今でも、ロリコン・アニメやグラビア・アイドルなど、過激な性描写で問題になっているマンガやビデオの類は多いけど、昔のTV番組の「エロさ」は今とは比べものにならないぐらいだった。
露出こそ少ないけれど、なんとも言われぬ「いやらしさ」に満ちて、オッパイ、パンチラは当たり前、主婦層をターゲットにしたメロドラマでは真っ昼間からエッチな絡みがあり、昼の日中にうっかりその場面が映ると、母親があわててチャンネルを替えたものだった。
当時を代表するお色気番組と言えば・・
「プレイガール」(女性探偵らのパンチラ・アクションで人気を博す。主演は沢たまき)
「11PM」(平日夜11時より読売テレビにて放送。司会者は大橋巨泉)
「影同心」(土曜夜10時よりTBSにて放送。中村主水・必殺シリーズの走りのような時代劇。蛤の貝殻で相手の睾丸を握り潰し、ショック死させる場面が子供心に衝撃的だった)
「赤とんぼ」(平日正午の連続ドラマ。とにかく絡みの多いエッチな番組だった)
私が子供の頃は、子供は夜8時か9時には就寝するのが当たり前、子供が寝付いた後、襖の向こうで「大人の時間」が繰り広げられるのが一般的な家庭の姿だった。
そして、襖の向こうから漏れ聞こえる怪しげな女性の声やテレビ画面のちらつきが、時には子供の好奇心を刺激して、余計で眠れなくなることもしばしば。
「親は何をしているのかな」と襖の向こうを覗き見ると、
「子供は早く寝なさいっ!」
とピシャっと閉められる。
とはいえ、一瞬、視界に入ったパンチラ映像や怪しげな絡みが脳裏から消えるはずもなく、こうして、子供は大人の世界への好奇心をいっそう掻き立てられ、成長へと後押しされるのであった。
↓まさにこれ(^▽^) プレイガールはちょくちょくYouTubeに上がってるので、自己検索でお願いします。
で。
夜半に始まる大人の娯楽番組の中でも、とりわけ印象深かったのが、土曜の夜10時から放送されていた『ウィークエンダー』。
加藤芳郎さんの司会のもと、数名のレポーターが、スポーツ新聞の三面記事の隅っこに載っているような、とにかく、くだらない、バカバカしい、しかもエッチな事件(下着泥棒とか、痴漢とか)を取り上げ、報道写真のフリップを交えながら、事件の全容をエキサイティングに語る、大人向けの娯楽番組だ。(たまにシリアスで、感動的なネタもあった)
で、番組の中盤には「再現フィルムのコーナー」というのがあり、喋りがあまり上手でない女性レポーターが、
「それでは、再現フィルムをどうぞ」
と紹介すると、事件をモデルにしたドキュメンタリー・タッチの映像が流れるのだけど、それがとにかく、いやらしい。
破廉恥な事件をそのまま再現するわけだから、ある場面に関してはAV顔負けである。
ゆえに、再現フィルムの時間になると、家族が妙に落ち着かなくなる。
「トイレに行ってこう~」「ミカン、取ってくるね」「ええーっと、明日の予定は何だっけ」etc
そのくせ目はテレビに釘付けという、何とも言えない緊張の瞬間だった。
(「子供に害悪」とか言いながら、なぜかチャンネルを替えないのがミソ)
*
で、この『ウィークエンダー』のテーマソングが、「チャッチャラッチャ、チャッ、チャー」という非常にインパクトのある音楽で、その曲に合わせて、
「新聞によりますと、○○県○○市居住のY田X夫は、1月から10月にかけて、なんと100回以上も住居侵入を繰り返し、自宅に一千枚にも及ぶ女性の下着を隠し持っていたとして逮捕されました」
というナレーションが入り、それに続いて、レポーターによる詳細な解説が始まるわけだけど、このテーマ曲、実はクインシー・ジョーンズの作品だと、今日はじめて、iTuneのラジオ・ストリーミングhttp://www.classicandjazz.net/で知った次第。
気持ち良くiTuneを聴いていたら、いきなりあの「チャッチャラッチャ、チャッ、チャー」が始まるんだもん。
なぬ??
と思って、放送元のhttp://www.classicandjazz.net/をチェックしたら、なんと、クインシー・ジョーンズの『Ironside』と曲名が紹介されているじゃないですかー。
あれは『ウィークエンダー』のオリジナル・テーマソングじゃなかったんですね。
「新聞によりますと、○田区、無職の○○シンゾー、54歳、パンツ一枚で女性宅に押し入り、ナイフで脅したものの、逆に女性に蹴りを入れられ、おタマが元に戻らず、そのまま救急車で運ばれたとのこと」というナレーションが聞こえてきそうでしょ。
そこで加藤さんの合いの手、「こりゃまた、とんでもないオッチョコチョイですなぁ。それじゃ、ピン子ちゃんにリポートしてもらいましょ」
はい、フリップ! フリップ! みたいな
クインシー・ジョーンズと言えば、名トランペッターであるとともに天才的なプロデューサーでもあり、マイケル・ジャクソンやレイ・チャールズなど大物アーティストとの親交も深く、彼らの成功に一役も二役も買ってきたわけだけど(ちなみに、私はクインシーがプロデュースしたマイケル・ジャクソンの曲が大好き)、上記の音楽には嘆息させられることしきり。
私の中では、ウィークエンダーとクインシー・ジョーンズは全くリンクしなかったので、本当にビックリしました。
……というか、数十年にわたる謎が解けてよかった。
まあ、こんな番組、覚えている人の方が少ないと思うけど、とにかく、あのテーマソングは、クインシー・ジョーンズの『Ironside』という曲ですから。
ご記憶の方は、懐かしさついでに是非お聞き下さい