛と支えによって再び舞台に返り咲く。実在のピアニストの人生をベースに美しい音楽を絡めて描くドラマを動画とSpotifyで紹介。コラム『芸術家は自分の魂を削って、創作物を作る』 -
WALL-E(ウォーリー)痛烈なる社会風刺と第二の創世記
宇宙コロニーを舞台に、大量消費社会と機械化文明を風刺するロボットアニメの傑作。人々は皆肥大化し、完全自動化された町で、コンピュータに管理され、他人と顔を合わせることもなく、移動マシンに乗って暮らす彼らの姿は未来の人類を思わせる。エヴァを追いかけるウォーリーの行動は町に大混乱を引き起こすが・・ -
映画『野生の証明』と町田義人『戦士の休息』~笑って死ねる人生とは
薬師丸ひろ子のデビュー作『野生の証明』の見どころと主題歌『戦士の休息』から「笑って死ねる人生」の極意を解説。 -
映画『ハミングバード』と償い ~犯罪者は幸福になってはいけないのか
ジェイソン・ステイサムが照れ屋の中学生みたいにポーランド系シスターと可憐な恋を演じる異色のハードアクション。筋肉マッチョながら初めてのキスは純愛全開。心に残る美しいラブストーリー。原題の『償い』に関するコラムと併せて。 -
成就の秘訣は『根気・本気・運気』 フジ子・ヘミングの『運命の言葉』より
波瀾万丈の人生で知られるピアニスト、フジ子・ヘミング氏の著書より名言を紹介。 氏の「正直に生きる」という信条をテーマにしたコラム。 -
映画と原作から読み解く『ゴッドファーザー』三部作 ~人生を支える第二の父親とは
「世の中はつらいことだらけだから、二人の父親に面倒をみてもらわなければ生きていけない。そんな意味合いから、名付け親(ゴッドファーザー)というものが生まれたのです」ドン・コルレオーネと三人の息子らの宿命を描いた名作の世界観を原作の抜粋と動画で紹介。 -
映画『敬愛なるベートーヴェン』と交響曲第9番「合唱付き」~世界で一番幸せな人は初めて第九を耳にした聴衆
難聴に苦しむベートーヴェンと彼を補佐する写譜師アンナの心の交流を描く伝記映画『敬愛なるベートーヴェン』より第九交響曲初演のエピソードを紹介。第九が作曲された背景とシラーの原詩の日本語訳、ドイツ語の読み方、合唱のコツ。「世界で一番幸福なのは初めて第九を耳にした聴衆」というコラム。 -
リメイクの難しさ ~若者に媚びるか、年寄りに忖度するか 映画『ベンハー 2016』
1595年のチャールトン・ヘストン版をリメイクした2016年版は失敗作とも言われるが、制作者のチャレンジ精神とリスペクトが感じられ好感がもてた。リメイクの難しさを綴るコラム『若者に媚びるか、年寄りに忖度するか』と併せて。 -
オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』 Fortuna Imperatrix Mundi おお、運命の女神よ
オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』Fortuna Imperatrix Mundi -おお運命の女神よ の日本語訳とオイゲン・ヨッフム、小澤征爾の名盤を紹介。運命にまつわるコラム、ヴェルディの『怒りの日』と併せて。 -
野獣が『野獣』でいられた時代 ~松田優作の映画『蘇る金狼』
今も松田優作が生きていたら、80年代と同じように人気を博しただろうか。野獣が野獣らしく生きられたのは80年代まで。現代は野獣であること自体が罪である。大藪春彦・原作のハードボイルド映画に関するコラムと作品紹介。 -
リーダーシップとは何か 映画『猿の惑星 : 新世紀(ライジング)』 / 政治とは取捨選択のプロセス
なぜ猿社会のリーダーであるシーザーは長年の友コバの手を離したのか。万人に平等の考えは必ずしも皆を幸福にするとは限らない。政治とは取捨選択のプロセスであるという観点から政治とリーダーシップの在り方を読み解く。コラム『政治とは取捨選択のプロセス』『リーダーに求められる決断力と統率力』 -
”わたし”とは記憶の集積 押井守『攻殻機動隊』が結婚を熱く推奨するワケ
映画『マトリックス』を始め内外のクリエイターに多大な影響を与えたサイバーアクションの金字塔。『人間とは記憶の集積である』をテーマに「わたし」の実存に迫る。生物の進化とは即ち他者との融合であることを、草薙素子の”結婚”から読み解くコラム。『自我は記憶によって形成される / 記憶を変えれば、人格も変わる / 何を根拠に自分を信じるべきか? / 結婚とは「情報と情報の融合」など。 -
悪女 VS キャリアウーマン 事件の印象が証言を左右する 松本清張の『疑惑』
一台の車が埠頭から海に突っ込み、鬼塚球磨子は救助されるが、車内に取り残された夫の白河福太郎は死亡する。前科四犯の毒婦の先入観から、球磨子の犯行という前提の元に裁判が進むが、彼女の弁護を引き受けた佐原律子の鋭い推理により、思いがけない事実が明らかになる。桃井かおりと岩下志麻、二大女優が火花を散らす野村芳太郎監督の傑作。小説と映画の違いを併せて紹介。