Set them Free ~本当に愛しているなら、相手を自由にしておくこと
イギリスの有名なミュージシャン、STING(スティング)が『Set them Free』という曲の中で、次のように歌っています。
If you love someone set them free.
(もし君が誰かを愛しているなら、その人を自由にしておくことだ)
自由にしておくことは、「好き勝手にさせる」とは違います。
その人が何を思い、どう行動しようと、「束縛しない」「干渉しない」「支配しない」「罰を与えない」という意味です。
「いつ誰に会ってたの?」
「どうしてそんな事をするの?」
相手の気持ちや行動を逐一問い質して、自分の思う通りに変えようとしても、相手は反発するだけで、ますますあなたから遠ざかっていくでしょう。
むしろ距離を置き、相手の自由を尊重することで、心は近くなります。本当の自分を尊重されているように感じるからです。
本当に愛しているなら、相手を自由にしておきましょう。
相手を失うまいとする余り、相手から考える自由も、行動する自由も、何もかも奪ってしまえば、後には恨みしか残りません。
ウサギも追えば追うほど逃げていくように、人間も「この人の罠にはまる」と感じたら、全力で逃げ出すもの。
手を離し、ありのままの相手を尊重することで、あなたもまた、ありのままの自分を大事にしてもらえます。
適切な距離と自由こそ、愛を育む秘訣です。
愛を取引しない
もし、あなたが相手に何かをして、相手も同じように好意を返すのが当たり前だと感じているとしたら、それは礼儀でも、常識でもなく、単なる取引です。
あなただって、身近な人から、「僕がリンゴを100個あげるので、あなたはミカン100個を返して下さい。リンゴを受け取ったら、あなたがミカンを返すのは当然です」と言われたら、ずるいと感じるでしょう。
本当の思いやりとは、相手がお腹をすかせた時、黙ってリンゴを一個、差し出すことです。
相手はリンゴを食べてもいいし、食べなくてもいい。
ミカンのお返しも必要ありません。
ただ、お腹をすかせた人に、無条件で食べ物を差し出す。
それが無償の愛です。
リンゴを100個あげるのだから、あなたはミカンを100個返すべき、というのは、親切に見せかけた取引です。
一方的な取引で、リンゴを100個もらっても、ちっとも嬉しくないですよね。
しかし、相手を自分の思い通りにしたい人は、好意に見せかけた取引で、相手を束縛しようとします。
「リンゴをあげたのだから」と一方的に借りを作って、相手が返すまで粘着します。
相手を失うまいとするあまり、相手から考える自由も、断る自由も、何もかも奪って、逆に恨みをかってしまうのです。
本当に相手のことを思うなら、Set them Free。
自分が淋しくても、苦しくても、相手を自由にしておく。
それが愛の証です。
怖がらなくても大丈夫。
相手を自由にしたからといって、あなたから完全に離れていくわけではりません。
むしろ、気兼ねなく付き合える相手として、いっそうの信頼を寄せてくれるでしょう。
相手を自由にすればするほど、物理的な距離は開いても、心の距離は近くなるのです。