満月がね、母親みたいに見守る中、
第2章 採鉱プラットフォーム
ウミガメの赤ちゃんが次々に卵から孵って、
海を目指して歩み始めるんだ。
誰に何も教えられなくても、
自分の故郷が海だということを知っているんだね
ウミガメの産卵 ~生命は故郷に還る
赤ちゃんもひたすら生きる
サケの回遊と産卵や不老不死のベニクラゲなど、海の生き物には不思議な回帰を辿るものが多いです。
ウミガメもその一種で、満月の夜、砂浜に産み付けられた卵が一斉に孵化し、海に向かって泳ぎ始める姿は、感動を通り越して、畏敬の念さえ感じさせます。
存在理由と深海の生き物にも書いていますが、生物が生きるのに理由などなく、生きる為に生きる、ただそれだけなんですね。
ウミガメの赤ちゃんも、ひたすら生きています。
こんなにたくさんの赤ちゃんが卵から孵っても、水際に辿り着くまでに海鳥に教われたり、砂浜の途中で力尽きたり。運よく大海に乗り出すことができても、さらに成長できるのは一握りです。
生きる、って大変。
だからこそ、生あるものは、生きて、存在するだけで美しいのです。
ウミガメの産卵と、子カメの旅立ちは何度観ても泣けますよね(・_・、)
満月の夜、誰に教えられなくても、ちゃんと海に還っていくのがすごいし、また故郷の海に戻ってくるのも不思議。
なんで? と問われても、誰にも答えられないし、彼らが何の為に存在しているのかも謎。
でも、生きている。
弱肉強食の世界
一方、ウミガメの赤ちゃんは、浜辺の生き物にとって、美味しいご馳走です。
やっと歩き出したウミガメの赤ちゃんを、猛禽類がパクっとさらっていくのは本当に残酷・・
でも、これが自然の掟。
それでも海を目指し、新しい一歩を踏み出す。
誰にも教えられなくても、自分がウミガメのお母さんから産まれて、自分の生きる場所は「海」と知っている。
本当に不思議な話だと思います。
これは人間の赤ちゃんも同様で、子供も、誰に教わらなくても、自分が母親から産まれたという事を知っています。
育児エッセイストの田島みるくさんの言葉ですが、「僕、お父さんから産まれたの」と言う子はいない、と。
ウミガメの赤ちゃんも、誰から生まれて、どこで生きればいいのか、全て知っていて、真っ直ぐ海を目指すのが本当に感動的です。
カメは長寿の証し ~西太后も飲んでいた?
「鶴は千年、亀は万年」の喩えもあるように、カメは長寿の証しでもあります。
ベルトリッチ監督の映画『ラストエンペラー』でも、瀕死の西太后がウミガメを丸ごと煮込んだ生薬を作らせる場面が印象的でした。
大昔の人も知っていたんでしょうね。私たちが目にするウミガメは、奇跡的な確率で生き延びた、最強の生き物だということを。
赤ちゃん、かわゆいス
それにしても・・ウミガメのお母さん。産むだけで、育てなくていいのか……。
ある意味、羨ましいような^^; (いやいや、そんな事を言っちゃいかん)
頑張れ、ウミガメちゃん!!
【小説】 見守るしかない親の愛と子供の人生
潜水艇パイロットのヴァルターは、故郷を襲った大洪水で最愛の父を亡くし、生家を流されます。
母は暮らしを立てるため、裕福な元婚約者と再婚しますが、新しい暮らしに馴染めず、家を飛び出して、商船学校に進学します。
しかし、悲しみは深まるばかり。故郷の復興を懸けた再建コンペでは、意匠の盗用を疑われ、仲間の信望をなくしたばかりか、潜水艇の仕事も失い、
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上記のパートは『第2章 採鉱プラットフォーム』に収録されています。