木という字を一つ書きました
一本じゃかわいそうだから
と思ってもう一本ならべると
林という字になりました
淋しいという字をじっと見ていると
二本の木が
なぜ涙ぐんでいるのか
よくわかる
ほんとに愛しはじめたときにだけ
淋しさが訪れるのです
人は、独りで居る時は、孤独を感じない。
他者の存在を意識した時、初めて自分が独りであることを痛感する。
二本の木のように、歩み寄ることも、立ち去ることもできず、無言で立ち尽くすしかないから。
愛のない心に、誰かが入り込む余地はなく、独りで居れば、傷つくこともない。
だが、それが、人間らしい生き方かと問われたら、ちょっと違うような気がする。
淋しさを感じたら、人を愛し始めた証し。
二本の木は、互いに涙しながらも、その水を糧に生きていく。
独りぼっちの木が、いつか立ち枯れるのは、誰かの為に泣くことも、泣かされることもないからです。
ダイヤモンドについて ~『夢見るジュエリ』より
岩田祐子氏の宝石エッセイ『夢見るジュエリ(東京書籍株式会社)』によると、
それほどに純度の高い宝石ですから、二人の気持ちに少しでも嘘が混じっていたら、必ず邪魔をするほど強いパワーを秘めています。
結婚指輪として需要の高いダイヤモンドですが、裏切りにはそれ以上の報いがある魔法石なので、心が離れた時には、寺山修司の詩のように、人間関係の厳しさと淋しさを思い知らせるのかもしれません。
岩田氏も言及されていますが、実はダイヤモンドほど結婚指輪に不向きな石もなく、美しければ美しいほど、純粋であればあるほど、人間の裏切りを決して許さないのです。
書籍案内
『ダイヤモンド』は、寺山修司の詩集『愛さないの、愛せないの』の「宝石館」の章に収録されていますが、現在、この本は入手困難になっています。
『ガーネット』は寺山修司の『少女詩集』で読むことができます。
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