アニメ『ファンタジア 2000』『すずの兵隊さん』とショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第2番

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映画『ファンタジア』について

ディズニーのアニメ映画『ファンタジア』は、クラシック音楽とアニメーションを融合した、極めて芸術性の高い作品だ。

クラシックの名演に乗せて、ミッキー・マウスや愛らしい動物たちが繰り広げる幻想的なストーリーは、まさに「ファンタジア」と呼ぶにふさわしい美しさである。

『ファンタジア』には二種類あり、1940年に製作された『ファンタジア』と、1999年に製作された『ファンタジア 2000』だ。

とりわけ完成度が高いのが、『ファンタジア2000』に収録されたショスタコーヴィチ作曲『ピアノ協奏曲第2番~アレグロ』『しっかり者のスズの兵隊』(アンデルセン原作)のエピソードである。

ここでは、作品の概要と、『すずの兵隊さん』をメインに紹介する。

ファンタジア(1940年)

ファンタジア -Fantasia

監督 : ベン・シャープスティーン

楽曲 :
「トッカータとフーガ ニ短調」(9:22) - J.S.バッハ
組曲「くるみ割り人形」 - チャイコフスキー
「魔法使いの弟子」 - デュカス
「春の祭典」- ストラヴィンスキー
「田園交響曲」 - ベートーヴェン
「時の踊り」 - ポンキエッリ
「はげ山の一夜」 - ムソルグスキー
「アヴェ・マリア」 - シューベルト

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ファンタジア 2000(1999年)

ファンタジア 2000  -Fantasia 2000

製作総指揮 : ロイ・エドワード・ディズニー

楽曲 :
交響曲第5番(ベートーヴェン)
交響詩「ローマの松」(レスピーギ)
ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュイン)
ピアノ協奏曲第2番~アレグロ(ショスタコーヴィチ)
動物の謝肉祭より「終曲」(サン=サーンス)
魔法使いの弟子(デュカス)
威風堂々第4番・第2番・第3番・第1番(エルガー)
火の鳥(ストラヴィンスキー)

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ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第二番と『すずの兵隊さん』

ファンタジアシリーズの中でも、特に完成度の高いのが、アンデルセン原作の『しっかり者のスズの兵隊』(『すずの兵隊さん』『鉛の兵隊』)

ある男の子が誕生日のプレゼントに25人のスズの兵隊をプレゼントされるが、最後の一体だけ、一本足だった。
一本足の兵隊は、紙で作られた美しい踊り子に恋をするが、ある朝、窓から落っこちて、溝に流されてしまう。
様々な冒険を経て、一本足の兵隊は、男の子の部屋に戻ってくるが、男の子は「一本あしの兵隊なんか、いらない」と暖炉の中に兵隊を放り込んでしまう。
それと同時に、風が吹いて、美しい踊り子も暖炉の中に落ちる。
二人は焼けて、身体はなくなるが、暖炉の中にはハート型のすずの塊だけが残っていた……。

ファンタジアでは、ディズニーらしく、ハッピーエンドの物語となっている。
全てが音楽に合わせて、リズミカルに描き、真のクリエイティブとはこういうものだと感嘆させられる。
演奏も美しいので、機会があれば、ぜひ視聴して頂きたい。

ショスタコーヴィチ自身による演奏(全曲)

下記の動画には、ショスタコーヴィチ自身によるピアノ協奏曲第2番の全曲が収録されています。
現代の演奏に比べたら、テンポも速く、鋭い印象があります。

日本軍に敗戦を予感させたファンタジア

これはあくまでTV番組で語られていたことなので、真偽も確かめようがないですが、こんな逸話があります。

第二次大戦中、日本軍が、慰安に向かう米軍機を撃墜したところ、機内から二本の映画フィルムが見つかった。
一本は、『風と共に去りぬ』。
もう一本は、『ファンタジア(1940年)』。
中身を確かめるために、内密に上映した軍の幹部は、「日本人が食うや食わずで戦っている時に、アメリカはこんな凄い映画を作っている。この戦争は負けだ」と痛感したと。

噂話にしても、1940年代には、これほど上質なアニメーションが作られていたのは本当ですし(有名な『白雪姫』は1937年の作品)、日本でカラーTVが普及したのが、1970年代と考えれば、映像文化に差があるのは明白でしょう。

一方、戦後にこうした上質なディズニーアニメを見て、手塚治虫や石森章太郎といった漫画家が生まれ、21世紀には、日本のアニメが世界を席巻するようになった経緯を思うと、感慨深いです。

ショスタコーヴィチの名曲

ショスタコーヴィチの音楽は、どこか、おどろおどろしいので、私自身はあまり好きではありません(^_^;
名曲をあげるなら、つぎの二つかと思います。

二人でお茶を(Tea for Two)

ショスタコーヴィチは、ジャズも手がけており、日本でも『二人でお茶を(Tea for Two)』が有名です。

CMなどでも使われているので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ディズニーのテーマ曲みたいに愛らしい小曲です。

交響曲第5番 

ショスタコーヴィチの楽曲の中でも、特に有名なのが、交響曲第5番のフィナーレでしょう。
冒頭の、ティンパニと木管楽器のトリルは、まるで軍隊の進撃を思わせ、しばしば『革命』の副題で語られることもあります。

演奏者によって、テンポも、曲調も様々なので、聞き比べが面白い曲でもあります。

こちらは、ムラヴィンスキー指揮、レニングラード交響楽団の伝統的な名演です。

2010年3月3日

誰かにこっそり教えたい 👂
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この記事を書いた人

MOKOのアバター MOKO Author

作家・文芸愛好家。アニメから古典文学まで幅広く親しむ雑色系。科学と文芸が融合した新感覚の小説を手がけています。東欧在住。作品が名刺代わり。Amazon著者ページ https://amzn.to/3VmKhhR

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