作品の概要とキャラクター紹介

Introduction

『TOWER』は、旧約聖書の【創世記】をモチーフに、≪天都≫の農園管理人アドナと最下階の天才ハスラー・スティンが、高層ビルの上層に閉じ込められた8千人の市民を救うため、設計図の復元に挑む物語です。
不老不死を求める遺伝子工学の鬼才エルメインに打ち勝ち、TOWERの謎を解くことができるのか。
愛と生命の根源を描く新感覚のSF医療ファンタジーです。

今、悲しい人の物語を書いている。前回は太陽が昇る話だったので、今回は人間の悲哀にフォーカス。不幸ではなく、孤独や痛ましさ、といったところ。不幸に悶える涙は見ていて辛いものがあるが、世を儚んで流す涙は天使のように美しい。私が書きたいのは、そういう涙。彼の瞳は、愛の涙。

目次 🏃

あらすじ

それは生物の大量死から始まった――。

人類滅亡の危機に瀕し、世界の知性が結集して『遺伝子保存プロジェクト』を立ち上げる。

世界最大のサイエンス・グリッド『GEN MATRIX』を駆使して、全生物のゲノム解析を行い、生物データと細胞を『タワー』と呼ばれる超高層ビルの上層に持ち込んで、順次、生物を再生する予定だったが、冷凍睡眠装置の実験中、人類の導き手となる『十二の頭脳』が事故死して、プロジェクトは中断してしまう。

その後、遺伝子工学の鬼才、エルメインが陣頭指揮を執り、8000人の市民をタワー上部に招き入れるが、半閉鎖式生命圏の隔壁を締め切った途端、メインフレームとの接続が断たれ、タワーの設計図も60億のピースに分解されて、人々はタワー内部に閉じ込められてしまう。

脱出する術もなく、物資は次第に失われ、再び人類滅亡がささやかれるようになるが、『エデンの庭師』と呼ばれる農園管理人のアドナは、市民の食を繋ぐため、ゲノム編集による農作物の栽培に打ち込んでいた。

そんな中、最下階の少女が謎の感染症で変死し、執政府に動揺が走る。

真相を究明すべく、アドナは最下階に下りるが、そこで出会ったのは謎の天才ハスラー、スティンだった。

彼らは設計図の謎を解き、人類を解放することができるのか。

旧約聖書の『創世記』をモチーフに描く、新感覚のSF医療ファンタジーです。

Chapter

第1章　GEN MATRIX

生物の大量死から『遺伝子保存プロジェクト』に至るタワーの歴史と、農園管理人のアドナの悲しい定め、最下階の天才ハスラー、スティンとの出会いを描く。

第2章　神の遺伝子

スティンはDNAコドン『エゼキエル』を手がかりにタワーの設計図の復元を試みる。一方、アドナは彼に心惹かれ、救いの手を差しのべようとするが、様々な誤解から気持ちもすれ違う。そんな中、新たな感染症が拡がりつつあった・・。

第3章　楽園

≪天都≫の支配者エルメインの野望を知ったアドナとスティンは、市民を解放すべく、GEN MATRIXの謎に挑む。そんな二人の目の前に現れたのは・・。

試し読み（縦書きPDF）

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B6版。縦書き・2段組。372ページ。
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