性とフェミニズム– tag –
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映倫のボカシがぼかした作品の本質 サイコスリラーの傑作『羊たちの沈黙』
バッファロービルは性倒錯ではない。自分自身を嫌って『変身』を望んでいる。推理の鍵となる女装ダンスの場面(被害者の生皮を被って鏡の前で全裸で踊る)に挿入された映倫のボカシのせいで、作品の本質までぼやけてしまった日本の劇場公開版に対する異議を動画と画像で説く。 -
映画『トワイライト・サーガ / エクリプス』に見るアメリカの性教育 ~エドワードが途中で行為を止めたわけ
世界中のティーンの心を鷲掴みにしたファンタジー・ラブロマンス『エクリプス/トワイライト・サーガ 』で、人間の娘ベラとヴァンパイアのエドワードは肉体的に結ばれかけますが、エドワードはベラの身を想って、途中で行為を止めてしまいます。本作が伝えたかった愛の形と性教育のあり方について綴るコラム。 -
側溝男と江戸川乱歩の『人間椅子』 フェチズムの極みは一体化
作家・佳子は不思議な手紙を受け取る。そこには椅子の中に潜んで人間の感触を愉しむ『人間椅子』の愉悦と恋が書き綴られていた。人間椅子の恋の相手が自分と気づいた佳子に驚愕の結末が待ち受ける。椅子と一体化する究極のフェチズムを描いた乱歩の傑作と実在の側溝男の文学的魅力を紹介。 -
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』女性と向きあえない男たち
一見クレイジーなナンパ娘・カサンドラには深い心の傷があった。無残な形で将来を絶たれた親友ニーナのために、男たちに復讐していたのだ。そんな中、バイト先で再会した同窓生ライアンと恋に落ち、カサンドラは幸福を掴もうとする。ところが、ライアンの意外な過去が明らかになり……。 現代の性犯罪と男女差別、女性の意識の変化などをポップ... -
LGBTの違和感とどう向き合うか 映画『ステージ・マザー』の戸惑いと挑戦
聖歌隊の指揮者メイベリンの元に息子の訃報が届く。息子はドラァグクイーンで、ゲイバーの人気者だった。事実を知ったメイベリンは残された仲間を支え、倒産寸前のゲイバーの再建に力を尽くす。希望を感じさせるステージが印象的なハートフルドラマ。 コラム『エルトン・ジョンのベッドシーンまで見たくない』『問題提起にヒステリックになり過ぎではないか?』『世間はLGBTの当事者ではなく、活動家が苦手』 -
なぜ小児性犯罪には厳罰が科せられるのか 映画『スポットライト ~世紀のスクープ』
聖職者の小児性犯罪を記事で告発し、隠された真実を世に知らしめたボストンの新聞紙『スポットライト』の記者の奮闘と被害者らの心の傷をリアルに描く秀作。社会コラムと併せて。 -
極限下の愛と支配を描く 映画『愛の嵐』 ~暴力でしか愛を表現できない男と離れられない女
半裸の少女がナチス将校の衣装をまとい、両手で胸元を隠して、マレーネ・ディートリッヒの曲を儚げに歌う場面で有名。将校マクシミリアンと囚人のルチアは、戦後、見知らぬ他人として再会するが、再び激しく求め合う。『私は第三帝国に仕えたことを誇りに思う。再び生まれても同じことをするだろう』『僕はあえてドブネズミの人生を選んだんだ。夜、働くのには訳がある。光だよ。私には光が眩しいんだ』の台詞が印象的な衝撃作。 -
映画『エイリアン』(1979年) が描く生殖とエロティシズム
エイリアンの造形に秘められた性と生殖のシンボルを読み解く映画コラム。H・R・ギーガーのデザインを中心に、異物としての異星人を描く。 -
映画『SHAME-シェイム-』 愛してはならないものを愛してしまった時
性依存症に苦しむエリート社員のブランドンのアパートに恋愛依存症の妹シシーが転がり込んでくる。渋々面倒を見ていたが、シシーの振る舞いに苛立ち、ついに喧嘩になる。追い詰められたシシーは破滅的な行動に出る。映画の見どころを動画で紹介。コラム『愛してはならないものを愛してしまった時』と併せて。 -
愛する女を箱詰めに 映画『ボクシング・ヘレナ』が描く性と所有 /『エニグマ』サッドネス
女性恐怖症から性的不能となった外科医ニックは愛するヘレナを振り向かせる為、手足を切断して自宅に閉じ込める。最初は拒否していたヘレナも心を開くようになる。【コラム】性は心と体の結びつき~性的不能でも優しく尽くせば。ラブシーンに使われていたエニグマの『サッドネス』と併せて。 -
オスカルは日本の女 実写映画「ベルサイユのばら」評論より ~ジェンダー革命のアイコンにしてはいけない理由
男装の麗人オスカルというイメージから、ジェンダー革命のアイコンのように語られがちですが、オスカルは日本文化に生まれ育った、典型的な日本女性であり、父親から与えられた苛酷な運命を受け入れ、肯定し、自分らしい生き方に昇華した、理想の女性です。実写映画『ベルサイユのばら』特別号に寄稿された虫明亜呂無氏の評論を交えながら、男社会における女性の生き方について解説。 -
竹宮恵子の漫画『風と木の詩』と非実在青少年の性愛について / 性的描写と物語における必然性
少年同士の性的表現で知られる『風と木の詩』は恋する者の心情を描いた名作である。絵だけを取り上げれば不健全とみなされかねない。創作物における性的表現と、物語における必然性について考察するコラム。漫画のあらすじと見どころも紹介しています。 -
池上遼一の耽美コミック傑作選 『肌の記憶』/ 禁欲と抑制の隙間からあふれ出すエロス
悪と快楽が蠢く上海で上流夫人の雅子は泣き息子に瓜二つの少年を世話係に雇い入れる。夫不在の淋しさを癒やすように少年を求めるが、その正体は……。耽美と官能が渦巻く珠玉の短編集。勝目梓の解説『完結と象徴性』、コラム『禁欲と抑制の隙間からあふれ出すエロス』 -
神様の手違い ~男の身体に女性の心が入ってしまった
スティンに「気持ち悪い」と言われたアドナは深く傷つきながらも、彼の身を上を案じずにいられない。その想いを知ったセスは、スティンとの賭け試合を受けて立ち、スティンに真実を告げる。アドナの心と身体の性の違いを知ったスティンは彼の境遇に心を痛める。 -
村岡花子エッセイ集『美しく生きるために』 ~自分の美学を貫くこと
『赤毛のアン』や『フランダースの犬』の翻訳者として名高いる村岡花子氏のエッセイ集『美しく生きるために』から、印象に残った名文を紹介しています。
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