戦争と社会– tag –
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無名戦士の墓 名もなき祖国の英雄たち ~フランス衛兵隊とオスカルの決意
欧州各地に存在する無名戦士の墓。歴史の書物に刻まれるのは一握りですが、その足下には何十億という人々が存在します。「ベルばら」では、民衆の側について戦うことを決意したオスカルが「我らは名もなき祖国の英雄になろう」と兵士たちを奮い立たせる場面が有名。ポーランドの無名戦士の墓の写真と併せて紹介。 -
ド・ゲメネ公爵のだまし討ちとオスカルの怒り ~人間としての怒りが世の中を変える
空腹のあまりパンを盗んだ幼子を後ろから騙し討ちにしたド・ゲメネ公爵。その一部始終を見ていたオスカルは宮廷の晩餐会で「まだものの善悪もわからぬ子どもを背中からピストルでだましうちするような男がいっぱしに公爵だなどとは、かたはらいたい」と告発し、決闘を受けて立ちます。オスカルの真っ直ぐな正義感が表れたエピソードを紹介。 -
映画『アイヒマンを追え! 』なぜ戦犯は裁かれねばならないのか
戦後、絶滅計画に関わったアイヒマンは海外に逃れ、身分を偽って平和に暮らしていた。ドイツのバウアー検事長はアイヒマンを法廷に立たせて史実と向かい合うことがドイツ民主主義の礎になると確信し、拘束に執念を燃やす。 -
悪の凡庸さ ~大衆の思考停止こそ社会的罪 映画『ハンナ・アーレント』
第二次大戦中、ナチス高官のアイヒマンは書類に判子をつくようにユダヤ人虐殺に加担した。「命令されたからやった」と無罪を主張する姿に、哲学者のハンナ・アーレントは大衆の思考停止こそ罪悪と説く。大学の講義で語られるハンナの名台詞を紹介。コラム『考えない体臭が世界を破滅に導く』 -
映画『トゥモロー・ワールド』人類の希望とは何か ~EUの未来を予見する
2027年。子供が生まれなくなった世界でセオはアフリカ系女性の護送を依頼される。彼女は奇跡的に子供を身ごもり、出産間近だった。現代の欧州を予見するような重いトーンの近未来SF。コラム「映画が予見したEUの未来と人類の希望」「神なる女体と未来の子供」 -
映画『ヒトラーの忘れもの』~地雷の地に埋まる戦時下の愛憎
デンマークの海岸に埋設された大量の地雷撤去を命じられたドイツの捕虜と少年兵。それを監督するデンマーク人のラスムスン軍曹の心情を描く良作。デンマークらしい、詩情あふれる海の風景が非常に美しい作品。 -
青春と革命は相性がいい 三好徹『チェ・ゲバラ伝』 ~青春期の情熱と信念を貫いて
裕福なアルゼンチンの家に生まれ、喘息というハンディすらもつチェ・ゲバラは南米の貧困問題や独裁に心を痛め、盟友カストロと共にキューバ革命を達成する。青年期の疑問や情熱を生涯持ち続けたゲバラの生涯と感動的な『別れの手紙』を紹介。優れた言論人であり詩人でもあるゲバラの一面が窺える良書。『フィデル・カストロへの手紙~祖国か死か』『両親への手紙~信念を証明する』『不正に敏感であれ』『青春と革命は相性がいい』 -
技術を共有すれば世界戦争は防げるのか? 映画『ジョーンの秘密』
ケンブリッジ大学で物理学を専攻していたジョーンは原子力開発の機密に携わるようになる。やがて研究が原爆に使われ、何十万人が命を落としたことを知ると、ジョーンの心に変化が訪れる。ジョーンの主張は正しいのか? 実際に起きた事件を題材とした歴史ドラマ。 -
映画『アメリカン・スナイパー』は何のために死んだのか ~米軍のアフガン撤退に寄せて
イラク戦争で活躍した伝説の狙撃手クリス・カイルの活躍を描いた伝記映画。クリント・イーストウッドのメッセージが込められた、米国の葬列のようなエンディングが印象的。アフガン撤退の話題と併せて。 -
極限下の愛と支配を描く 映画『愛の嵐』 ~暴力でしか愛を表現できない男と離れられない女
半裸の少女がナチス将校の衣装をまとい、両手で胸元を隠して、マレーネ・ディートリッヒの曲を儚げに歌う場面で有名。将校マクシミリアンと囚人のルチアは、戦後、見知らぬ他人として再会するが、再び激しく求め合う。『私は第三帝国に仕えたことを誇りに思う。再び生まれても同じことをするだろう』『僕はあえてドブネズミの人生を選んだんだ。夜、働くのには訳がある。光だよ。私には光が眩しいんだ』の台詞が印象的な衝撃作。 -
戦争とは歴史の無慈悲なロシアン・ルーレット 映画『ディア・ハンター』
運が悪ければ頭が吹っ飛び、運がよければ生き延びる。敵国だろうが同盟軍だろうが、貧乏人に待ち受ける運命はみな同じ。気まぐれにロシアン・ルーレットを弾く手は、決して自ら汚れることはない。ロバート・デニーロとクリストファー・ウォーケンの名演が胸に迫る戦争映画の傑作。 -
南北分断の悲劇と願いを描いた 韓国映画『シュリ』 ~自由に行き来する魚のように
韓国情報部の捜査官と北朝鮮工作員の女性の恋を中心に、南北分断の悲劇と願いを描く娯楽アクション。韓国では映画『タイタニック』をしのぐ大ヒットとなった。作品の魅力を画像付きで解説。「国家よりコンテンツ」の若い世代が世界を変えていくのではないか、というコラムと併せて。 -
美しい男たちのスリリングな愛を描く映画『戦場のメリークリスマス』 贖罪と反戦の挽歌
第二次大戦下、ジャワ島の日本軍捕虜収容所で、日本語を理解する英国陸軍中佐ジョン・ロレンス(トム・コンティ)は、捕虜たちを監督するハラ軍曹(ビートたけし)といつしか心を通わせるようになる。一方、厳格で、名誉と武士道を重んじる収容所の所長、ヨノイ大尉(坂本龍一)は、新たな捕虜となったジャック・セリアズの美しさと真っ直ぐな気性に次第に魅了されていく. -
映画『シンドラーのリスト』とオフィシエンチム戦争博物館(アウシュビッツ収容所)の記録
スティーブン・スピルバーグのアカデミー受賞作「シンドラーのリスト」の見どころを動画で紹介。オフィシエンチム(アウシュビッツ)博物館の日本人ガイド中谷剛氏の著書とテキストから、歴史教育に関する考察を掲載しています。 -
社会正義とは相対的なもの ペルー日本大使館占拠事件と映画『ベル・カント とらわれのアリア』
若者ゲリラによるペルー日本人大使館占拠事件は全世界に衝撃を与えた。しかし銃を手にした若者は貧困と開発の犠牲者でもあった。あの時大使館で何があったのか。ゲリラのために涙した人々の水面下の事情を描くヒューマンドラマと「正義」に関するコラムを掲載。 -
カジミェシ・スモーレンの序文より ~アウシュヴィッツ強制収容所について
カジミェシ・スモーレンの序文より ~強制収容所について カジミエシュ・スモーレン(1920年4月19日~2012年1月27日)は、大事に世界大戦中のアウシュヴィッツ強制収容所のポーランド政治犯で、戦後は、アウシュヴィッツ・ビルケナウ国立博物館の館長として尽力された方です。 公式サイトのプロフィールより。 https://www.auschwitz.org/en... -
戦争とは国家によって正当化される殺人 『死者の書』より
「いま、殺人が容認されているのは、国家という単位だけなんです。国家は死刑という名の虐殺もできるし、戦争という名の大量殺人もできる。国の中で殺すのはいけないけど、国の外へ行って殺すと英雄になれる、という倫理です」
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