皆さんは『彩雲』をご存じですか。
太陽の光の加減で、雲の縁、あるいは全体が、まるで虹が架かったように七色に輝いて見える現象です。
雨上がりや、陽が大きく傾く早朝や黄昏にしばしば見られ、古代中国では幸運の始まりを告げる吉兆とされてきました。
それは光と雲が織りなす自然の芸術であり、大いなる存在を感じさせる奇跡のような一瞬です。
力強く放射する太陽の光を受けて、虹のように輝く七色の雲を見たら、悲しみに塞ぐあなたの心も、きっと日が差したようになるでしょう。
ところで、私が『彩雲』を知ったのは、二年前の話です。
それ以前は、光の加減で雲が七色に輝くという事さえ意識せずにきました。
友人から話を聞いて、本当にそんなものが存在するのかと、興味深く空を見上げるようになってから、雲の美しさに気づいた次第です。
しかし、考えてみれば、『彩雲』は私が子供の頃から、ずっと頭上にあったはずなんですね。
ただ、私が知らなかっただけで、あの日も、あの時も、彩雲は輝いていたのです。
最近になって、あちらこちらに七色の雲を目にするようになったのは、「見たい」と思って空を探すからでしょう。
逆に、ぼんやりした目には、たとえそこに在ったとしても、何も映らないのかもしれません。
人にとって必要なものも、かくの如しです。
愛も、生き甲斐も、本当はすぐ近くにあるのかもしれません。
ただ、あなたが見ようとしないだけで、本気で探せば、いつでも手に入るのではないでしょうか。
人間の目は、見ようと意識したものしか見えません。
自分は何が見たいのか、 まずそこから始めてみましょう。