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どの国にも誇るべき歴史がある ノルウェー映画『ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち』
13世紀ノルウェーで偉大な王ホーコン3世が謀殺される。次期王位継承者である遺児を守るため、ノルウェー兵士(ビルケバイネル)の二人が雪原をスキーで滑走する。当時の暮らしが垣間見える、疾走感のあるアクション史劇。 -
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』女性と向きあえない男たち
一見クレイジーなナンパ娘・カサンドラには深い心の傷があった。無残な形で将来を絶たれた親友ニーナのために、男たちに復讐していたのだ。そんな中、バイト先で再会した同窓生ライアンと恋に落ち、カサンドラは幸福を掴もうとする。ところが、ライアンの意外な過去が明らかになり……。 現代の性犯罪と男女差別、女性の意識の変化などをポップ... -
ヒポクラテスの誓いと良心の呵責 『殺意の誓約』(2016年)
優秀な外科医フィンヌルは娘アンナの恋人がヤクの売人であり、娘も薬物依存症であることを知って、別れを迫るが、逆に手切れ金を寄越せと脅される。切羽詰まったフィンヌルは、恋人を拉致し、殺害することを計画するが、意外なところからアリバイが綻び始める。 -
両親が離婚しても、家族は心で繋がる ファミリーコメディの傑作『ミセス・ダウト』
考え方の違いから、ダニエルとミランダは離婚する。だが、ダニエルは大好きな子供たちと一緒に過ごすため、上品な英国婦人『ミセス・ダウトファイア』になりすまし、家政婦として出入りするようになる。コメディではあるが、夫婦関係や家族の在り方について問いかける良質なコメディ。 -
老いらくの恋こそ盲目 ~人生の結果をいかに引き受けるか 映画『鑑定士と顔のない依頼人』
美術鑑定士ヴァージルは若い令嬢から美術品の競売を依頼される。顔を見せない依頼人に次第に心惹かれるが、そこには巧妙な罠が仕掛けられいた。老いらくの恋で嘘が見抜けなかった老人の悲哀を描く。 -
生みの母か、育ての母か。親子の絆を描いた TVドラマ『カミヤ・モブリー 私の母は誘拐犯』
少女アレックスは大家族で幸せに暮らしていたが、16歳になったある日、最愛の母グロリアから、「お前は誘拐して育てた子」と打ち明けられる。不安になったアレックスがネットの情報を頼りに生みの母に連絡を取ったことがきっかけで、警察が動き出し、家族の幸福に終止符が打たれる。 -
人生もドライブの如く 心にしみるヒューマンドラマ 映画『しあわせへのまわり道』
映画『しあわせへのまわり道』 作品の概要 しあわせへのまわり道 - Learning to Drive (運転を学ぶ。自動車教習の意味) 主演 : パトリシア・クラークソン(ウェンディ)、ベン・キングスレー(インド系の教官・ダルワーン) しあわせへのまわり道(吹替版) あらすじ 書評家として活躍するウェンディは、タクシーの中で、夫と口論になり... -
空襲で黒い雨を降らせ、戦後はお前達の価値観を押しつけられた ~日米貿易摩擦の米国の贖罪 映画『ブラックレイン』
「お前達は空襲で黒い雨を降らせ、戦後はお前たちの価値観を押しつけた」日米貿易摩擦とパッシングの時代、リドリー・スコット監督が日米の違いと日本の文化風習をドラマティックに描くアクション映画の傑作。 -
いかに戦い、いかに終るか ~良い負け方が明日の道を開く 映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』
氷の男ビヨン・ボルグが前人未踏のウィンブルドン5連覇に挑む。強敵はテニス界の悪童、ジョン・マッケンロー。二人の対決は連続タイブレークにもつれこみ、22分間の死闘を繰り広げる。凄まじいまでのプレッシャーの中、ボルグを懸命に支えるコーチの指導が素晴らしい。 -
アイデアはどこからやって来るのか ~大友克洋の『AKIRA』より
アキラとは、絶対的なエネルギー サイバーパンクで有名な大友克洋のアニメ映画『AKIRA』の映画版にこんな台詞があります。 前にリュウが言ってたわ。アキラって、絶対のエネルギーなんだって。 人間ってさあ、一生の間にいろんな事をするでしょう。何かを発見したり、造ったり……。 家とかオートバイとか橋や街やロケット…… そんな知識とかエ... -
繊細だと絵は売れない 映画『ビッグ・アイズ』
内気な妻マーガレットに成り代わり、口八丁手八丁の夫ウォルターは作者を装って少女画『ビッグ・アイズ』を売りまくるが、嘘は長続きしなかった。派手な宣伝や評判に惑わされずに『真実を見ろ』。絵の中の大きな瞳は見る人にそう語りかけている。映画の見どころと芸術商法に関するコラムを掲載。 -
異文化交流の理想と葛藤を描く 映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』
移民問題に揺れる欧州。高級レストランの真向かいに、まさかのインド料理店。気品溢れる女主人マロリーと香辛料プンプンの移民一家は対立するが、料理を通じて次第に理解し合うようになる。異文化共生について考えさせられる心温まる人間ドラマ。コラム『伝統だけでは廃れる。自己流だけだと伸び悩む』と合わせて -
セカンドレイプと裁判の実態を描く ジョディ・フォスター主演の映画『告発の行方』
世界的な#MeTooに先駆けて、ジョディ・フォスターが体当たりで演じたレイプ裁判の実態を画像付きで解説します。被害者でありながら病院や警察の取り調べでは辱められ、世間には「同意の上」と非難される性犯罪。被害者が圧倒的に不利な中、弁護士は犯人を有罪にすることができるのか。法の盲点を突いた社会派ドラマの傑作。 -
そして女の奇跡が始まる 映画『キャットウーマン』/ ~美と若さの思い込みから自由になろう
化粧品会社に勤務するペイシェンスは美容クリームが副作用を引き起こすことを知った為に命を落とす。だが古代エジプトの猫神から超能力を授かり、強く美しいキャットウーマンとなって蘇る。コラム『美と若さの思い込みから自由になろう』 -
売れない芸人の夢と悲哀を描く 映画『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』
デイブ・グルーシンのお洒落なジャズをサウンドをバックに、売れないジャズ・ピアニストの恋と生き様描く。キム・ベイジンガーのセクシーな歌声が素晴らしい。コラム『思い通りに生きられなくても』 -
飛べない蝶にも意味はある 映画『パピヨン』 ドガは本当に負け犬なのか?
映画の結末については、断崖から飛び降りたパピヨン(スティーブ・マックイーン)が英雄で、島に留まったドガ(ダスティン・ホフマン)は臆病な負け犬という見方が一般的ですが、果たしてそうでしょうか。自身の体力を考え、島で生き抜く決意をしたドガにも矜持はあります。どんな道を選ぼうと、最後まで生き抜けば、それは人生の勝者ではないかというお話。 -
現実社会と魂の居場所 映画『ルートヴィヒ』(2012年)とバイロイト祝祭劇場の旅行記
芸術を愛する若きバイエルン王・ルートヴィヒはワーグナーのオペラに魅せられ、世界平和の為に祝祭劇場の建設を進めるが、臣下の反感を買い、ついには幽閉されて、湖で非業の死を遂げる。だがルートヴィヒは本当に「狂王」だったのか。美しい理想に身を投じた若き王の純粋な魂とワーグナーの関わりを華麗に描いたドイツ映画の傑作。資料として、バイロイト祝祭劇場、ワーグナー博物館、ヴァーンフリート荘の墓碑、ワーグナーの行きつけのレストランなどを写真で紹介。ルートヴィヒの内面に迫るコラムと併せて。 -
人生とは霧の中を走るが如く 映画『ミスト』(スティーヴン・キング原作)
霧の中に奇怪な生物が現れ、人々が襲われる。スーパーに閉じ込められたデヴィッドとビリーは必死で逃走を図るが、一人また一人と命を落とす。疑心暗鬼に陥る人々の心理面にフォーカスした恐怖ドラマ。不条理なエンディングは映画史に残る衝撃である。コラム『人生とは霧の中を走るが如く』と併せて。 -
Witness Me とMy name is MAX の意味『マッドマックス 怒りのデスロード』
マックスはなぜ名乗らなかったのか。名前の社会的意義から理由を考察。ウォーボーイの決め台詞 Witness Me の真意は何か。そこには儚く命を終える戦士たちの命をかけた矜持があった。ディズニーランドで出会った吃音の販売員と身体の不自由を長所に転じてハリウッドで活躍する人々をテーマに、アメリカ流の自立と自由について語るコラムも掲載。 -
毒親にさよなら! 娘の自立を励ます映画『塔の上のラプンツェル』
塔に閉じ込められたラプンツェルは、外に出ることも、外の世界を知ることも禁じられます。母ゴーテルは「お前のため」と言い聞かせ、ラプンツェルを支配しようとします。そこに盗賊のフリンがやって来て、ラプンツェルはついに外の世界に飛び出し舞うが、「支配する毒親」と「支配される子供」の葛藤と自立を描いた良作。画像と動画を添えて解説します。