ニーチェと生の哲学– tag –
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ニーチェの『曙光』~いまだ光を放たざる、いとあまたの曙光あり
宇宙に幾多の星が瞬くように、海の底にも数え切れないほどの光の萌芽が眠っている。 《いまだ光を放たざる、いとあまたの曙光あり》 インドの古典『リグ・ヴェーダ』の一節を胸に浮かべながら、アルはシートに深く身を沈め、未だ見ぬ光の萌芽を思った。 陽は落ちても、また立ち上り、永遠に海を廻る。 アルが本当に掘り出したいのは海底に眠... -
『これが生だったのか。それなら、よしもう一度!』 自己肯定と魂の幸福
たとえば、太陽は海の向こうに沈んでも、また昇って輝きたいと願う。それは太陽である自分自身を悦んでいるからだ。それと同じように、君もこの人生、同じ自分を何度生きてもいいと思えるようになれば、心の底から幸福を感じるようになる。 第1章 運命と意 本作の主人公、ヴァルター・フォーゲルは子供の頃、突然、誰とも話さなくなり、「場... -
今日は沈む陽も海の向こうでは朝日になる 全てのものは形を変えながら永遠に廻る
「本当に果てしないのね。海だけが永遠に広がっているみたい」「でも、西に飛び続ければ、一巡りしてまた元の場所に戻ってくる。果てがないように見えて、全ては一つに結ばれている。まるで『永遠の環』The Ring of Eternity のように」「The Ring of Eternity……」「そう。今日は沈む夕陽も海の向こうでは朝日になる。この世に終わりも始まり... -
人は決意した瞬間が一番美しい ニーチェの『新たなる海へ』と『シルス・マリア』
かなたへ――われは向かわんと欲する 今より頼るは この我と わがうで(伎倆)のみ 海原は眼前にひらけ その蒼茫の涯へと わがジェノアの船は乗り出す 大きな試練は大きな苦痛を伴うかもしれないが、それは選ばれた人間だけが背負うことのできる天命と思う。 -
クリスマスとイエス・キリスト ~真理は、あなた方を自由にする
この方は、人類のあらゆる罪を一身に背負うために、この世に現れたのだ。ご覧、あの十字架に、世界中の苦痛がのしかかっているようではないか。これは終わりではない。始まりだ。いずれ、世界中の人々がこの方に付き従って行くだろう -
「独身のほうがいいとおっしゃる方は、なかなか考えを変えてくださらないし」ゲーテの『ファウスト』より
逃げるメフィストフェレス。追う乳母マルガレーテ。いつまでも独身の自由を楽しみたい男にとって女が仄めかす「結婚」の二文字は悪魔の囁きかもしれない。結婚をめぐる男女の駆け引きは現代と変わらず、18世紀に男のゲーテがこういう台詞を思い付いたのは作家の妙。 -
新年の夜明けに寄せて『曙光』と『落日』廻る光の物語
東向きの部屋に移り住み、昼夜逆転の生活をするようになってから、夜明けを目にすることが多くなりました。 私はそれまで『日の出』というものを見たことがなく、いつも頭上で燦燦と輝く太陽しか知らなかったのですが、初めて曙光を見た時、胸にしみいるような感動を覚えたものです。 山間を薄紫に染めながら、ゆっくり昇ってくる、生まれた... -
新たなる海 ・ニーチェと命の詩
今は、書を閉じて、バレンタインを君と祝おう。私の青春を支えてくれた、「ツァラトゥストラ」と共に。『のぼれ、のぼってこい、お前、偉大なる正午よ──』その陽の中に、ハート型の輝きがある。 -
曙光と落日 廻る光の哲学とニーチェ
今にも落ちそうな陽に、哀れを感じたことはありませんか? 西日の強さにうんざりさせられたことはありませんか? 私はどうしても『沈む陽』の気持ちが分からなくて、西の空を燃えるような赤や黄金に染める太陽に、何度も問いかけたものでした。 -
『ツァラトゥストラ』で読み解く ニーチェの『永劫回帰』と『自己超克』
難解と言われるニーチェの『永劫回帰』も「海と太陽」に喩えれば分かりやすい。自己を肯定し、意思もって生きることの大切さを説いたニーチェの生の哲学の集大成を分かりやすく解説しています。 -
創造的な生き方とは ~目的を打ち立て、大地に意味と未来を与える者
今の世の中、「自分が好きになれない」と悩んでいる人も少なくありません。 好きになれない原因は、「理想通りにならない」「欲しいものが手に入らない」「周りと比べて劣っている」といった不満や不安が根底にあります。 それが、つのりつのって、怒りに変わると、激しいルサンチマン(怨念)となり、世を呪って、自分も周りも苦しめるよう... -
人生に大切な三つの『 L 』~ Lord(道) Love(愛) Life(人生)
ヘブライ語で EL と書けば、「至高者=神」表わします。LORD = 主、道、指導者。LIFE = 生命、人生、生活。LOVE = 愛の象徴。LOVEから生まれ、LOVEに支えられるのがLIFEです。人間が生きていく上で一番大切なこと、それは自分が望まれてこの世に生きていると確信することです。 -
自由とは自分を恥じないこと ~ニーチェの『悦ばしき知識』 創作の背景と名言
ニーチェの『悦ばしき知識』(「喜ばしき知恵」)は、究極の生の肯定を描いた『ツァラトゥストラ』の前段階にあたる著書で、「これが生だったのか、よし、それならもう一度」という永劫回帰に向かう思想の助走にあたる作品です。 ニーチェの著書は、いずれも思想の断片を集めたアンソロジー的なもので、分かりやすい金言もあれば、抽象的で、... -
フリードリヒ・ニーチェの哲学 「自己超克」と「生の肯定」は本当に救いになるか
生そのものが、柱を立て、階段をつくって、高みを目指して、おのれを打ち建ててゆこうとする。生は、はるかな遠方に目をそそぎ、至福の美を望み見ようとする。そのために生は高みを必要とするのだ。ニーチェの哲学の心髄である『自己超克』に関するエッセー。 -
初心者におすすめ FOR BEGINNERS『ニーチェ』解説本 ~ルサンチマンの乗り越え方
竹田青嗣のやさしい文章とサイケデリックなイラストが魅力のビギナーズ本。生涯考え抜いたニーチェの生き様とルサンチマンの解決法などを引用を交えて紹介しています。
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