ジャズヴォーカルの名曲『Cry Me A River』~だけど愛してる

ジュリー・ロンドンの歌唱で一躍有名になったラブソングの定番。曲のイメージとは裏腹に復縁を迫る恋人に「川のように泣くといい」と男の不実を詰る恨み節のような曲だ。曲を知るきっかけとなった柳ジョージ、エラ・フィッツジェラルド、バーブラ・ストライザンド、ジャスティン・ティンバーレイクの歌唱を動画で紹介。恋愛コラム『もっと恋に正直になろう』と併せて。

目次 🏃

『Cry Me A River』について

スタンダードの名曲『Cry Me A River』は、1953年、米国の作曲家アーサー・ハミルトンが作詞・作曲したもので、ジュリー・ロンドンの歌唱で世界的に知られるようになりました。

その後、エラ・フィッツジェラルド、バーブラ・ストライザンド、最近ではジャスティン・ティンバーレイクなど、名だたるアーティストが演奏しています。

バラード調にアレンジされることが多いので、失恋ソングのイメージがありますが、復縁を迫る恋人に対して「川のように泣くといいわ」と男の不実を詰る、恨み節のような曲です。

動画は、ジュリー・ロンドンの歌う『Cry Me a River』。
甘くささやくような歌声が非常に印象的。

日本語の歌詞 ~女性が男性の不実を詰る歌

私が初めて『Cry Me A River』を聴いたのは、柳ジョージ氏のCDがきっかけです。

アルバイト先の男性から誕生日のプレゼントに頂きました。(お互い恋愛感情はナシ)

もらった時は「なぜに柳ジョージ?」と首をかしげ、正直、私の好みではなかったのですが、アルバムのトップに収録されていた『Cry Me a River』には心を動かされました。

これほど美しく、切ないラブバラードがあるのかと、この曲だけは繰り返し聴いたものです。

メロウな曲調に、柳ジョージ氏の歌声も非常にマッチしていました。

最近になってオリジナルの歌詞を見る機会があったのですが、意外と「イジワル」な内容にびっくり。

女性が、男性の不実に対し、「川のように泣くがいいわ」と詰る歌なんですね。

1955年にジュリー・ロンドンの歌唱で大ヒットしたそうですが、じっくり聞いてみると「それでも、やっぱり愛してる」という恋情が感じられ、やはりいい曲だと思わずにいられません。

ちなみに、私のフィーリング訳は以下の通り。
(フィーリング訳は、文法やら精度やらをカンペキ無視した、ワタクシの感じるがままの訳です)

Now you say you’re lonely
You cry the whole night thorough
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

Now you say you’re sorry
For bein’ so untrue
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

You drove me, nearly drove me out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember all that you said
Told me love was too plebeian
Told me you were through with me and

Now you say you love me
Well, just to prove you do
Come on and cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you

I cried a river over you
I cried a river over you

[Written by Arthur Hamilton]

今頃になって あなたは「淋しい」なんて言うのね
一晩中 涙に暮れながら
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの

今さら 「すまない」なんて謝られてもね
自分がどんなに不実だったかを
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの

あなたが涙しなかった時も
私はどれほどあなたに夢中だったことか
忘れもしないわ あなたが私に言った事
恋なんて バカらしいとか
私とはもう終わっただとか

それなのに 
今さら あなたは「愛してる」なんて言うのね
だったら それを証して見せて
川のように あふれる涙で

相手を責めながらも、恋々としているところが、いかにも男女のイザコザらしい。

味わい深いというよりは、「気の済むまで、どーぞ」って感じなんですけど、皆様はいかがですか?

YouTubeで視聴する

こちらは私が好きなエラ・フィッツジェラルドの歌。
エラらしい、肉太で、温かみのある声でしんみりと聞かせる。
エラが歌うと、どんな曲も物語のよう。

こちらは、都会的なパフォーマンスで定評のあるジャスティン・ティンバーレイクの公式ビデオ。

こちらは、まりさんからご紹介のあった、若き日のバーブラ・ストライサンドが歌うCry me a riverです。

あたかも目の前に、ボロボロと涙をこぼす情けない恋人がいるかのような、リアルで、胸に迫る熱唱です。

「今頃、なによ、ふざけんじゃないわよ、アンタもうんと涙を流すといいわ、私だってさんざん泣かされてきたんだから!」

そんなセリフが今にも聞こえてきそう。

でも、愛してるんですよね。

愛してるから、余計で腹が立つ。

とっくに愛が醒めていたら、責めも怒りもしませんもの。

【恋愛コラム】 もっと恋に正直になろう

ところでね。

私は近頃の、「もっとスマートに恋をしよう」というポーズがどうにもこうにも好かないんです。

だって、本当に好きなら――相手と深く関わっていたら――いつかは泥沼の戦いになるはずですもの。

相手に対する不信もあれば不満もある。

お互いに、いつもいつも美しい気持ちばかりとはいきません。

だったら、「好き好き」ばかりではなく、「てめぇ、ふざけんじゃねーよ、このヤロー」って気持ちを爆発させてもいいんじゃないかと。

それがなかったらウソなんじゃないか、と。

別れの言葉も携帯メールで済ますような今時の恋愛に、私はついつい喝を入れたくなるのです。

*

どうしてそうまでして「いい人(女)」でいようとするのか。

人との関わりを避けるのか。

「嫌われるまい、捨てられるまい」として、いいとこばかり見せても、相手の心には何も残りません。

作詞家の秋元康さんが、『恋を過保護にしすぎ』という言葉で表現されていましたけど、まさにその通りで、時にはこのバーバラみたいに、「てめぇ、ふざけんじゃねーよ、このヤロー」って、毒づき、ひっかき、ぶっ飛ばしていいんですよ。

言うべき時には言わないと、自尊心が傷つくだけだし、相手との関係も結局は進展しないからです。

Cry me a riverの彼と彼女は、なんだかんだいって、これからもダラダラ、ズルズル続いていくんだろうな、と私は推測します。

少なくとも、これがきっかけで別れることはないだろうし、もし二人が別れるとしたら、それはもっと別の理由によるでしょう。

そしてたとえ二人が別れたとしても、この彼女は誇りをもって別れていくと思うんですよ。いつまでも恋の失敗を引きずったりせずに。

ですから、強くなりましょうや、皆さん。

ぶつかって、ぶつかって、ぶつかることでしか、恋愛上手にはなれないです。

Cry me a riverの彼女のように、自分の気持ちを思い切りぶつけてね。

そのうち、幸せな愛し方がきっと分かってくると思います。

柳ジョージの『Cry me a river』

で・・この記事を書いた時点では柳さんの「クライ・ミー・ア・リヴァー」がどこにあるか分からなかったのですが、amazon MP3ミュージックにありました。
二十数年ぶりに聞いて、けっこうアップテンポなのにビックリ。
思い出の中ではまったりとスローなバラードだったのですが。
ちょびっとダミ声で、女性ヴォーカルとは違った魅力があります。
興味のある方は試聴してみて下さい。

アルバム『GOOD TIMES COMPLETE』に収録されています。

追記 : 2013年12月

誰かにこっそり教えたい 👂
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