本田宗一郎の名言 『得手に帆を上げて』~好きなこと・得意なことで生きていこう

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著書『得手に帆を上げて』

『世界のHONDA』の創始者、本田宗一郎氏の言行録は多数刊行されているが、私のお気に入りは、『得手に帆あげて―本田宗一郎の人生哲学』。

この本は、『本田宗一郎「一日一話」―“独創”に賭ける男の哲学』という80年代のベストセラーをベースに再編されたもので、それがまた、令和の時代になってから、『やりたいことをやれ』という表題で再々編されている。

どちらも、言いたいことは同じ。

同じ努力するなら、自分の好きな分野、得意な事に打ち込んだ方がいい、という考え方だ。

当然といえば当然だが、その当然が実行できないばかりか、自分の好きなことや得意なことも分からない人も多い。

すでに好きな事に打ち込んでいる人間から見れば、「何を当たり前のことを……」と思うが、そうでない場合は、「やりたいことをやれ」という言葉が刺さるのだろう。

本田氏は、現役時代から、日本のサラリーマンの憧れだったし、生い立ちや経営哲学に関する書籍は山のように刊行されていて、廃刊になっては、再編・再発行を繰り返し、現在に至る。

時代により求められる哲学も変わるが、本田氏の主張は一貫して「得手に帆を上げて」=「やりたいことをやれ」だ。

好きな事や得意な事なら、苦労を苦労と思わないし、帆を上げた船のように真っ直ぐに進んでいく。

これ以上シンプル、かつ効果的な生き方もなく、時代を超えて、若い人の心を捉えて離さないのではないだろうか。

本田宗一郎の名言

得手に帆を上げて生きよ

人生は「得手に帆あげて」生きるのが最上だと信じている。
だから今でも機会があると、若い人に得意な分野で働けといっている。

全ての始まりは、『汝自身を知れ』。

自分で自分の得意な分野も分からない、営業向きか、経理向きかの判断もつかない、自分で自分のことが分からないのが、最大の過ちの元。

それは会社情報を収集したり、面接のスキルを磨いたりする以前の話だ。

やりたいことが分からなくても、外向きか、内向きかの判断ぐらいはできるだろう。

対人関係が苦手なのに、無理に営業職に就いても苦しいだけ。

やりたいことが分からなければ、せめて「自分に向かないこと」を選択肢から外そう。

向かないことを避けるだけでも、ずいぶん生きやすくなる。

『汝自身を知れ』ーなぜ『自分』を知らないといけないの?

努力は忘れた頃に報われる

1パーセントの成功のため、得意な分野でさえ99パーセントのつまづきを経験した。
私のように得意なことを一途にやっても、つぶれかけることがあるのだ。
不得意な分野に手を出して失敗するのも当然かもしれない。
しかし、何年か前にまいて生えなかった種子が、忘れた頃になって固い土を割り芽生えてくることもあった。
そうしてすべての進歩が生まれてきたのだ。

好きなことや得意なことだからといって、一朝一夕に結果が得られるとは限らない。

やって、やって、やりぬいて、忘れた頃に報われるもの。

ただし、めくらめっぽうに突き進んでも、糧にはならない。

「世界最速の車を作る」という明確な目的があって初めて、失敗した事業も、後年の成果に繋がる。

壁は成長へのステップ

そもそも、従来の常識などというものは破られるものであり、そのために能力を酷使しなければならないのだ。
苦しいときもある。夜も眠れぬこともあるだろう。
どうしても壁が突き破れなくて、オレはダメな人間だと劣等感にさいなまれるかもしれない。
私自身、その繰り返しだった。
しかしその悩みを乗り越え、一歩前に進んだときの喜びは大きい。
それがまた、次の壁に挑戦する意欲につながるのだと思う。

技術も、経営方針も、どんどん他に抜き去られ、いつかは壁にぶつかるのが当たり前。

それを限界と感じるか、否かで、未来も違ってくる。

むしろ順風満帆こそ、マンネリの元。

壁にぶつかるから、自分たちの無知や未熟を知ることができる。

最初から最後まで、順調に進む人間などない。

人こそ資本

ほんとは、現職にいるとき、うちの社員と名のつく人に全部会って握手してやりたかった。
社長を辞めて、やっとその念願を果たすことができた。
日本国内で700箇所、回るのに一年半かかったよ。
それから海外の駐在員のところを飛行機で回った。
それも半年かかったもんだ。
うちの社員でありながら、オレの顔を見たことがないのが大勢いるんだ。
ことに地方の出張所や、SFというサービス機関の社員とかね。
一人一人手を握ったんだ。
オレは涙が出た。向こうの若い連中も泣いたよ。
けど、オレは士気を鼓舞するなんて気じゃない。
自分が嬉しいからやるんだ。
オレは社長を辞めて、やっと人間らしいものにいきあったよ。

事業の基本は『人』。
良質な人材なくして、技術も、資本も、成り立たない。

若さとは過去を持たないこと

自分の得意な分野でつまづく人は、結局、自分に裏切られているのである。
その原因は、やはりおのれの力に対する過信だろう。
「若さ」とは、一言でいえば、過去を持たないことだ。
なまじっかの知識がないからこそ、いつも前向きの姿勢でいられるのだ。

経験は、知識や強さの元になる反面、頑固や傲慢の原因にもなる。

余計な知識や経験がないからこそ、大胆に挑戦できるし、変化にも柔軟に対応できる。

年寄りみたいに、あれこれ考えすぎて、手も足も出なくなるのはもったいない。

困難こそ知恵の母

人間てのは、困難がなければ知恵が出るもんじゃないですヨ、ネ。
「オレは忙しくて発明できない」なんてヤツは、よっぽど間抜けなんです。

知恵とは、どうしても出来ない事を出来るようにする執念から生まれる。

古くは電球に始まり、TV、電子レンジ、掃除機、パソコン、等々。

開発者の知恵が「出来ないこと」を出来るようにした。

地球の裏側でも瞬時に繋がる事を諦めたら、スマホも、インターネットも、生まれてこなかっただろう。

夢みたいなことを実現する執念があって初めて知恵が生まれ、製品が完成する。

困難こそ、知恵の母。

学ばない経験は無意味

人間の経験には、アテにならないものが多い。
人前で得意になってひけらかすことのできる経験など、果たしてどれほどあるのか疑問である。
肝心なのは、経験そのものというよりは、それを通して正しい知識を学び取ることだ。

どんな経験も無駄にならないのは本当だが、「そこから学べば」の話。

学ばない経験は、単なる出来事に過ぎず、何の教訓にもならない。

我も人なら、彼も人なり

天才とか聖人とかいう人を除けば、人間はみな似たり寄ったりの能力と、感情の持ち主である。
これを悟らなければならないと思う。
つまり、我も人なら、彼も人なのである。

人付き合いの極意は「許し」。

この世に欠点も弱点もない人間など存在しない。

それを理解し、許し合うことで、社会も円滑に回る。

相手も同じ人間と思えば、相手の過ちも許せるし、自分を卑下することもない。

平等とは、一律均等に扱うことではなく、「同じ人間」という視点を持つことである。

思想と哲学をもたない企業

すべての社会的現象がスピードアップして、万物流転、優位転変の様相も実にすばやいものになってきた。
しかし、そういう変転きわまりない時代にあって、根本的に変わらないものがひとつある。
それは何かというと、人の心というやつだ。
つまりはその思想であり、その根っこの哲学である。
しっかりした思想と哲学を持たぬ企業は、これから先、どんどんつぶれていくだろう。

価値の創出だ、文化の継承だと、立派な看板を掲げたところで、働いている人間が不幸では何の意味もない。

どんな製品も、作っているのは、そこで働いている人であり、会社自身が社員を幸せにできないのに、どうして世の中を幸福にすることができるだろう。

社員を見れば、会社の将来が分かる。

技術の真価は、それを持つ人間の思想に支配されている

『科学技術に優先するものは人間の正しい思想である。技術を持つ人間が、それをどのように利用するか、世の中に貢献するか、しないかで、その価値が決まる。技術の真価は、それを持つ人間の思想に支配されているのだ』

製品は、メーカーに似る。

製品を見れば、それを作った人間の中身が分かる。

機械といえども、人間の思想を色濃く反映するものだ。

技術は、人間の能力をはるかに超えることができるが、思想哲学は超えられない。

歪な人間からは歪なマシーンが、

邪な人間からは邪なAIが生まれ、

そして、支配する。

技術を何に使うのか

人間は牙と毛皮の代わりに、手と頭を与えら選れた。

厳しい自然を生き抜く為に、「考える力」と「作り出す力」を授けられた。

それは生存の為の手段であり、進化のための道具である。

しかし、時に技術は種を脅かす凶器ともなる。

我々は、常に、慎重に選択しなければならない。

その力を、何のために使うかを。

書籍案内

上述の通り、私が購入した昭和版はこちら。

得手に帆あげて: 本田宗一郎の人生哲学
得手に帆あげて: 本田宗一郎の人生哲学

現在では、Kindle版に編集されています。

やりたいことをやれ
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この記事を書いた人

MOKOのアバター MOKO Author

作家・文芸愛好家。アニメから古典文学まで幅広く親しむ雑色系。科学と文芸が融合した新感覚の小説を手がけています。東欧在住。作品が名刺代わり。Amazon著者ページ https://amzn.to/3VmKhhR

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