人と社会– tag –
-
ジョゼフィーヌに子供が生まれていたら、歴史も違ってた? ~ナポレオンの強運の源
パリにあるロダン美術館の庭から、『考える人』の肩越しに、アンヴァリッドの壮麗なドームを、ほんの少しだが眺めることができる。 先に旅行した際は、時間がなくて、アンヴァリッド訪問は叶わなかったけれど、「ああ、あそこに、私の大好きなナポレオンが眠っているのだなあ」と思うと、心の中で静かに手を合わせたくなったものだ。 私が歴... -
プラハ『飢えの壁』 カレル4世とルイ16世の慈悲心 ~仕事の創出が民を救う
寒さで凍てついたベルサイユ宮殿の庭園を視察したルイ16世は「ちょうどよかった。パリから失業している男たちをあつめて、氷かきをやらせるといい。賃金をたっぷりはずんでな」と兵士たちに命じる。プラハではカレル4世が貧困に苦しむ庶民の為に必要のない巨大な壁を建設したといわれている。君主に必要な徳と仕事が人と社会を幸福にするというコラム。 -
無知は知の始まり オスカルさまと野菜スープ ~貴族が庶民の現実を知る時
大貴族の令嬢に生まれ育ち、華やかなベルサイユ宮殿の世界しか知らないオスカルが、ロザリーの手引きで、初めてパリの貧しい庶民の暮らしを体験する場面。「分かったつもり」でも、何一つ理解していなかったことを思い知り、後のバスティーユ攻撃に繋がるエピソードです。ポーランドの病院の食事や施設を動画と写真で紹介。 -
映画『アイヒマンを追え! 』なぜ戦犯は裁かれねばならないのか
戦後、絶滅計画に関わったアイヒマンは海外に逃れ、身分を偽って平和に暮らしていた。ドイツのバウアー検事長はアイヒマンを法廷に立たせて史実と向かい合うことがドイツ民主主義の礎になると確信し、拘束に執念を燃やす。 -
悪の凡庸さ ~大衆の思考停止こそ社会的罪 映画『ハンナ・アーレント』
第二次大戦中、ナチス高官のアイヒマンは書類に判子をつくようにユダヤ人虐殺に加担した。「命令されたからやった」と無罪を主張する姿に、哲学者のハンナ・アーレントは大衆の思考停止こそ罪悪と説く。大学の講義で語られるハンナの名台詞を紹介。コラム『考えない体臭が世界を破滅に導く』 -
捨てる神に拾う神 早坂茂三の言葉 / 田中角栄と共に闘ったオヤジの遺言
田中角栄の秘書として激動の昭和を生き抜いた早坂氏の名言集。『老人の跋扈は国を滅ぼす。しかし、青年の失敗は国を滅ぼさない』『国乱れて忠臣現れ、家貧しくして孝子現る』『何回も繰り返しひどい目に遇ったほうがいい』『惻隠の情』『意地とは人間が生きていくうえでの背骨』など。 -
マイノリティに未来はあるのか 映画『グレイテスト・ショーマン』が描くノーマライゼーションの精神
異形、有色、障がい者など、社会的マイノリティにスポットライトを当て、一流の興行師を目指すバーナムと家族の葛藤を描いた新感覚のミュージカル。好奇と蔑みの眼差しの中、『This is Me(これが私)』と熱唱する場面は圧巻。 -
映画『八甲田山』と死の彷徨 日本の組織は昔も、今も…
軍隊という硬直した組織と一部の権力に振り回される庶民の悲哀を描いた超大作。日本を戦争に駆り立てたものは何だったのか。なぜ誰も軍と政府の暴走を止めることができなかったのか。作家・新田次郎の怒りが深く静かに伝わってくる原作とルポルタージュの見どころを紹介。 -
英国王室が分かる4部作「エリザベス」「ゴールデン・エイジ」「ブーリン家の姉妹」「クイーン」
25歳で王位を継承したエリザベス1世の半生をケイト・ブランシェットが知的に演じる歴史ドラマ。老獪な政治家相手に自らの理想を時、政策決定を下すエリザベスの姿は現代キャリアウーマンにも通じる。 -
死刑制度は本当に遺族と社会を救うのか ~映画『デッドマン・ウォーキング』
死刑囚の精神的アドバイザーを務めるシスター・ヘレンは、死刑宣告されたマシューと面会するうち、死刑が本当に解決策なのか疑問を抱くようになる。一方、我が子を殺された遺族は激しい憎悪をつのらせ、死刑にすべきとの態度を崩さない。死刑囚と遺族感情の間でヘレンは苦悩しながらも、最後までマシューに寄り添うことを決意する。 -
この世のことは人次第 ~人を動かすとは、心を動かすこと
お前が何をどう頑張ろうと、この世のことは人次第だ。 人を動かさぬ限り何も変えられない。 海洋小説 MORGENROOD -曙光の主人公は、海洋都市のいっそうの発展を願い、各機関に混在している観測データを一元管理し、便利な検索ポータルとして提供する『海洋情報ネットワーク』の構築を提案しますが、政府は重要性を理解せず、簡単に実現しそう... -
時間貧乏はお金貧乏より不幸
今の若い人たちの最大の不幸は『お金』と『時間』が無い事ではないか。 お金があれば、幸福の8割は変えるし、 時間をかければ、能力を磨くことができる どうしてもお金はあげられないと言うなら、せめて時間はあげるべきと思う。 低賃金と長時間労働のダブルパンチは、一番やったらいけないことだ。 時に『時間』は、お金の何倍も価値がある... -
チグリス川の日は暮れて ~バビロンの石板と法の精神
「王様はハダカだ!」と言える自由と、それを受け入れる社会の健全さ。 紀元前1700年の昔にも、 やれ「お前が悪い」「アイツが悪い」と言い争い、 「お代官さま、公正なお裁きを!」 と訴える人が後を絶たなかった。 誰だって我が身が可愛い。 自分の利益は守りたい。 何事も平等に扱って欲しい。 人を殴って、何のお咎めもないのはオカ... -
リーダーシップとは何か 映画『猿の惑星 : 新世紀(ライジング)』 / 政治とは取捨選択のプロセス
なぜ猿社会のリーダーであるシーザーは長年の友コバの手を離したのか。万人に平等の考えは必ずしも皆を幸福にするとは限らない。政治とは取捨選択のプロセスであるという観点から政治とリーダーシップの在り方を読み解く。コラム『政治とは取捨選択のプロセス』『リーダーに求められる決断力と統率力』 -
『憚(はばか)りながら』と『ミンボーの女』
ヤクザが許せないのは、暴力で他人の人生を支配するから -
自己主張にも言葉のスキルが必要 映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』
ヒップホップを通じて貧困問題や人種差別を訴え、全米の若者の心を鷲づかみにした伝説のグループ『N.W.A』。早逝したイージー・Eや、ドクター・ドレ、アイス・キューブらの青春模様をスタイリッシュなライブ映像で描く伝記映画を動画・Spotifyを交えて紹介。コラム『自己主張にも言葉のスキルは必要』と併せて。 -
君も囚われのプレイヤー 押井守の映画『アヴァロン』
凄腕のゲームプレイヤー・アッシュはオンライン戦闘ゲーム『アヴァロン』の深部に入り込み、驚愕の事実を知る。仮想現実を舞台にした作品の魅力を『意識』と『認識』の両面から解説。ポーランド語の主題歌『ログオフ』の日本語訳や作中に登場する小物について画像付きで紹介しています。コラム『アヴァロンと現実社会とメタバース』『君も囚われのプレイヤー』 -
愛と政治のコメディ映画『デーヴ』 ~すべての人に仕事を!
米国大統領のそっくりさんデイブは、愛人と情事の最中に腹上死した大統領の代役を務めるが、持ち前の人柄から国民の信望を一身に得るようになる。だが妻のエレンはデイブが偽物であることを見抜き、芝居も続けられなくなる。爽やかで心温まるコメディドラマの傑作。 -
現代に生きるためには、無垢な心がどのような報復をうけねばならないか 映画『シベールの日曜日』
ガラス玉を星のかけらと思い込める感受性は、その星のかけらの鋭い刃先でみずからの心を傷つける。現代の生きづらさの正体と人間の感受性に関する文芸コラム。 -
人にあわれみをかけない者には、あわれみのないない裁きが下される ≪新約聖書より≫
「人を差別するなら、あなたたちは罪を犯すことになり、立法によって違反者と断定されるのです。律法全体を守ったとしても、一つの点で落ち度があるなら、律法全部の点について有罪となるからです。人にあわれみをかけない者には、あわれみのないない裁きが下されます。あわれみは裁きに打ち勝つのです」ヤコポスの手紙 『差別に対する警告』 より。