社会派ドラマ– tag –
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底辺にしか分からぬ感情がある 映画『モンスター』(2003年) シャーリーズ・セロン主演
自己責任か、境遇か。シャーリーズ・セロン演じる連続殺人犯アイリーン・ウォーノスは一見、無節操・無計画に見えるが、底辺には底辺の苦しみがあり、自己責任では割り切れないものがある。アカデミー賞に輝いた捨て身の熱演を画像付きで解説。『みんな私のことを、生き残ることしか考えないクズと思ってる。私には”選択肢”がなかった』 -
実体なき現代のマネーゲームを描く 映画『マネーモンスター』
人気投資番組の司会者ゲイツは、彼のすすめた投資で大損した青年カイルに生放送中に襲撃される。事件は米国中に生中継され、株価暴落のカラクリが次第に明らかになる。現代のマネーゲームに警鐘を鳴らすジョディ・フォスター監督の傑作。 -
戦争とは歴史の無慈悲なロシアン・ルーレット 映画『ディア・ハンター』
運が悪ければ頭が吹っ飛び、運がよければ生き延びる。敵国だろうが同盟軍だろうが、貧乏人に待ち受ける運命はみな同じ。気まぐれにロシアン・ルーレットを弾く手は、決して自ら汚れることはない。ロバート・デニーロとクリストファー・ウォーケンの名演が胸に迫る戦争映画の傑作。 -
中国の台頭と移民社会の未来を描く 映画『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』
80年代、21世紀の中国台頭について予見していたマイケル・チミノ監督のアクション映画。ニューヨークのチャイナタウンを舞台に昇竜の如く勢力を伸ばすチャイニーズ・マフィアとNY市警の死闘を描く。コラム「移民社会は国家より強し」と併せて。 -
パンデミックの脅威を描く 映画『アウトブレイク』 ~なぜ感染症は水面下で拡大するのか
ダスティン・ホフマン主演の医療サスペンス。医療機関の監修に基づき、感染症が拡大する様子をリアルに描いている。陰謀あり、駆け引きありで、娯楽としても楽しめる良作。医療コラム『なぜ感染症は水面下で拡大するのか』と併せて。 -
インシャアッラー 全てを神の御心に委ねて 映画『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語』
サダム・フセインの息子で、ブラック・プリンスと言われたウダイの影武者を務めたラティフ。ウダイの蛮行に苦しむラティフに、父親は「我々が無力でも、いつか必ず神の裁きが下る。お前が自由を得ることで、私が死ぬことになっても、それは神のご意志だ。インシャアッラー(すべては神の御心のままに)」と励ます。 -
世界一尊敬されないファウンダー マーク・ザッカバーグの伝記映画『ソーシャル・ネットワーク』
大学生マーク・ザッカバーグは友人らと交友ネットワークを立ち上げ、大成功を収めるが、利益とサービス拡大を追い求めるうち、友情はひび割れ、訴訟問題に発展する。世界中のユーザーと繋がっても、たった一人の恋人の心さえ掴めない、人間観察の皮肉が利いたデヴィッド・フィンチャー監督の秀作。コラム『ソーシャル・ネットワークは世界中の人を幸福にしたのか』 -
映画『フロスト×ニクソン』 元大統領は謝罪するのか? 世紀のインタビューを描く
悪名高いウォーターゲート事件の中心人物として現役中に弾劾されたニクソン大統領と、真実を突き止めるべくインタビューに挑む人気司会者のフロスト。真実を語ることで復帰の足がかりを永久に逸したニクソンは、政治家としては完全に終わったが人として救われた。迫真の政治ドラマの見どころを解説。 -
映画『シンドラーのリスト』とオフィシエンチム戦争博物館(アウシュビッツ収容所)の記録
スティーブン・スピルバーグのアカデミー受賞作「シンドラーのリスト」の見どころを動画で紹介。オフィシエンチム(アウシュビッツ)博物館の日本人ガイド中谷剛氏の著書とテキストから、歴史教育に関する考察を掲載しています。 -
バブル期の日本の強みと若者への願いを描く 劇画『サンクチュアリ』 池上遼一 / 史村翔
1990年代、バブル景気に湧く日本社会を舞台に、カンボジア大虐殺を生き延びた北条と浅見が、裏と表から日本のサンクチュアリに挑む。唱和の一党支配や金権政治を知る上でも参考になる政治ドラマの傑作。日米自動車競争の折、日本社会の強みについて語る浅見の言葉が印象的。 -
それでも幸福は金で買える 映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
儲けにプラスアルファで再投資。それを何度も繰り返す。すると客は金持ちになったと勘違いし、ますます株の売買にはまる。ウォール街の伝説ジョーダン・ベルフォートの金銭哲学と逮捕までの日々を過激に描くマーティン・スコセッシ監督の話題作。真面目に働くのが馬鹿馬鹿しくなるウォール街の名言を紹介。 -
金か、命か 大富豪の醜怪な内面を描く 映画『ゲティ家の身代金』
世界一の富豪ポール・ゲティ石油王の孫が誘拐される。犯人は巨額の身代金を要求するが、ゲティは支払いを拒否。苦悩する母親アビゲイルは粘り強く交渉を続けるが、誘拐された孫の耳が新聞社に送りつけられて、事態が一転する。#1000文字 映画評 -
法と支援の狭間 甘くない現実と愛を描く映画『チョコレートドーナツ』
歌手のルディは母親に置き去りにされたダウン症の少年マルコの監護者となり、恋人ポールと一緒に世話をするが、同性愛が発覚し、マルコと引き離される。法の狭間で翻弄される少年と支援の在り方を描く感動ドラマ。 -
獣性という名の悪魔 映画『蠅の王』(1990年)
無人島に不時着した少年たちが次第に人間性を失い、逆らう者を襲撃するようになる。現代文明との対比が素晴らしい。大人不在の子供社会の異様さを如実に描く衝撃のドラマ。 -
戦後日本の宿命と社会の不条理を描く 森村誠一『人間の証明』
八杉恭子に人間の心が残っているなら、必ず自白するはずだ。戦争直後の混乱と貧困を背景に、人種差別や階級格差を描いた本作は、単なる推理劇にとどまらない重厚かつ社会的な人間ドラマ。
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