社会派ドラマ– tag –
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映画『アイヒマンを追え! 』なぜ戦犯は裁かれねばならないのか
戦後、絶滅計画に関わったアイヒマンは海外に逃れ、身分を偽って平和に暮らしていた。ドイツのバウアー検事長はアイヒマンを法廷に立たせて史実と向かい合うことがドイツ民主主義の礎になると確信し、拘束に執念を燃やす。 -
悪の凡庸さ ~大衆の思考停止こそ社会的罪 映画『ハンナ・アーレント』
第二次大戦中、ナチス高官のアイヒマンは書類に判子をつくようにユダヤ人虐殺に加担した。「命令されたからやった」と無罪を主張する姿に、哲学者のハンナ・アーレントは大衆の思考停止こそ罪悪と説く。大学の講義で語られるハンナの名台詞を紹介。コラム『考えない体臭が世界を破滅に導く』 -
映画『トゥモロー・ワールド』人類の希望とは何か ~EUの未来を予見する
2027年。子供が生まれなくなった世界でセオはアフリカ系女性の護送を依頼される。彼女は奇跡的に子供を身ごもり、出産間近だった。現代の欧州を予見するような重いトーンの近未来SF。コラム「映画が予見したEUの未来と人類の希望」「神なる女体と未来の子供」 -
英国王室が分かる4部作「エリザベス」「ゴールデン・エイジ」「ブーリン家の姉妹」「クイーン」
25歳で王位を継承したエリザベス1世の半生をケイト・ブランシェットが知的に演じる歴史ドラマ。老獪な政治家相手に自らの理想を時、政策決定を下すエリザベスの姿は現代キャリアウーマンにも通じる。 -
死刑制度は本当に遺族と社会を救うのか ~映画『デッドマン・ウォーキング』
死刑囚の精神的アドバイザーを務めるシスター・ヘレンは、死刑宣告されたマシューと面会するうち、死刑が本当に解決策なのか疑問を抱くようになる。一方、我が子を殺された遺族は激しい憎悪をつのらせ、死刑にすべきとの態度を崩さない。死刑囚と遺族感情の間でヘレンは苦悩しながらも、最後までマシューに寄り添うことを決意する。 -
悪女 VS キャリアウーマン 事件の印象が証言を左右する 松本清張の『疑惑』
一台の車が埠頭から海に突っ込み、鬼塚球磨子は救助されるが、車内に取り残された夫の白河福太郎は死亡する。前科四犯の毒婦の先入観から、球磨子の犯行という前提の元に裁判が進むが、彼女の弁護を引き受けた佐原律子の鋭い推理により、思いがけない事実が明らかになる。桃井かおりと岩下志麻、二大女優が火花を散らす野村芳太郎監督の傑作。小説と映画の違いを併せて紹介。 -
映画『ヒトラーの忘れもの』~地雷の地に埋まる戦時下の愛憎
デンマークの海岸に埋設された大量の地雷撤去を命じられたドイツの捕虜と少年兵。それを監督するデンマーク人のラスムスン軍曹の心情を描く良作。デンマークらしい、詩情あふれる海の風景が非常に美しい作品。 -
紛争ダイヤの悲劇を描く 映画『ブラッド・ダイヤモンド』/ レオナルド・ディカプリオ主演
違法に採掘された紛争ダイヤは正規の販売ルートに紛れて、武装勢力の資金源となっていた。貧困、腐敗、少年兵といった社会問題に正面から挑む見応えのあるアクション・ドラマ。美形俳優レオナルド・ディカプリオの転換期ともなった記念碑的作品を動画で紹介。 -
愛と政治のコメディ映画『デーヴ』 ~すべての人に仕事を!
米国大統領のそっくりさんデイブは、愛人と情事の最中に腹上死した大統領の代役を務めるが、持ち前の人柄から国民の信望を一身に得るようになる。だが妻のエレンはデイブが偽物であることを見抜き、芝居も続けられなくなる。爽やかで心温まるコメディドラマの傑作。 -
子供向け ファストフード解説本『おいしいハンバーガーのこわい話』 何を食べ、どう生きるか
世界を席巻するファストフードのフランチャイズ方式はどのように誕生したのか、ハンバーガーやチキンナゲットの肉は何をどのように加工しているのか、事実を淡々と語り、「それでもハンバーガーを食べ続けますか?」と問いかける良書。アメリカの食生活と産業を取り巻く社会問題を分かりやすく紹介。 -
青春と革命は相性がいい 三好徹『チェ・ゲバラ伝』 ~青春期の情熱と信念を貫いて
裕福なアルゼンチンの家に生まれ、喘息というハンディすらもつチェ・ゲバラは南米の貧困問題や独裁に心を痛め、盟友カストロと共にキューバ革命を達成する。青年期の疑問や情熱を生涯持ち続けたゲバラの生涯と感動的な『別れの手紙』を紹介。優れた言論人であり詩人でもあるゲバラの一面が窺える良書。『フィデル・カストロへの手紙~祖国か死か』『両親への手紙~信念を証明する』『不正に敏感であれ』『青春と革命は相性がいい』 -
男女平等より、愛が大事 冴えないジャーナリストと大統領候補のロマンスを描く 映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』
容姿も仕事も冴えない独身ジャーナリストのフレッドは、国務長官で次期大統領候補でもあるシャーロットと恋に落ちる。格差恋愛は選挙戦でも問題となり、二人は別れを余儀なくされるが……次代の恋と男女平等の在り方を軽妙に描いたラブコメディ。 -
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』女性と向きあえない男たち
一見クレイジーなナンパ娘・カサンドラには深い心の傷があった。無残な形で将来を絶たれた親友ニーナのために、男たちに復讐していたのだ。そんな中、バイト先で再会した同窓生ライアンと恋に落ち、カサンドラは幸福を掴もうとする。ところが、ライアンの意外な過去が明らかになり……。 現代の性犯罪と男女差別、女性の意識の変化などをポップ... -
生みの母か、育ての母か。親子の絆を描いた TVドラマ『カミヤ・モブリー 私の母は誘拐犯』
少女アレックスは大家族で幸せに暮らしていたが、16歳になったある日、最愛の母グロリアから、「お前は誘拐して育てた子」と打ち明けられる。不安になったアレックスがネットの情報を頼りに生みの母に連絡を取ったことがきっかけで、警察が動き出し、家族の幸福に終止符が打たれる。 -
セカンドレイプと裁判の実態を描く ジョディ・フォスター主演の映画『告発の行方』
世界的な#MeTooに先駆けて、ジョディ・フォスターが体当たりで演じたレイプ裁判の実態を画像付きで解説します。被害者でありながら病院や警察の取り調べでは辱められ、世間には「同意の上」と非難される性犯罪。被害者が圧倒的に不利な中、弁護士は犯人を有罪にすることができるのか。法の盲点を突いた社会派ドラマの傑作。 -
技術を共有すれば世界戦争は防げるのか? 映画『ジョーンの秘密』
ケンブリッジ大学で物理学を専攻していたジョーンは原子力開発の機密に携わるようになる。やがて研究が原爆に使われ、何十万人が命を落としたことを知ると、ジョーンの心に変化が訪れる。ジョーンの主張は正しいのか? 実際に起きた事件を題材とした歴史ドラマ。 -
映画『アメリカン・スナイパー』は何のために死んだのか ~米軍のアフガン撤退に寄せて
イラク戦争で活躍した伝説の狙撃手クリス・カイルの活躍を描いた伝記映画。クリント・イーストウッドのメッセージが込められた、米国の葬列のようなエンディングが印象的。アフガン撤退の話題と併せて。 -
勝者の語る正義に説得力なし 映画『ジョーカー』とホアキン・フェニックスの魅力
病苦と貧困にあえぎながらも笑いを忘れないアーサー。しかし格差の壁は厚く、仕事も失い、だんだん心を病んでいく。壊れざるを得なかったジョーカーの狂気をホアキン・フェニックスが好演。 -
国家の安全保障か、ネットの自由か 映画『スノーデン』と『シチズンフォー スノーデンの暴露』
『捜査とは人生に立ち入り壊すものです』テロ防止という大義の下に全く無関係な個人の私生活や思想まで覗き見られていることに疑問をもったスノーデンは香港に逃れ、ジャーナリストにNSA(アメリカ国家安全保障)による監視の実体を暴露する。安全か、自由か、すべてのネットユーザーに疑問を投げかける渾身の社会派ドラマ。 -
なぜ小児性犯罪には厳罰が科せられるのか 映画『スポットライト ~世紀のスクープ』
聖職者の小児性犯罪を記事で告発し、隠された真実を世に知らしめたボストンの新聞紙『スポットライト』の記者の奮闘と被害者らの心の傷をリアルに描く秀作。社会コラムと併せて。
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