寺山修司の詩– tag –
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さよならという名の猫 ~寺山修司の少女詩集より
むかしむかし あるところに さよならという名の猫を さがしつづけている ひとりのおじいさんがいました でもこのおじいさんは さよならという名の猫がどこにいるのか 見たことがなかったんです だれにも愛されなかった詩の中の かわいそうなおじいさん! ぼくが消しゴムで消してあげることにしましょう 《寺山修司 少女詩集》 角川文庫 「... -
寺山修司の詩『ダイヤモンド』~ほんとに愛し始めた時だけ淋しさが訪れる
木という字を一つ書きました 一本じゃかわいそうだから と思ってもう一本ならべると 林という字になりました 淋しいという字をじっと見ていると 二本の木が なぜ涙ぐんでいるのか よくわかる ほんとに愛しはじめたときにだけ 淋しさが訪れるのです 愛さないの、愛せないの (ハルキ文庫) 人は、独りで居る時は、孤独を感じない。 他者の存在を... -
寺山修司 宝石の詩『ガーネット』 ~思い出をかためて一つの石にできたなら
ガーネット もしも 思い出をかためて 一つの石にすることが出来るならば あの日二人で眺めた夕焼の空を 石にしてしまいたい と 女は手紙に書きました その返事に 恋人が送ってよこしたのは ガーネットの指輪でした あかい小さなガーネットの指輪を 見つめていると 二人はいつでも 婚約した日のことを思い出すのです 愛さないの、愛せないの (... -
なみだは にんげんのつくることのできる 一番 小さな海です ~寺山修司の海の詩
海への思いを美しい言葉で綴る初期の作品集。時に過激な言葉で若者を煽動する寺山修司の優しい感性が感じられる珠玉の少女詩集から、お気に入りの海の詩を紹介しています。 -
三年前の詩など、三年前の自分にまかせておけばいい ~どんな詩人も自分の書いた海で泳ぐことはできない
詩人が海で泳ぐ時 きみの詩は、人生に甘えすぎだし、感傷的すぎて、いい「方法」だとはいえません。 しかも、三年前の「入試で悩んでいたころ」の詩を、今では大切にしているなんて、感心できません。 「悩んでいたころ」のことなど、きっぱり忘れてしまうべきです。 いい女友だちでも捜して、人生を楽しく、別の詩を書いてください。 詩は毎... -
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし ~作品の感想は自分の言葉で表そう
マッチ擦る つかのま海に 霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや。擦ったマッチと吸い殻はどこにいったのか。私にはポイ捨てできずに、コートのポケットに忍ばせて持ち帰った寺山修司の姿が浮かぶ。 -
『そらまめ』の詩 ~手足を伸ばして、からを割ろう
そらまめ そらまめが病気になったら そらまめの医者を呼べばいい そらまめが死にたくなかったら パチンとからを割ってとびだすさ 何のはなしか おわかりか? 《寺山修司 少女詩集≫ 角川文庫》 人には、いろんな『から』がある。 決まりごと。 思い込み。 世の風潮。 自身の主義信条が『から』になることもある。 『から』が窮屈に感じるのは... -
『片思いの詩集』寺山修司 人を好きになることを愉しもう
『片思いはレコードでいえば、裏面の曲のようなものです。どんなに一生懸命唄っていても、相手にはその声がきこえません』恋する乙女の気持ちを純朴に綴った片想いの詩集より、お気に入りの恋の詩を紹介。心から綺麗になりたいあなたへ。 -
詩を書く心・言葉で一瞬を永遠に留める ~寺山修司の少女詩集に寄せて
ハイティーン詩集傑作選もみずみずしい筆致で綴られた可愛い作品ばかりだ。「寺山修司なら読んでくれる」。そんな信頼も感じられる。だから、みな「ポエム」などと自嘲したりしない。自分の言葉を大事にする者は、相手の言葉も大事にできる。幼い詩人に必要なのは、詩を批評する先生ではなく、その詩情を受け止めてくれる優しい大人だろう。 -
詩心とは世界と人を愛する気持ち 『寺山修司 少女詩集』について
寺山修司の『少女詩集』の概要と「一ばんみじかい叙情詩 / しゃぼん玉 / 三匹の子豚 / 十九歳 / かなしみ / 汽車」を紹介。詩は役に立たないものにも美しさを見出し、人間社会に潤いをもたらす。コラム『詩心とは人と世界を愛する気持ち』と併せて。 -
懐かしのわが家(寺山修司の遺稿)
ぼくは不完全な死体として生まれ 何十年かかって 完全な死体となるのである そのときが来たら ぼくは思いあたるだろう 青森市浦町字橋本の小さな陽あたりのいい家の庭で 外に向かって育ちすぎた桜の木が 内部から成長をはじめるときが来たことを -
ふしあわせという名の猫がいる 【寺山修司の詩】
ふしあわせという名の猫がいる。いつもわたしにぴったりよりそっている。でもその猫は気まぐれなので突然 どこかに行ったりします。ふらりと帰って来た時にはしあわせ という名の大きな魚を口にくわえていたりします
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