今は伝説中の伝説となってしまった、山口百恵さん。
その人気に拍車をかけるように製作されたのが、ゴールデン・コンビと呼ばれた三浦友和さんとのTVドラマ「赤いシリーズ」です。
当時、私は、百恵ちゃんにそれほど興味がなかったので、初期の「赤い運命」も「赤い疑惑」も見ていないのですが、1976年に製作された「赤い衝撃」だけは、ヒロインが高校生スプリンターという設定だったので、初回から熱心に見ていました。
物語は、トップクラスのスプリンターである大山友子(山口百恵)が、森の中(?)での練習を通じて、若い刑事の新田秀夫(三浦友和)と恋に落ちるところから始まります。
しかし、友子の父、大山豪介(中条静夫)は娘を溺愛する一方で、あくどい実業家でもあり、その悪事を暴こうとする新田父子とは敵対関係にありました。
そして、ある晩、豪介を暗殺しようとする男と新田父子が撃ち合いになり、秀夫の撃った銃弾が、たまたまその場に居合わせた友子の脊髄に命中して、友子は下半身不随になってしまいます。
最初は怒り、憎みながらも、秀夫の献身的な愛に再び心を惹かれ、必死でリハビリに取り組む友子。
二人は結婚を誓うまでになりますが、父・豪介が二人の仲を許そうとしない上、秀夫の刑事という立場や出生にからむ複雑な人間関係が二人の前に立ちはだかります。
それでも二人は愛を貫き、最後は周囲の祝福を得て結ばれる――という話なのですが、「下半身不随」とか「会社乗っ取り」とかいう、一歩間違えれば不評を買いそうな設定を感動的にまとめたのは、制作者側の腕もさることながら、「百恵と友和」というカップルの魅力も大きいと思います。
今でこそ「恋人アリ」はスタートしての箔になるけれど、当時は、アイドルに恋愛など御法度で、何度も噂が立ちながら、その都度、否定し、何でもない風を装い、真実を偽らざるをえなかった百恵さんと友和さんの苦悩は計り知れないものだったと思います。
それだけに、衝撃的な「恋人宣言」がなされ、結婚を機に潔く引退された事について、当時を知る者は、今の百恵さんの幸せと選択に、一種の感動を覚えずにいないんですね。
一般には、「専業主婦の鏡」みたいに言われていますけど、そういう類のものではないと私は思っています。
こちらは、赤い衝撃の挿入歌、『走れ風と共に』。
メロディもさることながら、歌詞が非常に美しいです。
愛を胸に抱いて 明日へ急げ
通り過ぎた道に 残したものは
誰か後の人が 見つけてくれる
私にはあなたがいると 誇らしくみんなに言える
つまづいて倒れた時も 後ろから支えてくれる
なぜ走るのか なぜ急ぐのか
愛としか 愛としか こたえられない
確か、この頃には、実生活でも恋人同志だったと記憶しているのですが、二人の見つめ合う眼差し、これは演技ではないですね♪
こうしてみると、中森明菜ちゃんが、どれほど山口百恵に憧れて芸能界に入ったか、そして百恵のようなブライダル引退を望んでいたか、分かるような気がします。
こちらは、大ヒット曲「秋桜」がレコード大賞にノミネートされた時、思いがけなくフィリピンにいる三浦友和から国際電話を受けて、嬉し涙を浮かべる百恵ちゃん。
瞳のきらめきが恋心を物語っています。
本当は愛し合っているのに、公衆の前では何でもない振りをしなければならないんですもの。
昔のアイドルは大変だったんですよね。
だからこそ、二人の恋、そして結婚後は二人の生活を守ろうとする百恵ちゃんの気持ち、とてもよく分かります。
※動画は削除されました
こちらは百恵ちゃんの大ヒット曲、「プレイバック・パート2」。
この曲で「ポルシェ」という名前を覚えた人も多かったのではないかしら。
この頃は、阿木燿子さんと宇崎竜童さんゴールデン夫婦の作詞作曲による「横須賀ストーリー」や「ロックンロール・ウィドウ」など、初な中三トリオのイメージを払拭するような、セクシーで情熱的な曲を歌い、大人の女性へと見事に転身を遂げられました。
※YouTubeに適宜上がってますので、探してみてくださいね。