どの国にも誇るべき歴史がある ノルウェー映画『ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち』

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ノルウェー映画『ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち』

作品の概要

ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち -The Last King

監督 : ニルス・ガウプ
主演 : ヤーコブ・オフテプロ(シェルヴァルド)、クリストファー・ヒヴュ(トリシュテン)

ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち(字幕版)
 ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち(字幕版)

あらすじ
13世紀。デンマークとの対立が激化する時代。ノルウェーの王、ホーコン3世がギズレ伯爵によって謀殺される。ホーコン3世は、息を引き取る前、「インゲという女性と交わり、子供を産ませた。次の国王は、その男児だ」と言い残す。王の命を受けたピルケパイネル(ノルウェーの兵士)らは、インゲと乳飲み子のホーコン4世の救出に向かうが、対立派の追っ手がそこまで迫っていた。
ピルケパイネルの逞しい兵士トリシュテンは、妻子を殺され、復讐心に燃える若いシェルヴァルドと共に、幼いホーコン4世を抱いて雪原を渡り、仲間の村と合流。インゲとホーコン4世をソリで王都に向かわせ、敵を迎え撃つが、王都では、ギズレ伯爵と前皇太后の愛娘クリスティンとの結婚式が着々と進められていた。
果たして、トリシュテンとシェルヴァルドは幼いホーコン4世を守り抜き、ギズレ伯爵の即位を阻止することができるのか……。

どの国にも誇るべき歴史がある

あまり期待せずに見始めたら、存外に面白かったので、レビューを書いておく。

まず、ノルウェー映画なので、ハリウッド大作のような合戦はないし、特撮も一切出てこない。

しかし、スキーで雪原を滑走する場面が素晴らしく、お馬さんも走る、走る。

へー、スキーって、13世紀からあったんだ、さすがアホネンの国……と感心しながら見ていたら、アホネンはノルウェーではなく、フィンランドの名前でした ←ばか

もう一つ、学んだのが、馬は、ふかふかの雪の上は走れない、ということ。

当たり前なのだが、馬が雪原を疾走する場面など、滅多に見ないので、これは参考になった。

馬を走らせるにも、しっかり固められた雪の道が必要で、昔の人も、決して、めくらめっぽうに走り回っていたのではないことがよく分かる。

それにしても、当時の家屋や服装を忠実に再現した美術の素晴らしいこと。

電気も、石油もない時代、人々は、あの極寒の地を、こんな風に暮らしていたんだなあと、しみじみ思う。

何枚にも重ね着た上着、皮をなめして作った手袋にブーツ、手作りのスキーに、手作りのストック。

昔のノルウェー兵は、二本ストックではなく、一本槍をストック代わりにして、武器と兼用していた事実も初めて知った。

それにしても、あんな簡素なスキー装備で、あれほどアクロバティックな滑走ができるのか?

いやいや、そこは、上手いこと現代のスキー装備を装着して、崖から飛び降りているのだろうが、それにしても、スキーの場面が素晴らしい。

スタントも上手いし、カメラワークも上手。

モブシーンが控えめなだけに、疾走感は満点。

まあ、撮影する上でも、あの極寒の雪原で、何百人ものエキストラやスタントを使うわけにはいかないから、十数名ぐらいの小隊の小競り合いで、丁度よいのだろう。

それにしても、粉ミルクも、オムツもなしに、どうやって赤子の世話をしたのか?

山のようなマザーズバッグを抱えて移動する現代の母親から見れば、皮で作った筒のようなリュック(?)にポイと赤子を入れて、前抱きで雪原を滑走するトリシュテンとシェルヴァルドのアクションは想像を絶する。

まあ、映画だから、いいじゃないかと言えば、その通りだが、今時の育児評論家が見たら、キーキー騒ぎそう。

そんな風に、ハリウッド映画とは違った趣があり、異国の民俗や歴史に興味のある人も十分に楽しめる。

ベイベーもすっごく可愛いし、ラストシーンなんか、まるでライオンキングのよう。

私はノルウェーの歴史も全然知らないし、アホネンとフィンランドの区別もつかないバカだけど、ホーコン4世のエピソードも、ノルウェー人にとっては、伊達政宗や武田信玄みたいな位置づけなんだろうと、つくづく。

どの国にも誇るべき歴史があり、自らのアイデンティティとなる逸話が存在するのは、感慨深いです。

ちなみに、あのオーロラは、特撮じゃないよね (^_^)

ノルウェーの大自然も満載の、アクロバティックな娯楽史劇です。

ちなみに、ポスターほどの迫力はないんですけど、とにかくノルウェーが寒そうで、ベイベーが可愛いという、楽しい作品です。中だるみもなく、一気にクライマックスにいきますよ。
誰かにこっそり教えたい 👂
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