音楽・舞踊– category –
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芸術とは己の極限を目指すこと ~映画『Shine』とラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
幼少時から類い希なピアノの才能を発揮したデヴィッド・ヘルフゴッドはラフマニノフの大曲《ピアノ協奏曲第三番》に魅せられ、猛特訓の末、栄冠を手にする。心を病んだデヴィッドは精神病院に入院するが、ギリアンの愛と支えによって再び舞台に返り咲く。実在のピアニストの人生をベースに美しい音楽を絡めて描くドラマを動画とSpotifyで紹介。コラム『芸術家は自分の魂を削って、創作物を作る』 -
成就の秘訣は『根気・本気・運気』 フジ子・ヘミングの『運命の言葉』より
波瀾万丈の人生で知られるピアニスト、フジ子・ヘミング氏の著書より名言を紹介。 氏の「正直に生きる」という信条をテーマにしたコラム。 -
映画『敬愛なるベートーヴェン』と交響曲第9番「合唱付き」~世界で一番幸せな人は初めて第九を耳にした聴衆
難聴に苦しむベートーヴェンと彼を補佐する写譜師アンナの心の交流を描く伝記映画『敬愛なるベートーヴェン』より第九交響曲初演のエピソードを紹介。第九が作曲された背景とシラーの原詩の日本語訳、ドイツ語の読み方、合唱のコツ。「世界で一番幸福なのは初めて第九を耳にした聴衆」というコラム。 -
オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』 Fortuna Imperatrix Mundi おお、運命の女神よ
オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』Fortuna Imperatrix Mundi -おお運命の女神よ の日本語訳とオイゲン・ヨッフム、小澤征爾の名盤を紹介。運命にまつわるコラム、ヴェルディの『怒りの日』と併せて。 -
抜け出す意思のある者だけが抜け出せる 不遇と幸運の境目 映画『8 Miles』
貧困層と富裕層を分ける8マイル境界線の内側で、生活力のないシングルマザーと幼い妹とトレーラーハウスで暮らすラビット。ライムを作る才能に恵まれながらも、惨めな境遇から抜け出す術を持たない。初めてのラップコンテストで敗北しながらも、ノートにライムを書き綴り、本気で8マイルの外に抜け出す意思を固めていく。不遇にあえぐ若者への力強いエールでもある。 -
自己主張にも言葉のスキルが必要 映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』
ヒップホップを通じて貧困問題や人種差別を訴え、全米の若者の心を鷲づかみにした伝説のグループ『N.W.A』。早逝したイージー・Eや、ドクター・ドレ、アイス・キューブらの青春模様をスタイリッシュなライブ映像で描く伝記映画を動画・Spotifyを交えて紹介。コラム『自己主張にも言葉のスキルは必要』と併せて。 -
アニメ『ファンタジア 2000』『すずの兵隊さん』とショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第2番
クラシックの名曲にのせてディズニーのキャラクターが寸劇を演じるアニメ『ファンタジア』の中でも、ひときわ美しい『すずの兵隊』のエピソード。片足の兵隊は踊り子に恋をするが、邪悪なピエロに邪魔されて、窓の外に吹き飛ばされてしまう。アンデルセンの原作とは異なり、ディズニーらしいハッピーエンドが心に残る名作を動画で紹介。 -
帝王リヒテルのチャイコフスキー『ピアノ協奏曲 第1番』 ムラヴィンスキー指揮 レニングラード管弦楽団
ソビエト出身のリヒテルは欧米デビューを果たすまで伝説的な存在だった。だが華々しい活躍の影には父親を処刑され、母親とも離ればなれになる悲劇があった。激流のような名演で知られるムラヴィンスキー指揮のピアノ協奏曲をSpotifyとYouTubeで紹介。エッセイ『リヒテルの訃報に寄せて』 -
ドビュッシーの名曲『組み合わされたアルペジオ』『水に映る影』『小組曲』『沈める寺』 / 創作「沈める寺」
ドビュッシーのピアノ名曲で特に美しい『組み合わされたアルペジオ』『水に映る影』『メヌエット』『沈める寺』の魅力をSpotifyで紹介。ドビュッシーとアントニオ・ガウディに捧げる短編小説と併せて。 -
僕が死んだら、この曲のように僕を思い出して。ビル・エヴァンスの名曲に寄せて
もし、僕が突然死んだら、この曲のように僕を思い出して。この世に記憶する人が在る限り、その願いは叶うだろう。でも、いつかは、僕を偲ぶ人も消え去る。だからといって、今、生きていることが無意味だとは思わない。僕はこの世の全てを味わうために生まれてきたのだから。 -
明菜 VS 聖子 ~己の全存在を懸けて芸と人気を競った時代
今の時代、「聖子が、明菜が」と言っても、誰の事か、ピンとこない人も多いでしょう。 でも、私たち、バブル世代にとって、二人の対決は非常に意義深いものでした。 単なるアイドルの人気競争ではない、己の全存在を懸けた闘いでした。 どちらが正しいとか、どちらが優れているとかいう話ではなく、例えるなら、『龍』と『虎』。 龍と虎は、... -
楽劇『ジークフリート』昭和の名盤と創作の背景
リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ジークフリート』は、長大な楽劇『ニーベルングの指環』四部作の三作目、「第二夜」として作曲されました。 この『指輪』の長大な物語も、始まりは「ジークフリートの死」であったのは有名な話です。 なぜ、ジークフリートは死なねばならなかったのか? それを掘り下げるうちに、ジークフリートを憎むハーゲン... -
ワーグナー 楽劇『ローエングリン』とペーター・ホフマン ~あらすじと昭和の名盤
楽劇『ローエングリン』の概要 ワーグナー 苦節と栄光 楽劇『ローエングリン』は、ドイツの作曲家、リヒャルト・ワーグナーの代表作で、1845年8月より台本のスケッチを始め、1848年3月に完成しました。 ブラバント公国の姫君エルザは、将来、国の後継ぎとなる弟ゴットフリートの殺害を疑われ、テルラムント伯ゴットフリートと、その妻オルト... -
心に残る演奏を ~吹奏楽コンクールの思い出
夏の盛り、全国高校野球大会が始まる季節になると、世間の目は甲子園に注がれますが、同時期、深く静かに高校生のバトルが繰り広げられる世界があります。 それが、高校野球と同じ、朝日新聞社主催、吹奏楽コンクール。 甲子園ほど話題にならず、陸上のインターハイほど華やかさもありませんが、吹奏楽部員にとっては一年で最もテンションの... -
ラヴェル『ピアノ協奏曲 第二楽章 Adagio Assai』に寄せて ~音色の源泉は魂にあり
ラヴェルの名曲の中でもひときわ抒情的で、夢見るような旋律が美しい『ピアノ協奏曲 第二楽章』。フルートのソロが「愛される演奏」とは何かを教えてくれる音楽コラム。マルタ・アルゲリッチの演奏より。 -
エミール・ギレリスのお葬式とG線上のアリア
エミール・ギレリスが亡くなった時、オーケストラの演奏する「G線上のアリア」に柩が送られてゆくシーンがテレビで放映された。 それまで葬式といえば、黒く、しめっぽいものというイメージしかなかっただけに、この場面はとても印象的だった。 演奏には、一人の偉大なピアニストの死を悼むと同時に、彼に素晴らしい音楽を与えてもらったこ... -
ピアノの演奏と霊媒 『音を表現する』ということ
音楽における表現とは何か。それは作曲家の霊と現し身を結ぶ媒体になることである。吹奏楽の指揮を通して感得した、ピアノ演奏と表現に関するノート。ドラマ『四季 ~奈津子』の「ダイヤモンドの音がした」の名場面と併せて。 -
プロ VS 素人 権威主義・商業主義を生みだす背景
どこの世界にも異端視される人はいますが、ピアニストのフジ子・ヘミング女史は、その最たるものでしょう。 ヘミング女史は、優れたピアニストでありながら、欧州デビューの直前、風邪をこじらせて聴力を失い、数十年を不遇の中で過ごしました。 ところが、NHKドキュメント番組『フジコ〜あるピアニストの軌跡〜』(1999年)が放送されるや否... -
リムスキー・コルサコフの『シェヘラザード』(シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団) ~僕らは音楽で大海を旅する
『千夜一夜(アラビアンナイト)』の語り手、シェヘラザード姫をモチーフとしたリムスキー・コルサコフの名曲を、フランス音楽の名手シャルル・デュトワ指揮&モントリオール交響楽団の演奏で紹介。CDのライナーノーツから作曲の背景。音楽コラム『僕らは音楽で大海を旅する(音楽配信の時代と生演奏の価値)』と併せて。YouYubeとSpotifyの公式リンク有り。 -
クラシック音楽好きな子供に育てたい?
「本好きな子供に育てたい」とか、「クラシック音楽を聴く子に育てたい」とか、高尚かつ上品なイメージで子供に求める親も少なくないと思います。 しかしながら、「さあ、読め。さあ、聴け。これが教養だ。頭がよくなる」とゴリゴリに押しつけたところで、真に素養のある子供には育ちません。なぜって、本当の意味で、子供の想像力や創造力が...