『天使の絵の具』失恋したら聴く歌 ~リン・ミンメイの幻のエンディング(飯島真理)

■ はじめに

『天使の絵の具』は、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のエンディング、アイドル歌手リン・ミンメイのさよならコンサートで歌われる飯島真理さんの代表曲です。

アニメ初のヴァーチャル・アイドルとして人気を博したリン・ミンメイのパフォーマンスは、非アニメ・ファンも魅了して、一大ブームとなりました。飯島真理さんのコンサートには、リン・ミンメイのファンが大挙して押しかけ、一人の歌手として活動したい真理さんにリン・ミンメイの楽曲ばかりリクエストして、大変なプレッシャーをかけたことでも知られます。

見方を変えれば、リン・ミンメイというキャラクターにも、飯島真理さんの歌唱にも、人を狂わせるほどの魅力があり、それゆえ初代マクロスも伝説的な作品になりました。

歌詞、歌唱ともに、女性の心を鷲掴みにする、珠玉のラブソングです。

目次 🏃

『天使の絵の具』失恋したら聴く歌

幻のエンディング

記 2007年11月24日

1984年に封切られたアニメ映画『超時空要塞マクロス』のエンディングで、当時、オタクのアイドル的存在だった飯島真理さんが歌う『天使の絵の具』は、私にとって最高位に位置づけられるラブソングです。

Flash Back(上記の動画)の前半部は、ミンメイのさよならコンサートであり、後半部は、両親の反対を押し切ってマクロスに乗り込み、アイドルとして成功しながらも、輝との恋の終わりをきっかけに歌手を引退し、新しい移民船(未紗が艦長を務め、輝が護衛する)に乗って、新天地に旅立つ場面が描かれています。

「ヒロインが失恋する」という設定は、当時としては非常に珍しいものでしたし、それがまたアニメ史上に残るような可愛いキャラクターだっただけに、感動もひとしお。

映画のエンディングに流れる『天使の絵の具』の美しさと切なさは、数あるラブソングの中でも白眉のものです。

マクロスの音楽は、羽田健太郎さんが手がけておられますが、『天使の絵の具』は歌手の飯島真理さんが作詞・作曲を手がけ、今なお内外のファンに愛されています。

劇場版レビュー『『超時空要塞マクロス』の魅力 リン・ミンメイは可愛かった』でも書いているように、『天使の絵の具』のパートは作画に懲りすぎて、劇場公開に間に合わず、当初、このパートは黒塗り背景にテロップだけという、非常にお粗末なものでした。

しかし、数年後、幻のエンディングを含めたリン・ミンメイのメモリアル・アルバム『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』がレーザーディスク版でリリースされ、当時のファンはようやくこのパートを視聴することが叶った次第です。ちなみに、レーザーディスクが市場に出回っていた時、10万円近い価格で取引されていました。

しかし、劇場公開に間に合わなくても、このパートだけは完璧に仕上げたい! というスタッフの思いがひしひしと伝わってくる、高画質&ハイクオリティのエンディングです。

『天使の絵の具』の魅力

私がこの曲に惹かれるのは、どんな時も前向きなミンメイの魅力が溢れているからです。

アニメを見れば分かりますが、ミンメイはとにかく我が侭で、「いつも私のことを優しく構ってくれなきゃ、イヤ!」な自己中の甘えん坊。

結局、それが原因で恋人の輝を疲れさせ、別れに至ってしまいますが、それでも自分を信じて、新たな一歩を踏み出す姿が印象的。

ミンメイには、「女の子らしい女の子」の魅力がぎゅっと詰まっているんですね。

女の子の美点は、「明日」というものを信じられる純粋さです。

中年にもなると、感じ方も考え方も捻くれて、純粋さも失われていきますが、ミンメイのように身も心も若鮎のようにみずみずしい女の子は、悲しみさえ生きるパワーに変えて、軽やかに舞えに踏み出すことができます。

いつまでもその場にうずくまって泣いたりせず、どんな時も、光のある方を目指します。

後半、すがすがしい笑顔を浮かべて、空を見上げるミンメイの姿が、天界の蝶のように美しいのも、女の子の涙は決して不幸の象徴ではないからでしょう。

女の子は、大いに恋をして、大いに悩み苦しみ、何度でも生まれ変わるような気持ちでやり直せばいいと思う。

どうしても辛い時は『天使の絵の具』が心を洗い流してくれるから。

大好きです。

エンディング『ランナー』の謎 ~「追いかけない」の意味

TV版のエンディングで効果的に流れていた『ランナー』(藤原誠・歌唱)の、「僕はもう追いかけはしない」のフレーズは、リアルタイム・ファンにとって大きな謎かけでした。

「追いかけはしない」の対象は、青春なのか、リン・ミンメイなのか。

当時の人気アニメ雑誌『アニメージュ』では様々な意見が飛び交い、「大人になった輝が青春時代を回想する歌」という見方が有力でしたが(最後にヒロインと破局に至るとは誰も想像だにしなかった)、大多数の予想は大きく外れました。

時を経て、じっくり聞き直すと、この曲の良さがしみじみと分かります。

ここで終わって、本当に良かった。

いろんな意味で、お手本のようなアニメでした。

ミンメイと輝の旅立ちは、漫画とアニメに熱狂した子供時代の終わりでもありました。
いい作品をリアルタイムに楽しむことができて、本当に幸運な世代だったと、今も思っています。

天使の絵の具と『Flash Back 2012』

上記の通り、幻のエンディング『天使の絵の具』は、劇場公開から何年も経ってから、「リン・ミンメイのベストアルバム」というコンセプトで、レーザーディスク・アルバム『FLASH BACK 2012』としてリリースされました。

■ レジュメ

0:00 天使の絵の具 Part 1
2:05  サンセットビーチ
5:45 0-G Love
6:56  小白竜
8:20  シルバームーン レッドムーン
10:52  愛は流れる
15:20  シンデレラ
16:52  愛・おぼえていますか
23:22  天使の絵の具 Part 2
28:10  ランナー

現在、DVDとして販売されており、コレクターズアイテムだった時代に比べれば、大変お求めやすい価格になっています😅
スケールアップとブルーレイ化が待たれます。

超時空要塞マクロス Flash Back 2012 [DVD]
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音楽配信とCD紹介

サウンドトラック 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか<音楽篇>

サウンドトラックは天才・羽田健太郎さんが手がけておられるので、シンフォニックで素晴らしいです。
特に、マックスVSミリアの一騎打ちで流れる『ビフォー・ザ・バトル』は圧巻ですね。
柿崎君、真っ先にやられてますけど😅

「小白竜」「0-G LOVE」「シルバームーン レッドムーン」などリン・ミンメイのヒットメドレーはTV版サントラに収録。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 音楽篇
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか<音楽篇>

amazon music Unlimitedで視聴する

「超時空要塞マクロス」TV版サントラ

リン・ミンメイのヒット曲「小白竜」「0-G LOVE」「シルバームーン レッドムーン」、OPとED『ランナー』など収録。
戦闘場面で効果的に流れた『ドッグファイター』なども収録されています。
ファンなら、どちらも購入おすすめです。羽田健太郎の底力をひしひしと感じます。

「超時空要塞マクロス」 TV版サントラ
「超時空要塞マクロス」 TV版サントラ

ALL TIME BEST ALBUM 飯島真理

『天使の絵の具』『愛・おぼえていますか』をはじめ、飯島真理さんのヒット曲をぎゅっと集めたベスト盤。
私のお気に入りは『セシールの雨傘』です。

飯島真理さんの楽曲は大半がSotifyで視聴できます。
興味のある方は『飯島真理のアーティストリンク』からどうぞ。

ALL TIME BEST ALBUM
ALL TIME BEST ALBUM [通常盤] [3CD]

劇場版&TV版の総合レビュー

劇場版とTV版の公開当時の衝撃は、「初代『超時空要塞マクロス』とリン・ミンメイの魅力」にまとめています。興味のある方はぜひご覧下さい。

Novella
初代『超時空要塞マクロス』とリン・ミンメイの魅力 | Novella 昭和の頃、私は熱心なアニメ&漫画ファンでしたが、初代『超時空マクロス』の劇場版「愛・おぼえていますか…
誰かにこっそり教えたい 👂
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