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プラハ『飢えの壁』 カレル4世とルイ16世の慈悲心 ~仕事の創出が民を救う
寒さで凍てついたベルサイユ宮殿の庭園を視察したルイ16世は「ちょうどよかった。パリから失業している男たちをあつめて、氷かきをやらせるといい。賃金をたっぷりはずんでな」と兵士たちに命じる。プラハではカレル4世が貧困に苦しむ庶民の為に必要のない巨大な壁を建設したといわれている。君主に必要な徳と仕事が人と社会を幸福にするというコラム。 -
『カーズ 3 /クロスロード』 勝者が後進に道を譲る時 ヒーローの世代交代を描く
人は誰しも年を取り、永遠にトップを走り続けることはできない。ベテランの引き際とミドル・エイジクライシスを描いたシリーズ最終作を動画で紹介。自らの限界を痛感したマックイーンが第二の人生を見出す過程が感慨深い。コラム『去る者と進む者 ~敬意と想像力で支え合う』 -
『天使の絵の具』失恋したら聴く歌 ~リン・ミンメイの幻のエンディング(飯島真理)
■ はじめに 『天使の絵の具』は、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のエンディング、アイドル歌手リン・ミンメイのさよならコンサートで歌われる飯島真理さんの代表曲です。 アニメ初のヴァーチャル・アイドルとして人気を博したリン・ミンメイのパフォーマンスは、非アニメ・ファンも魅了して、一大ブームとなりました。飯... -
オスカルさまとブランデー 心の革命と『酒とバラの日々』(ヘンリー・マンシーニ)
結婚話をけってから酒びたりになったオスカル。彼女にとってのフランス革命とは、「こうあるべき」という価値観を打破する、内なる革命でもありました。ヘンリー・マンシーニの名曲『酒とバラの日々』の動画と歌詞も紹介しています。 -
無知は知の始まり オスカルさまと野菜スープ ~貴族が庶民の現実を知る時
大貴族の令嬢に生まれ育ち、華やかなベルサイユ宮殿の世界しか知らないオスカルが、ロザリーの手引きで、初めてパリの貧しい庶民の暮らしを体験する場面。「分かったつもり」でも、何一つ理解していなかったことを思い知り、後のバスティーユ攻撃に繋がるエピソードです。ポーランドの病院の食事や施設を動画と写真で紹介。 -
アンドレの「濡れてきらめく黒曜石の瞳」 人はなぜ眼差しに惹かれるのか
視神経は大脳に直結するため、心に思ったことがダイレクトに現れます。ベルばらではオスカルが「濡れてきらめく黒曜石の瞳」とアンドレへの恋心を語ります。小説『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラの「星のようにふちどるまつ毛」をモチーフに、目の魅力について語るコラム。 -
マリー・アントワネットの哀しみが心に流れてきた日 ベルサイユ宮殿の思い出
今も根強い人気を誇るマリー・アントワネット。彼女は歴代の王妃とどこが違うのか。悲運と魅力について綴る、ベルサイユ宮殿の訪問記。 -
愛を知って ~成長とは女性の苦悩が理解できること
許されざる恋に身を焦がすマリーに正論で詰め寄り、「あなたに女の心をもとめるのは無理なことだったのでしょうか」としたたかに打ちのめされたオスカルが愛を知って、マリーの心情が理解できるようになったエピソード。 -
女装スパイと外交官の官能愛を描く 映画『エム・バタフライ』
北京のフランス大使館に赴任したルネ・ガリマールは蝶々夫人のアリアを歌う女優のソン・リリンに一目惚れし、二人は愛し合うようになる。だが彼女の正体は中国政府の女装スパイだった。実話を元に異形愛を描くクローネンバーグの傑作を動画と画像で解説。 -
初代『超時空要塞マクロス』とリン・ミンメイの魅力
昭和の頃、私は熱心なアニメ&漫画ファンでしたが、初代『超時空マクロス』の劇場版「愛・おぼえていますか」を観て、アニメはこれで卒業しようと心に決めました。 理由は、二つ。 一つは、失恋した女の子の心情と旅立ちを歌ったエンディング『天使の絵の具』(飯島真理・作詞作曲)の、リン・ミンメイちゃんのパフォーマンスが素晴らしかっ... -
竹宮恵子の『地球へ・・』が描く先見性 ~コンピュータに判断を委ねる社会
未来社会、人々は日常の些細な判断までコンピュータに委ね、安楽な人生を享受していた。一方、成人検査によって超能力を持つに至った新人類『ミュウ』は人類との共存を目指して地球を目指していた。ミュウの長ジョミー・マーキス・シンと、人間社会の指導者キース・アニアンは運命的な出会いを果たし、最後の対決に挑むが、キースがとった行動は意外なものだった。竹宮恵子の傑作SF漫画とその他の名作を紹介。IT社会と現代人の在り方を問うコラム『インターネットが人の価値観や嗜好も支配する』と併せて。 -
映画『アイヒマンを追え! 』なぜ戦犯は裁かれねばならないのか
戦後、絶滅計画に関わったアイヒマンは海外に逃れ、身分を偽って平和に暮らしていた。ドイツのバウアー検事長はアイヒマンを法廷に立たせて史実と向かい合うことがドイツ民主主義の礎になると確信し、拘束に執念を燃やす。 -
悪の凡庸さ ~大衆の思考停止こそ社会的罪 映画『ハンナ・アーレント』
第二次大戦中、ナチス高官のアイヒマンは書類に判子をつくようにユダヤ人虐殺に加担した。「命令されたからやった」と無罪を主張する姿に、哲学者のハンナ・アーレントは大衆の思考停止こそ罪悪と説く。大学の講義で語られるハンナの名台詞を紹介。コラム『考えない体臭が世界を破滅に導く』 -
映画『エクソシスト』~悪魔は嘘に巧妙に真実を織り交ぜる
悪魔の言うことに耳を傾けてはならない。悪魔は嘘つきで、真実を嘘に巧妙に織り交ぜる。現代の悪魔は言葉の中に潜み、弱った人の心に囁きかけて搾取する。ポスターの元となったルネ・マグリットの名画『The Empire of Lights』と併せて。 -
マイノリティに未来はあるのか 映画『グレイテスト・ショーマン』が描くノーマライゼーションの精神
異形、有色、障がい者など、社会的マイノリティにスポットライトを当て、一流の興行師を目指すバーナムと家族の葛藤を描いた新感覚のミュージカル。好奇と蔑みの眼差しの中、『This is Me(これが私)』と熱唱する場面は圧巻。 -
神は言葉なり 映画『ザ・ウォーカー』真理が世界を支配する
世界を支配する『一冊の本』をめぐって、旅人イーライと悪党カーネギーが激突する。イーライの美しい言葉に心ひかれた少女ソラーラは行動を共にするが、カーネギーに捕らえられ、イーライも絶体絶命に陥る。キリスト教の世界観をベースに描く近未来アクションの見どころを画像と動画で紹介。コラム『神は言葉なり~真理が世界を支配する』と併せて。 -
エセ文化人が美と知性を滅ぼす 映画『コックと泥棒、その妻と愛人』
泥棒のアルバートは一流レストランのオーナーだが、文化などまったく理解しない反知性の俗物でもある。虐げられた妻ジョジーナは読書家のマイケルと恋に落ちるが、アルバートにばれて悲劇が起きる。ジョジーナと料理人が企てた壮絶な復讐と文化の死を解説。 -
映画『魔界転生』転生は人間の弱みにつけこみ、命を弄ぶ(1981年)沢田研二&千葉真一
徳川幕府に復讐を誓う天草四郎時貞は細川ガラシャ、宮本武蔵、伊賀の霧丸らを魔界衆に引き入れ、国内を混乱に貶める。絶頂期の沢田研二と千葉真一らの剣術が素晴らしい角川映画の傑作。コラム『『転生』は人間の弱みにつけこみ、命を弄ぶ』と併せて。 -
愛すべきキャラクター「リスベット」二大女優の個性が光る 『ドラゴン・タトゥーの女』
複雑なパーソナリティを有する天才ハッカー、リスベットは、虚偽の汚名を着せられたジャーナリスト、ミカエルと組んで、大富豪から依頼された少女失踪事件の解明に挑む。謎解きよりもリスベット・サランデルというキャラクターの造形に情熱が感じられる秀作。 -
映画『八甲田山』と死の彷徨 日本の組織は昔も、今も…
軍隊という硬直した組織と一部の権力に振り回される庶民の悲哀を描いた超大作。日本を戦争に駆り立てたものは何だったのか。なぜ誰も軍と政府の暴走を止めることができなかったのか。作家・新田次郎の怒りが深く静かに伝わってくる原作とルポルタージュの見どころを紹介。