苦労が人間をけだかくするというのは、事実に反する。
幸福が、時にはそうすることはあるが、苦労はたいてい、人間をけちに意地悪くするものだ。サマセット・モーム
あなたが現実に生きるならば、真に受けてはいけない言葉が二つある。
一つは、「幸福はお金では買えない」。
もう一つは、「若いときの苦労は買ってでもしろ」。
前者に関しては、映画『マネーモンスター』のレビューにも書いているように、幸福の大半はお金で買えるし(蛭子流に言えば、たいがいの悩みはお金で解決するので、悩みがなければ誰でも幸福に感じる)、後者に関しては、苦労は……とりわけ年を取ってからの苦労は……多くの場合、人を惨めにするだけで、何の肥やしにもならないからだ。
苦労せずに済むなら、苦労などしない方がいい。
別に人間に深みがなくても、お金さえあれば、人は無難に生きていけるし、むしろ苦労など無い方が楽しいに決まっているからだ。
そもそも、苦労をバネにして、二倍も三倍も大きく成長できる人は、持って生まれたものが違うし、いずれ不幸などというものから抜け出して、心の底から人生を楽しめるようになるだろう。苦労を通じて気高くなるには、それにふさわしい知性や感性が必要だし、その土台を素っ飛ばして、苦労を強要しても、人の心をねじ曲げ、惨めにするだけだと思う。
本当に幸福な社会とは、皆が切磋琢磨して、宮本武蔵か柳生十兵衛みたいな達人になることではない。
怠け者でも、愚か者でも、とりあえず食うに困らない、というのが理想である。
ところが、組織のの頂点に立つエリートは、誰もが自分と同じように学び、努力し、這い上がると思い込んでいるから、教育や社会設計を誤る。
金銭的でも、精神的でも、苦労はただ辛いだけだ。
苦労が美徳と思えるのは、元々、苦労に打ち勝つだけの知性や精神力を兼ね備えた人だけと思う。
■蛭子流「お金との向き合い方」
ギャンブル好きとして知られる蛭子さんだが、そのお金に対する考え方は「お金には素直にひれふそう」だという。いちばん大切にしているものは、自分の命。その次にくるのがお金。蛭子さんはとにかくお金を信じているのだ。
学歴コンプレックスがあった蛭子さんは長崎から東京に出てきた頃、よく「どこの大学出ているの?」と聞かれたという。その度に高卒の蛭子さんは、恥ずかしい思いをした。そのウップンを晴らすために描いていたのが、東大を卒業した人が悲惨な死に方をする漫画だったという。
しかし、テレビに出るようになって、お金を稼げるようになると、いつの間にかコンプレックスもなくなっていた。お金は、その人の劣等感を打ち消すぐらいの力があると蛭子さんは力説する。
そして、「オレは、人生相談をしていますが、その悩みのすべては、金さえあれば解決するものですよ。それを回答すれば、元も子もないから、テキトーに答えているんです」と言うほど、お金を信じている。
世の中の仕組みがお金さえあれば、ゆとりある生活ができるようになっている。なのに、金儲けを否定するのはおかしい。お金には、とことん執着していいと、蛭子さんは述べる。清々しく感じるほどの「お金」観だ。
人生相談にも、まずは「女房に小遣いを減らされて軍資金が少ないのが難題。それに比べたらどうでもいい相談ですね」と、競艇の話から入る蛭子さんが憎めない。そして、競艇に絡めた話で相談に乗っているような、乗っていないようなゆるいアドバイスを返していく。
「自分がどう思うか」を大切に。人からどう思われても「ま、いいか」と思っていればそれでいい。人間関係や仕事、将来のことなど、何かで悩んでいる人は、本書を読むともっと自由に楽に生きていいんだと思うはずだ。
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2017/10/post_21117.html
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中学時代の、私の愛読書です。
これでたくさんの名言と名著のタイトルを覚えました。
中学生には、この手の本から始めるのがいいかもしれませんね。