心のバランスが崩れている人へ
これは、たいへん深刻な問題です。
このページを開いたあなたは、夫や恋人との間に、何らかの依存症の問題があることに気がついているはずです。
あなたか彼のどちらかが、アルコールや煙草、そして麻薬などの毒物を常用していませんか?
あるいは、過食症に陥ったり、ギャンブルに夢中になったりしていませんか?
何らかの依存症になっているにもかかわらず、それを直視せずにいると、二人の関係は破綻します。
依存症には断固とした態度で臨まなければなりません。しかし、依存症というものはじつに狡猾で、普段はひっそりと姿を隠しています。日常生活の一部となり、社会に蔓延しているにもかかわらず、誰もみずから自分が依存症に陥っていることを認めようとはしないのです。いまこそ現実を直視してください。そして、小さな一歩でも、足を前に踏み出してください。積極的な行動を起こすのです。
現代社会には、依存症から脱出しようとする人を支援する機関が数多くあります。まず、その種の機関に電話をかけてみてください。かかりつけの医師に相談したり、図書館に問い合わせたりするのもいいでしょう。インターネットで中毒の問題を扱っているホームページを探してアクセスするという手段もあります。手を伸ばしさえすれば、助けはそこにあるのです。もしかすると、依存症の問題を抱えているのはあなたではなく、夫や恋人のほうかもしれません。しかし、そんな相手に惹かれるあなたにも、問題があるのです。
依存症とは、怖れや不安といった自分の感情を避けようとして、何かにのめり込むことです。苦痛や不安から気持ちをそらしたくて、何かに依存してしまうのです。ですから、中毒や依存症はなにも酒や煙草といった嗜好品だけに限られた問題ではありません。仕事中毒、買物中毒、テレビ中毒・・・・・・。どんなものでも、どんなことでも中毒になりうるのです。
男女の関係も、社会に容認されている中毒の一つです。相手と離れ離れになっているのが耐えられないとき、恋愛に夢中になっているとき、恋愛を中毒とみなすのは難しいものです。しかし、ハネムーンの時期を過ぎても相手と二十四時間一緒にいたいと思う人、あるいは恋愛が常にその場かぎりで長続きしない人は、自分が抱えている恋愛以外の悩みから逃避する手段として、恋愛を利用しているにすぎないのです。
でも、安心してください。あなたが必死になって逃げようとしているその感情は、逃げずに経験してみれば、じつは耐えられる程度のものなのです。自分のほんとうの感情を直視したくないという思いが強くなればなるほど、耐えられないと感じるエネルギーも大きくなります。しかし、いったんその感情を受け入れてしまえば、耐えられないという思いはしだいに消えていきます。私たちはその感情に負けずに生き残ることができるのです。
いまこそ、勇気を奮い起こしましょう。あなたが、あるいは相手が、依存症に陥っていることを認めましょう。そして、自分が何かに依存することで逃げているものの正体は何であるのか、よく考えてください。
おそれる必要はありません。愛は、依存症や中毒からいちばん隔たったところにあります。
そして、そこへと通じる唯一の道は、自分の感情に負けないことです。
あなたには、それができるはずです。
出典 : 依存症を克服しよう ~心のバランスが崩れている人へ 『恋に揺れるあなたへ 56の処方箋』より
恋愛依存も心の病い
『『恋愛中毒』 好きになりすぎた時は、自分の愛し方を見つめ直そう』にも書いているように、恋愛にも中毒性があるものです。楽しかった時のことが麻薬みたいに心と身体に染みついて、それを失ったら生きていけないような状態になってしまうのです。
恋愛が上手くいっている時の高揚感は、まさに「ハイ」な状態ですし、特にそれまでの人生が冴えない場合、世界が一変するほどの幸福感を味わうと思います。
しかし、相手は人間ですから、いつかは心変わりするし、普通の社会人であれば、恋愛ばかりにかまけておれないはず。
ところが、恋愛依存になってる人は、絶頂期の高揚感を何度も求めて、最初の熱狂が冷めていくことを許しません。
どんなラブラブのカップルも、いつかは地道に落ちついて、お互いに空気みたいな存在になるのに、それを「無視された」と騒ぎ立て、相手を責めたり、もっと好きになってもらおうと頑張ったり、おかしな方向に突っ走ってしまうのです。
距離を置こう ~恋人に夢中になっている人へにも書いているように、「会う回数」や「メールの回数」は愛のバロメーターにはなりませんし、むしろ、相手との距離を置くことで、信頼も育まれるものです。
なので、相手の心を繋ぎ止めようとするあまり、あれこれ仕掛けて、なんとか気を引こうと頑張っているなら、今すぐやめて、冷静になって下さい。
今までしつこく言い寄っていた相手が、ぱたりとアクションを止めれば、普通の人は「どうしたんだろう」と気になりますし、「やっと消えた、助かった」と思っているとしたら、所詮、その程度の付き合いだったということ。そんな関係にしがみついても、幸せな結末などありません。
それより、恋愛以外のことに楽しみを見つけて、漫画を読み耽るとか、友だちメインで遊ぶとか、少し間を作ってみましょう。
アルコールや麻薬のような、依存性の強いものは専門家の助けが必要ですが、恋愛依存は、ある日、憑き物が落ちたように直ることもあります。
「この人をなくしたら、次はない」なんて思わず、辛い時ほど、いろんな人と交流しましょう。
恋愛依存は、一種の恐怖症であり、自信喪失に入り込む妄想です。
その人に嫌われたからといって、人生が終るわけでもありません。
相手がただのタヌキと分かれば、びっくりするほど覚醒するものです。
Addiction 自覚があれば、救いもある
この章の原題は、Addictionです。
addiction には、「耽溺」「嗜癖」「依存症」「中毒」といった意味があります。 [ジーニアス英和辞典第5版]
病気とまでいかなくても、私生活や仕事に支障をきたすほど、アイドルグループに熱狂したり、麻雀やオンラインゲームに夢中になったり、スマホでSNSを見るのがやめられなくなったり、危険な状態にある人も少なくないのではないでしょうか。
今や依存症は世界的にも深刻な問題ですし、「やめろ」と言われて、簡単にやめられるものでもありません。
「まずいな」と自覚したら、全力で抜け出さないと、深みにはまったら、廃人まっしぐらなんですね。
幸い、恋愛依存に関しては、突然、熱が冷めることもあるので、電車の中で誰かの着信音が鳴っただけで、ビクっと過剰に反応したり、風呂場にまでスマホを持って入るような状態であれば、相手との関係を見直して、正常に戻す努力をした方がいいと思います。
「嫌われ、捨てられるのが怖い」という恐怖心は、奴隷と服従しか生みません。
相手も、そんなあなたの恐怖を利用して、ますます横暴になるだけです。
そもそも、いつ嫌われるか、捨てられるか、とビクビクするような関係に真の安らぎがあるでしょうか。
いつも緊張を強いるような相手と一緒に居て幸せですか?
「彼に捨てられたら人生が終わる」と思い込んでいるだけで、たとえ終わっても、いつもの日常が戻ってくるだけで、あなたは一人でも立派に生きていけるはず。
もっと自分を大切にしましょう。
恋愛でも、ゲームでも、依存体質で幸せになる人はありません。
自分で自分をコントロールできるうちに、頑張って欲しいなと思います。