人と社会– tag –
-
ジレ・ジョーヌを着た『島の馬』(ジャック・プレヴェール)
どこか遠くの島に、ひとりぼちの馬がいる。 馬が草など食べている。そのむこうに一艘の船が見える。それは馬がこの島へ来るとき乗った船で、いずれ帰るときにも乗る船だ。 もともとひとりぽっちの馬ではない。 ほかの馬との付き合いが大好きだから、こうしてひとりでいると退屈でたまらない。 何か、ほかの馬の役に立つことをしたいと馬は思... -
『国民の道徳』(西部邁)より ~道徳の基本は死生観
『国民の道徳』(西部 邁)の概要 『国民の道徳』 文: 西部 邁(新しい歴史教科書をつくる会) 2000年10月27日発売予定 (株)扶桑社 サンケイ新聞(7月26日)に掲載されていたCMコピー 未来を語れるのは、道徳だけかもしれない 道徳は、過去のものではありません。 未来へ進む私たちに贈られた英知です。 信じられないことが続発していま... -
秩序が乱れると組織は機能しない ~野村克也 VS 早坂茂三の対談より
いつか再び、若い世代が戦いの必要性を実感した時、昭和のおとーさん達の硬派な言葉が心に響くかもしれない。ある意味、現代には顧みられぬこれらの本は、未来の悩める若者の為に書かれたのかもしれない。 -
『かもめのジョナサン』と群れを愛そう ~孤高と孤立の違い
かもめのジョナサンは漁港と岸の間を往復する生き方に疑問を抱き、一人で極限速度を目指して群れから追放される。やがてジョナサンは飛行法を極め、最高の生き方を伝授したいと願うが、群れに無視される。一方、ジョナサンに共感する弟子たちは彼を神祖と崇め、間違った方向に突っ走る。現代の自己啓発ブームの先が駅となった小説を五木寛之が鋭く分析。本作の危うさと若者心理に関するコラム。 -
土木は国家の礎 宮崎学の著書『談合文化』 ~日本を支えてきた『人』の力
昭和においては談合は悪とされてきたが、反面、職人を育て、技術の質を確保するシステムでもあった。宮崎勤氏が建築・土木業界の崩壊のプロセスを分かりやすく解説。日本の産業全体の問題点を指摘する良書。 -
早坂茂三の著書「鈍牛にも角がある」「オヤジとわたし」
奇蹟の秘密は何か。政治音痴の日本人のなかで、角栄だけが政治を理解していたからである。人間洞察の深さにおいて桁違いであったからである。 -
青春と革命は相性がいい 三好徹『チェ・ゲバラ伝』 ~青春期の情熱と信念を貫いて
裕福なアルゼンチンの家に生まれ、喘息というハンディすらもつチェ・ゲバラは南米の貧困問題や独裁に心を痛め、盟友カストロと共にキューバ革命を達成する。青年期の疑問や情熱を生涯持ち続けたゲバラの生涯と感動的な『別れの手紙』を紹介。優れた言論人であり詩人でもあるゲバラの一面が窺える良書。『フィデル・カストロへの手紙~祖国か死か』『両親への手紙~信念を証明する』『不正に敏感であれ』『青春と革命は相性がいい』 -
オスカー・ワイルドはFacebookの「いいね」が嫌い
オスカー・ワイルドがSNSをやっていたら、たくさんの「いいね!」にかえって恐怖を感じ、アカウントを閉じてしまうだろうというお話。周囲の安易な賛同は時として自分を見失わせます。 -
人は労働を通して社会的存在になる ~カール・マルクスの哲学
人間は労働を通して社会的存在になる。社会的存在とは、自分一人の世界の中ではなく、人々との交流の中に生きているということである。労働者革命の一大潮流を生み出したカール・マルクスの名言を紹介。今マルクスを読むべき理由や思想についてのコラムです。 -
人間が大事なのか、商品が大事なのか ~ 共産主義思想が誕生した歴史的背景 人と思想『マルクス』小牧治
マルクスの思想の真髄は労働者が資本主義社会における立ち位置を理解し、高い社会意識をもって仕事に取り組むこと。労働者が人として尊重され、各自の能力が社会に活かされる点にある。私たちは日常のささやかな改革を行うことで、自身も周りも幸福にすることができる。それが革命やイデオロギーよりも大切なマルクスの願いである。 -
情けは人の為ならず ~自己責任論の矛先
自己責任論の矛先は、いずれ自分自身に向かう。 自分も同じ境遇に陥った時、周りに「助けて」と言えないからだ。 言えば、自分も同じように「自己責任」とあしらわれているのが目に見えている。 誰にも言えず、他人を信じることすらできず、自己責任の罠にはまって落ちていく。 昔から『情けは人の為ならず』というが、自身の暗黒もいつ訪れ... -
若者のひもじさと年長者のご馳走の思い出
10代から20代にかけて、いつもお腹が空いていたのを今も思い出します。 食べても、食べても、すぐにお腹が減って、「お腹空いた……」って、食べ物のことばかり考えてた時もありました。 年寄りになると基礎代謝も激減して、空腹もめったに感じなくなるけれど、若い時分の空腹感って半端ないですよね。 何もしなくても、仕事がなくても、とにか... -
異文化交流の理想と葛藤を描く 映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』
移民問題に揺れる欧州。高級レストランの真向かいに、まさかのインド料理店。気品溢れる女主人マロリーと香辛料プンプンの移民一家は対立するが、料理を通じて次第に理解し合うようになる。異文化共生について考えさせられる心温まる人間ドラマ。コラム『伝統だけでは廃れる。自己流だけだと伸び悩む』と合わせて -
セカンドレイプと裁判の実態を描く ジョディ・フォスター主演の映画『告発の行方』
世界的な#MeTooに先駆けて、ジョディ・フォスターが体当たりで演じたレイプ裁判の実態を画像付きで解説します。被害者でありながら病院や警察の取り調べでは辱められ、世間には「同意の上」と非難される性犯罪。被害者が圧倒的に不利な中、弁護士は犯人を有罪にすることができるのか。法の盲点を突いた社会派ドラマの傑作。 -
勝者の語る正義に説得力なし 映画『ジョーカー』とホアキン・フェニックスの魅力
病苦と貧困にあえぎながらも笑いを忘れないアーサー。しかし格差の壁は厚く、仕事も失い、だんだん心を病んでいく。壊れざるを得なかったジョーカーの狂気をホアキン・フェニックスが好演。 -
国家の安全保障か、ネットの自由か 映画『スノーデン』と『シチズンフォー スノーデンの暴露』
『捜査とは人生に立ち入り壊すものです』テロ防止という大義の下に全く無関係な個人の私生活や思想まで覗き見られていることに疑問をもったスノーデンは香港に逃れ、ジャーナリストにNSA(アメリカ国家安全保障)による監視の実体を暴露する。安全か、自由か、すべてのネットユーザーに疑問を投げかける渾身の社会派ドラマ。 -
映画『ペレ 伝説の誕生』 アイデンティティと自信喪失の時代を自分らしく生きる
サッカーの神様ペレの誕生にはブラジルの国民性を象徴する『ジンガ』の動きがあった。欧州風のフォーメーションプレイに従うよう強要され、自分のプレーを見失うが、ジンガこそ自らのルーツと思い定め、ブラジル国民の願いを体現する。コラム『スポーツと国家の威信 : 伊藤みどりさんの活躍を振り返る』 -
底辺にしか分からぬ感情がある 映画『モンスター』(2003年) シャーリーズ・セロン主演
自己責任か、境遇か。シャーリーズ・セロン演じる連続殺人犯アイリーン・ウォーノスは一見、無節操・無計画に見えるが、底辺には底辺の苦しみがあり、自己責任では割り切れないものがある。アカデミー賞に輝いた捨て身の熱演を画像付きで解説。『みんな私のことを、生き残ることしか考えないクズと思ってる。私には”選択肢”がなかった』 -
実体なき現代のマネーゲームを描く 映画『マネーモンスター』
人気投資番組の司会者ゲイツは、彼のすすめた投資で大損した青年カイルに生放送中に襲撃される。事件は米国中に生中継され、株価暴落のカラクリが次第に明らかになる。現代のマネーゲームに警鐘を鳴らすジョディ・フォスター監督の傑作。 -
戦争とは歴史の無慈悲なロシアン・ルーレット 映画『ディア・ハンター』
運が悪ければ頭が吹っ飛び、運がよければ生き延びる。敵国だろうが同盟軍だろうが、貧乏人に待ち受ける運命はみな同じ。気まぐれにロシアン・ルーレットを弾く手は、決して自ら汚れることはない。ロバート・デニーロとクリストファー・ウォーケンの名演が胸に迫る戦争映画の傑作。