釈迦の名言108の知恵より
松涛弘道氏の著書『釈迦の名言108の知恵―今日を生き、明日への希望を開く指針』からの引用です。
いくらみにくい世の中にあっても
いつも自分を見失わず
できるだけ多くのものを見聞きし
そのこころをすなおに受けとめて
その中から真実なるものを見わけ
自らはおだやかに かつ明快に語り
けっしておそれることなく
いつでもどこでもだれにでも
堂々たる態度で立ち向かおう
自分に対して忠実に
物に対して確実に
人に対して誠実に 接してゆけば
たとえ そうすることによって
よい結果がえられなくても
けっして悔いはないものである
わたくしの人生はたった一度しかなく
この世にたった一人しかない
自分なのであるから
その自分を生かし 周囲のものを生かし
すべての人を生かしきるような
人生にしたいものである
つらいときや かなしいときは
いつも澄んだ瞳で広く深い空を見上げ
姿勢を正して
周囲にただよう新鮮で透明な空気を
胸いっぱい吸い込もう
そして自分のこの世でやるべきことを
たとえ誰が見ていなくても
また それがいくらつらいことであっても
けっしてくじけず たゆまず
ただ コツコツとなしとげよう
そして どこかに不幸な人がいたら
いつくしみの心をもって
どんなことにでも 力になってあげよう
うれしいときや たのしいときは
いつもそのしあわせを一人じめにせず
ひとにわかち合って共に喜ぼう
いくら この世が
喧騒と欺瞞にみちあふれていても
みんながもっと美しい
ほんとうに尊いものが
あることを知っている
そうしたものを限られたいのちの中で
せいいっぱい育ててあげられたら
きっと うれしくてたまらないだろう
そして いつの日か
人生のおわりに至ったあかつきには
自分のたどって来た道をふりかえって
静かにほほえめるような
悔いのない一生を送りたい
松涛 弘道
もっと美しい、ほんとうに尊いもの
2000年に読んだ本の覚え書きより。
一番いい箇所は「いくら この世が 喧騒と欺瞞にみちあふれていても みんながもっと美しい ほんとうに尊いものが あることを知っている」。
性善説というよりは、常識人の心根に宿る良心みたいなもの。
「美しい、尊いもの」などすっかり忘れてしまったような人も存在するが、世の多くの人は前者であるから、社会の秩序も保たれている。
社会を崩壊させるのは経済危機でも高齢化でもなく、その他大勢の心根に宿る良心の喪失に他ならない。
今の世の中、人間の良心ほど、孤独で、繊細で、傷つきやすいものはないから、私たちは、それが外から毒されないよう、しっかり守ってやる必要がある。他人の良心然り。
自分の取り分が少なくても、自他を欺かない者は、そうでない者より、ずっと安らかでいられる。
常にいらいらと勝ち負けを気にせずにいないのは、自分の良心を裏切っても、優位に立ちたいと願うからだろう。
美しいものや尊いものは、平和と秩序の根幹を成すものだ。
たとえ真面目で、わかりきったことでも、大切にしたいものである。
初稿 2000年6月3日