早稲田大学心理学教授、加藤締三先生の著書『愛される法則』(大和書房)に、こんな一説があります。
という手抜きで、人は破滅する。
「この人だからいいだろう」
という甘えで、人は破滅する。
加藤先生いわく、「愛とは小さな事の積み重ね」。
店員さんに「ありがとう」を言う。
お世話になった人に年賀状を書く。
花に水をやる。
廊下のゴミを拾って捨てる。
洗面台の水しぶきを、さっと一拭いする。
一見、何の得にもならないような、小さな事の積み重ねに、愛と幸せが訪れる……という話です。
一足飛びに愛と賞賛を求める人は、得になることや目立つことしか考えません。
宴会の幹事は喜んで引き受けるけど、物置の掃除はしない。
彼氏の前ではニコニコしているけど、ブティックの店員には横柄。
メイクは完璧だけど、生理用のナプキンはベロンと広げたままゴミ箱に捨てる。
本人は、「誰も見てない、しめしめ」と思っているかもしれませんが、そういう手抜きは、必ずどこかでボロが出るし、その人の雰囲気として現れます。
見えない所に気持ちが行き届かない人は、他人の心を推し量ることができません。
人の心の機微が分からなければ、愛も掴めません。
「愛されない」と嘆いている多くの人は、見えない所で手抜きしているのではないでしょうか。
たとえば、彼にたくさんメールを送ったり、頻繁にメッセージを送ったりするけど、ちっとも感謝されない、後が続かないと悩む女性がいます。
そういう人は、相手がどういう言葉や気遣いを求めているのか、一度、じっくり考えた方がいいのではないでしょうか。
いくら自分がラブラブ・メッセージが好きでも、相手にしてみたら、しょっちゅう、好きだの、会いたいだの言われたら、重荷に感じるかもしれません。
自分はキモ可愛いスタンプが大好きでも、相手によっては、馬鹿にされたように感じるかもしれません。
それを考えずに、自分の言いたいことを言い、自分の送りたいものを送っても、相手にしてみたら、負担に感じるだけですよね。
じゃあ、彼が本当に欲しいメールって、どんなメール?
それを考えるのが、『愛』です。
相手の気持ちを考えず、自分の言いたいことを、言いたい時に、好きなように言うのは、ただの自己満足でしかありません。
愛は、面倒くさい。
愛は、手間暇かかる。
愛は、多くを必要としない。
愛は、想像力である。
その時、相手が何を求めているのか。
どうすれば、相手に喜んでもらえるか。
考えない人に愛は掴めません。
彼の前で、どれほどイイ女ぶっても、思いやりがないのは、すぐにばれます。
愛というのは、自分が誰かを愛した時に、初めてその価値が分かるものです。
恋の話 女の話 第5号 2003年11月9日