甘え方が下手な人へ
このページを開いたあなたは、いつも相手に尽くしすぎ、さまざまなものを与えすぎています。あなたにとっては、相手から何かをしてもらうより、自分が何かをしてあげるほうが、ずっと簡単なことなのです。しかし、いまのあなたは一方的に相手に尽くしすぎており、十分にそのお返しを受け取っていません。
いまこそ、この状況を変えなくてはなりません。
私たちが心を開き、進んで好意に甘えようとすれば、相手はあなたを甘えさせてくれます。あなたを大切にし、いたわってくれます。そして、あなたが自分の欲しいものを遠慮せずにはっきり言えば、彼はそれをプレゼントしてくれるのです。ただし、「欲しいものを贈ってもらうのは、当たり前のことよ」と傲慢な態度をとってはいけません。プレゼントを受け取るときには大いに喜ぶと同時に、謙虚になってください。そして、プレゼントを贈ってもらったことに対する感謝の気持ちを心を込めて伝えましょう。
相手が差し出してくれたプレゼントは、じょうずに受け取ってください。そのためには、相手がこちらに一歩踏み出し、プレゼントを差し出せるようなスペースを作ることが大切です。つまり、二人の間に少し距離を置くのです。
愛する人との間にわざわざ距離を置くのですから、なによりもお互いを信頼できなければなりません。また、愛する人から何をしてもらいたいのか、何をプレゼントとして贈ってもらいたいのか、よく考えてください。そして、自分が絶対に拒否したいもの、何が何でも受け入れられないものがあれば、それもはっきりさせてください。あなたが、どうしても受け取りたくないものは何でしょう?
断固として拒否したいものは、いったい何でしょう?
これだけは欲しくないと思っているものは何でしょう?
自分がどうして拒否しているのか、いったい何をおそれているのか、自問してください。
自分がほんとうに望んでいるものが何かを、進んで相手に打ち明けましょう。自分が欲しくないものなど、何を受け取ったところで無意味ですから。
自分が心底、欲しているものを手に入れるからこそ、受け取る意味があるのです。
愛する人から何を贈ってもらいたいのか、人生から何を与えてもらいたいのか、よく考えてください。その第一歩は、自分の望みを率直に認めることにあります。
そして、あなたの願いを周囲の人に知らせましょう。
愛する人に甘え、あなたが欲しいものを相手が贈ってくれるのを楽しんでください。
だいじょうぶ、あなたはそれにふさわしい人なのですから。
出典 : 望みをはっきり伝えよう ~甘え方が下手な人へ 『恋に揺れるあなたへ 56の処方箋』より
コミュニケーションの達人など存在しない
『自分の意見や感情を大切にしよう《あなたもこの世にただ一人の貴重な存在》』『たくさん話をしよう《自分の問題も相手の問題と同じくらい大事》』にも書いているように、多くの人は人間関係、特にコミュニケーションに悩んでいるものです。どれほど人格や能力が優れようと、誰の心も鷲掴みにして、思う通り動かせる人など、この世には存在しません。
人間関係のカウンセラーを謳っている人でも、自分の妻や子供の素行には手を焼いているのが実状だと思います(多分)
これを書いている筆者だって、同様です。
ところが、コマーシャルの影響もあり、この世には、コミュニケーションの得意な人と、そうでない人がいる、と思い込んでしまいます。
タレントの○○さんは、フォロワーも何万人といて、いつもキラキラ輝いて、恋愛エッセーも大人気だし、男性にもいっぱい愛されそう……というイメージがあっても、実際は、いつまでも独身だったり、スピード離婚したり、誰かから訴えられたり、揉め事ばかり起こしている人も少なくないでしょう。
たとえ話し上手で、コミュニケーションが得意そうな雰囲気があっても、それは「表の顔」で、実生活では、本当に欲しい愛と理解が得られず、人知れず苦しんでいる人も少なくないと思います。
どれほど美貌や才能の恵まれようと、人間関係のスキル別で、誰にも注目されない、惣菜コーナーのおばちゃんでも、家に帰れば旦那とラブラブで、親子関係も良好、職場にも信頼されるケースもあることを思えば、こればかりは練習を積んで、学ぶしかないのです。
ある程度は、「人に好かれる○○のテクニック」みたいな方法で補えるかもしれませんが、もう一歩、踏みこんだ「信頼」や「愛情」のレベルになると、ちょっと可愛いだけでは何の効力もないからです。
最初から営業得意な人もないように、生まれながらのコミュニケーションの達人など存在しないし、相手の心を思い通りに操作する魔法の方法もありません。
間違え、傷つき、反省し、またチャレンジして、躓いて……という事を延々と繰り返して、ようやく達観するのが現実ではないでしょうか。
失敗が多いからといって決して恥ではないし、むしろ開き直って、孤高のコミュ障を気取るよりは、自分から積極的に人と関わって、多くを学ぶ方が、結果的には充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。
人と揉めたり、謝ったり、嫌ったり、嫌われたり……は誰にとってもストレスです。
一方で、人が人を救うのも、また事実です。
手を濡らさずして、魚は捕れません。
Receive 「私が我慢すればいい」はコミュニケーションを断っているのと同じ
この章の原題は、Receiveです。
receiveには、「受け取る」「受け入れる」の意味があります。
ラブ・ウィズダムでは、お互いに受け取ることの重要性を説いており、どちらかが犠牲的に差し出し、もう一方が優先的に受け取る話ではありません。
男尊女卑の考えでは、ラブ・ウィズダムの指摘する「私たちが心を開き、進んで好意に甘えようとすれば、相手はあなたを甘えさせてくれます。あなたを大切にし、いたわってくれます。そして、あなたが自分の欲しいものを遠慮せずにはっきり言えば、彼はそれをプレゼントしてくれるのです」というのは分かりにくいかもしれませんが、恋人同士のコミュニケーションは上司と部下の会話ではなく、対等な男女のものですから、どちらが何を願っても構わないし、また相手には考慮する義務があります。
カップル間の要望に上も下もなく、まずは口にしない事には始まらないんですね。
たとえば、目の前の子供が、お腹が空いているのに、大人に遠慮してじーっと黙っていたら、誰にもどうすることもできませんね。
「どうして、その時、はっきり言ってくれなかったの!」と、自分たちが信頼されてないように感じるはずです。
男女の間もそれと同じ。
相手が察してくれるだろう、あるいは、言っても仕方ないだろうという諦めの気持ちから、じーっと黙っていても、何も始まりません。
むしろ、私のことを信頼してないのか、と、淋しい気持ちがするはずです。
「私が我慢すればいい」というのは、一見美しい考え方ですが、これほど後味の悪いものはなく、何も言ってもらえなかった方も深い心の傷が残るものです。
こうした禍根を残さないためにも、言うべきことは、はっきり言いましょう。
その上で、相手に気持ちが通じなければ、またその時に考えればいいと思います。(それこそ交際相手として間違っているかもしれない)
「私が我慢すればいい」と黙っているのは、コミュニケーションを断っているのと同じです。
望みを口にすれば、傷つくこともありますが、伝えないことには何も始まらないのです。