ムーミン名言集
「怒り」は意思表示
この人は怒ることもできないんだわ。それがあんたの悪いとこよ。
“たたかう”ってことを覚えないうちは、あんたには自分の顔はもてません。
――ミイ
幼少時より意思表示の重要性を教えられる海外では、「No」も立派な意思表示の一つ。
嫌なことをされたら、へらへら笑って誤魔化すのではなく、「No」と言って、怒りを露わにすることも自己表現のうちなんですね。
怒ってない振りをして、その場を無難にやり過ごすのは、一見、楽ですが、本当はイヤなのに、イヤじゃない振りをしていれば、どんどん自分の気持ちを見失うし、相手にも何も伝わりません。たとえ喧嘩=”たたかい”になっても、意思表示すべという教えです。意思=「自分の顔」ですね。
ひとりぼっちの人
「彗星って、ほんとにひとりぼっちでさびしいだろうなあ……」
―― ムーミン「うん、そうだよ。人間も、あんなにこわがられるようになると、あんなにひとりぼちになってしまうのさ」
――スナフキン
これは分かりやすい喩えですね。
いつも何かに腹を立てて、ぷりぷり、いらいら、毒気を撒き散らしていると、人は怖がって近付かないし、また、偉そうに他人を見下しても、人は寄りつかない、という喩えです。
「好きになる」ということ
そら、海はときにはきげんがよく、ときにはきげんがわるいが、それがどうしてなのか、だれにもわからないだろ。
わたしたちには、水の表面だけしか見えないからね。
ところがもし、わしたちが海が好きなら、そんなことはどうでもよくなるんだ。
あばたもえくぼってわけさ……
―― ムーミンパパ
相手の機嫌や態度の如何によらず、いつも変わらぬ気持ちで見守るのが本当の愛。
大切なものは所有しない
なんでも自分のものにして、もって帰ろうとすると、むずかしいものなんだよ。
ぼくは、見るだけにしてるんだ。
そして、立ち去る時には、それを頭の中へしまっておくのさ。
ぼくはそれで、かばんを持ち歩くよりも、ずっと楽しいね。
――スナフキン
旅行に限らず、人は何かを気に入ると、人でも、モノでも、自分の懐に入れて、いつまでも自分のものにしたいと願うもの。
しかし、一つ何かを持てば、失うことを恐れ、一つ何かを得れば、また他の何かを求め、所有欲にはきりがありません。
本当に大切に思うなら、そっと見つめるだけ。
支配したいとか、所有したいとか、願わないことが、大切なものを心に持ち続ける秘訣です。
答えは自分の中に見つけよう
「どうしてそれを、冬のあいだにいってくれなかったの。
そうしたらぼくは、きっと元気になれたろうになあ。
……ぼくのさびしがっていたのが、わからなかったの?」
――ムーミン「どんなことでも、自分で見つけ出さなきゃいけないものよ。
そうして自分ひとりで、それをのりこえるんだわ」
――おしゃまさん
辛い時、淋しい時、人はすぐに救いを求めますが、いつでも相手が自分の苦しみを理解してくれるわけでもなければ、正しい答えを与えてくれるわけでもありません。
それよりも、自分の中に沈潜して、ひたすら自分と向き合い、考えを深めることが大事です。
参考→ 海のように深く静かに沈潜する ~沈潜と内省こそ人生の処方箋
「自分ひとりで乗り越える」というのは、努力の言葉に聞こえますが、突き詰めれば、何が正しいかは、自分自身が一番よく知っているはず……だから、自分の心の声に、じっと耳を傾けてみよう、という教えです。
成り行きにまかせる
「あたらしい村づくりというのは、平和にしずかにくらすことなんだ。
……やれ、これはだいじなことだとか、あれをやらなければいけないとか、
なにをいついつまでにやれとか、うるさいことをいうものはいけないんだ。
すべて、なるがままにまかせるというわけさ」
―― ヨクサル
ああだ、こうだと、意見を出し合ったところで、いつでも正しい判断が得られるわけではないし、めいめいが好き勝手に意見を口にするが為に、かえって混乱し、まとまるものも、まとまらない事もあります。
そんな時は、事の成り行きに任せてみないか、という教え。
一人でいると、ろくなことを考えない
「つめたい水がすきなのは、すばらしいでしょうね」
―― ムーミン「僕の知っているなかで、これが一番よいものなんだ。
これらは、よけいな考えや、くよくよした思いを、きれいに追い出してしまうんだ。
たしかに、家にこもってじっとしているほど、悪いことはないね」
―― ヘムレン
人間、一人きりで、じっとしていると、ろくなことを考えない――というのは本当です。
したくてたまらないことを、する
「きれいにおそうじをしてくれて、ありがとう」
―― 11月のヘムレン「どういたしまして。わたし、しないではいられなかったんですもの。
あなただって、私と同じように、したくてたまらないことをすればいいんだわ」
―― 11月のフィヨリンカ
ここでいう「したくてたまらないこと」というのは、「自分の好き勝手にする」という意味ではなく、「相手の為に、何かしたい」と思った時、思い切って実行に移す・・という風に解釈すると分かりやすいです。
目の前のおばあさんに、バスの座席を譲ってあげたい……でも、周りにジロジロ見られたり、相手に断られたりしたらどうしよう……なんて躊躇することがありますね。
そんな時は、思い切って、親切を実行してみたら、意外と相手も喜んでくれて、自分も誇らしい気持ちになるかもしれない。
善意は遠慮せずに、思い切ってやってみましょう、という教えです。
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ちなみに私が好きな言葉は、ムーミン絵葉書に書かれていた「世界には素晴らしいことがたくさんある。でも、その素晴らしいことに出会えるのは、それにふさわしい人だけなんだ」というムーミンパパの言葉です。
どんなダイヤの原石も、その価値に気づかなければ、ただの石ころに過ぎません。
いい出会いを求める人はたくさんありますが、「いい出会い」とは、その価値が分かる人にだけ、分かるものなのです。
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