創作エッセイ– tag –
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恋の航路、愛の彼岸
「そんなに怖がらなくても、何もしないよ。前に約束しただろう。お互いに心の底から好きと思えるようになったら、その時、恋人同士のキスをしようと。だからといって、俺のことを『いい人』なんて思わないで欲しい。俺は憧れのキャプテン・ドレイクでもなければ、白馬に乗った王子さまでもない。欠点もあれば、下心もある、普通の男だよ」 「... -
芸術家は自分の魂を削って、創作物を作る
一人の芸術家が、一つのテーマに挑む様は、凄まじくもあり、神々しくもある。 それは生活に役立つ道具を生み出すわけでもなければ、数十億の市場を作りだすわけでもない(スターウォーズみたいにヒットすれば、そうなるかもしれないけれど)。 正直、この世に美しい曲や物語が誕生したところで、不況や国際問題が解決するわけではないし、い... -
この世のことは人次第 ~人を動かすとは、心を動かすこと
お前が何をどう頑張ろうと、この世のことは人次第だ。 人を動かさぬ限り何も変えられない。 海洋小説 MORGENROOD -曙光の主人公は、海洋都市のいっそうの発展を願い、各機関に混在している観測データを一元管理し、便利な検索ポータルとして提供する『海洋情報ネットワーク』の構築を提案しますが、政府は重要性を理解せず、簡単に実現しそう... -
本物の自信は揺らがない ~自信とはこれまでの積み重ね
ほんの少し前まで、焦り、落ち込み、苛々と突っかかっていたのが嘘みたいだ。 今なら自信とは何かと問われたら、自分の至らぬ所も弱い所も受け入れられる余裕だと答える。 「何かが出来る」 「何かを知っている」 それらは一つの優越感に過ぎず、自分よりもっと優れたものに出会えば、あっけなく崩れ去る。 だが、本物の自信は揺らがない。 ... -
ニーチェの『曙光』~いまだ光を放たざる、いとあまたの曙光あり
宇宙に幾多の星が瞬くように、海の底にも数え切れないほどの光の萌芽が眠っている。 《いまだ光を放たざる、いとあまたの曙光あり》 インドの古典『リグ・ヴェーダ』の一節を胸に浮かべながら、アルはシートに深く身を沈め、未だ見ぬ光の萌芽を思った。 陽は落ちても、また立ち上り、永遠に海を廻る。 アルが本当に掘り出したいのは海底に眠... -
父よ、彼らをお赦し下さい ~イエス・キリストの言葉 【何を選び、どう信じるか】
『父(神)よ、彼らをお赦し下さい。彼らは自分が何をしているのか分かってないのです』はイエス・キリストの有名な言葉です。 ローマ兵に捕らえられ、裁判にかけられたイエスは磔刑に処せられます。 イエスの周りでは、ローマ兵や議員や民衆がイエスを嘲弄し、「本当に救世主なら、自分自身を救ってみろ」と詰ります。 しかし、イエスはそん... -
この世は辛い事ばかりだから、私なら最初から産まないわ ~ミケランジェロの『ピエタ』より
お堅いクリスチャンのハワードは美少女フローレスに恋するが、彼女は悲しい生い立ちからハワードの信仰心を揶揄し、反抗的な態度を取る。ミケランジェロの『ピエタ』を前にフローレスは「産まないことが愛の証」と言い、ハワードはそんな彼女の苦しみに寄り添う。 -
意思が運命に働いて、幸運も運ばれる
意思の力が幸運を運ぶ 『フォルトゥナの娘』と呼ばれるリズは、不利な条件で海洋都市の改善を訴える恋人のヴァルターに幸運の風を吹かせるべく、プレゼンテーションの機会を設けます。 もちろん、プレゼンテーションに挑んだからといって、必ず勝利するとは限りません。 しかし、何もしなければ、無はいつまでたっても『無』のままです。 何... -
愛なき評論はアーティストを殺す ~淀川長治氏の映画解説より~
「どんな作品でも、必ず一つは褒めるところがある。その良い所を見つけ出すのが評論家の仕事」。映画評論家・淀川長治氏とTVロードショーの役割に関するコラム。 -
自分の立ち位置で務めを果たす ~王冠とは責任の証し ディズニー映画『眠りの森の美女』より
王冠とは何か ~ディズニー映画『眠りの森の美女』より 近年、 「好きなことをして生きる」 「肩書きや役割にとらわれない」 といったことがしきりに言われてますが、一方で、一つの役割を真っ当する尊さも大きく評価されているように感じます。 ディズニーのアニメ映画『眠りの森の美女』では、16歳の誕生日を迎え、御守り役である三人の妖... -
海のように深く静かに沈潜する ~内省こそ人生の処方箋
『沈潜』とは深く沈んで黙考すること。人は喋ったり、書いたりしている間、深くは考えないものです。時に立ち止まり、深く沈潜することで、人生が好転することもあります。小説の一場面をモチーフとした心のコラムです。 -
今この子に「生きろ」と言うことは、「死ね」と同じくらい残酷に思える
「死にたい」の反対語は「生きろ」ではなく、「それでもあなたが好き」だと私は思います。 大洪水で父親を亡くしたヴァルターは、移住のストレスもあり、すっかりやつれて、悪夢にさいなまれるようになります。 母のアンヌ=マリーは、なんとか息子を力付けようとしますが、サッカーも、学業も、父に結びつく思い出は息子の心を苦しめるだけ... -
言葉とは人間そのもの ~スキャットマン・ジョンと『英国王のスピーチ』
人は言葉によって、自身の考えや欲求や感情を表し、相手に伝えることができます。 その逆もしかり。 一言といえど、そこには、発した人の心があり、動機があります。 言葉とは、全人的な存在なのです。 もし、何かの原因によって、言葉に不自由が生じたら、人はどんなストレスを感じるでしょうか。 外国語が通じない、身体的な問題がある、精... -
存在理由 ~ただ存在するだけで愛される
意味があるから、役割があるから、愛されるわけじゃない 「どんな生き物も、別の世界に適応するのは大変なことだ。人間に限らず、魚でも、鳥でも、それぞれの身体に適した世界があって、その中で生きるように遺伝子にプログラムされている。どんな生命も、その星の土や水から作られていて、それらも含めて、自然のシステムを成している。たと... -
立ち止まって初めて気付く過ちもある ~『頑張り』という現実逃避
海洋小説 MORGENROOD -曙光の主人公は、自分を傷つけたものに復讐したい一心で、がむしゃらに頑張りますが、とうとう自らの落ち度で、仕事も、信頼も、全てを失い、断崖に立ち尽くします。 しかし、大いなる海を見るうちに、心も慰められ、これまでの行いを内省するようになります。 一生懸命。 勤勉。 向上。 頑張り。 絶え間なく努力する人... -
『世界は変わる。 変わると信じた人が 変えるのだ』人生の決意とコルネリス・レリーの志
心の海が凪いでいる 目の前は 未だ黒い雲が垂れ込め 水面には陽も射さないけれど それを見つめる眼は 不思議なほど穏やか まるで心の海を映し出すように 風は荒ぶり 波は切り立つ それでも彼は水際に立ち 一人静かにつぶやくのだ 「世界中で この海を生かせるのは 私しかいない」 心の海が凪いでいる 目の前の嵐とは裏腹に それは深く確かな... -
情報の海から運命の一滴を拾い出す
好きな物や関心のあることだけが有為な情報ではない。ふと目に入る広告や新聞の片隅の記事も、心を傾けてみれば、いろんな気付きがある。情報の海から『運命の一滴』を拾い出すのは奇跡のようなもの。探し求めれば、いつかは巡り会うことができる。 -
生を愛する ~失おうと、挫けようと、人生においては一つのプロセスに過ぎない
生きることに意味なんて、ない。 人生に目的など必要ない。 そういう見方もできるかもしれません。 が、一方で、本当に目的なく生きていけるものでしょうか。 行き当たりばったりに見える人も、意外と、心の中に「これ」という指針を持っているもの。 社会の役にたつ仕事がしたいとか、身の回りの友人や家族を大事にしたいとか。 あまりにも... -
物事が成就するための、三つの力 【意思、運、時機】
私ね、物事が成就するには、三つの力が働くと思うの。 意思と、運と、時機よ。 どれほど能力があっても、条件に恵まれても、時機が合わなければ、完全には成らないわ。 だからといって、人が意思もって行動することが決して無駄とは思わない。 誰かが動かぬ水面に石を投げ入れるから、そこに波動が生まれ、遠くまで広がっていく。運は風、時... -
人間はね、生のままの姿が一番美しいの ~絵画『裸足のアフロディーテ』より
お堅いクリスチャンと画家のアトリエでヌードモデルを務める美少女フローレス。ハワードは彼女の身を案じてモデルを止めるよう助言するが、フローレスは芸術だと言って相手にしない。フローレスは画家の個展に連れ出し、代表作『裸足のアフロディーテ』を見せる。そこで初めて彼女の志を悟る場面です。
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