シェークスピアの言葉に「物事によいも悪いもない。考え方によってよくも悪くもなる」というものがあります。
わたしたちは、考えることによってどんなことでも作りだせます。ということは、心は危険な兵器にもなりえるのです――特に、自分自身にとって。
心配性の人たちのほとんどは、多くの時間を自分の心のなかで、たったひとりですごしています。そこには、自分の視野のバランスを修正してくれる人はひとりもいません。つまり、現実をチェックしてくれる人がいないのです。凝り固まった考えから注意をそらしてくれる人がいないのです。
メ・デ・スタールは、心配することをたとえて次のようにいっています。
「心配するのは、自分自身をのこぎりで引いて、他人から切り離すようなもの」
心配するというのは、それほど孤独な行為なのです。
心配は、巨大な反射境のようなものです。心に入ってきたことがほとんどそのままの状態で、何倍にも拡大されて跳ね返ってきます。
心配することが問題なのは、心配すればするほど、ますます孤独を感じるということです。
心配性の人たちが学んできた心配のしかたのひとつは、自分が心配していることをほかの人に話さないようにすることでしょう。彼らは、いったん話してしまったら、今度はその人が悩みはじめるかもしれないと思っているようです。
悩んでいるのに悩んでいないふりをすれば人をだませると思うのは、傲慢さと自己中心の表れです。「親しい人の気分を害さないように努力している」とか「自分を愛してくれている人に、自分の悩みを見せないようにがんばっている」といっても、本当に相手のことを考えているわけではありません。
心配事は分かちあうことによって、解消されることがよくあります。ただし、本当にその心配事を解消しようとしているのかをよく考える必要があります。しそうした心の準備ができていなければ、なんにもならないからです。
心からあなたのことを心配してくれる人は、あなたが何を考えているのかを知りたがっている人だということを覚えておいてください。
自分の悩みを本当に解消したいと思うなら、思いきってその悩みを打ち明けてみるのもひとつの方法です。たいていは、打ち明けるだけで悩みが解消されます。
【コラム】 悩みを打ち明ける勇気を持とう
多くの人にとって、誰かに悩みを打ち明けることは、かえってストレスになるものです。
見知った人に話すぐらいなら、匿名SNSなどに書き込んだ方がばるかに楽な事もいるでしょう。
しかし、対面の触れ合いにまさるものはなく、言葉だけの応酬、匿名でのやり取りは、一瞬、癒やされても、長続きしないものです。
となると、現実的な問題を解決するには、やはり、信頼できる人に打ち明ける以外にないのではないでしょうか。
とはいえ、相手選びも一苦労ですし、たとえ相手がいい人でも、仕事が忙しかったり、その人自身も疲れ切って、他人の事まで気が回らないかもしれません。
そう考えると、今の時代、何でも打ち明けられる友だちがいるというだけで幸せなのかもしれないですね。
私からのTipsは次の通りです。
● どうしても相談相手が見つからない時は・・・
『匿名掲示板を利用してみる』
悩み事を文章化することで、気持ちが落ち着くことがあります。
ただ、コミュニティによっては、意地悪な人もいるので、安全な掲示板を利用することをおすすめします。
お坊さんが優しく返事してくれるサイト。ここは良質です。
https://hasunoha.jp/
『SNSの匿名アカでつぶやいてみる』
ほとんどフォロワーがなくても、ひたすら愚痴や悩み事をツイートしている人も見かけます。
誹謗中傷は駄目だけど、書いて発信することで気持ちが落ち着くなら、利用する価値はあると思います。
● 心身の不調が酷い時は……
『クリニックに行ってみる』
一昔前は、心療内科や精神科に行くと、奇異の目で見られましたが、今は世界的に受け止め方も変化して、気軽に通院できる場所になっています。(社会的に成功する人でも利用するほど)
身体のケアと同じくらい、心のケアも大事なので、「眠れない」「食欲がない」など、日常生活に支障をきたすようなら、一度、相談されることをおすすめします。
● 相談したい人はいるが、きっかけが見つからない……
『まずは相手の話を聞いてみる』
そこそこ親しい仲だけど、改まって相談となると、気が引けてしまう人は、まずは相手の話を聞くことをおすすめします。
いきなり電話して、「私の悩みを聞いて~」とすがりつけば、相手も気が重くなりますが、まずは相手を思いやる気持ちで、「最近、調子はどう?」と聞き役に回れば、相手も「そういうあなたこそ、調子はどうなの?」と聞いてくれますので、その時に切り出せばOK。
その際、ギブ&テイクのできない人は気をつけましょう。相手ばかり、一方的に喋って、あなたの暮らしぶりなど、気にもかけないタイプです。こういうのは利用されるので、「しんどいな」と思ったら、距離を置くようにしましょう。
何事も、お互いに助け合う気持ちがあって初めて、頼り・頼られの友好関係が維持できます。
どんなに辛くても、相手の立場を思いやる余裕を忘れずに。
そして、相手の回答が気に入らなくても、必ず「ありがとう」を言うこと。
この投稿は【何かを心配しているときにそっと開く本 (ワニ文庫)】から一部を引用しています。後半のコラムは管理人が執筆しています。