親とは、自分たちはダイエーで買った1000円か2000円のトレーナーで済ませても、子供には1万円以上するMiki Houseのトレーナーを着せたいと思うもの

私は先日、子供用食器を買いに、ポーランドでも人気の高いキッズ・ショップのチェーン店に出かけました。

ここ3ヶ月の間に、3つあったプラスチックのコップとスープ皿を、子供にことごとく壊されてしまったからです。(「投げるなッ!」っつーても、子供は面白がって投げますからねぇ、、)

で、お食事グッズのコーナーに足を運んだところ、なんとなんと、上の子が大好きなピクサー映画『カーズ』のライトニング・マックイーンとサリーちゃんが非常に美しくプリントされた『ランチョンマット』が売られているではありませんか。

といっても、ペラペラのプラスチック板にキャラクター画像をプリントして、著作権使用料だけで値段を付けているような、とんでもない代物なんですけどね。

しかも値段は10ズロチ(出店の風車二本と同じ)。

またもヒレ肉四人分の値段です。

しかし、これを買って帰ったら、息子がどんなに喜ぶだろう。

きっと目を輝かせて、自分から喜んで食卓につくに違いない。

そう思うと、安物買いを嫌う私の心がグラグラと揺れるんです。

「こんなムダな買い物ばかりしていたら、マイホーム資金なんて永久に貯まらんぞ」と迷いながらも、結局、また買ってしまいました。

アホ! アホ! アホ! と、心の中で己の頭をめった打ちにしながらも、息子が目を輝かせて喜ぶ様を期待して、ルンルン気分で帰宅した私。

ところが、肝心の息子の反応と言えば、

「あ、ブンブン(車の愛称)」。一瞥して終わり(泣)

しかも、テーブルに置いたはなから、マットの角をぺりぺりめくって、プリント部分をはがそうとするし、半時間後にはくるくるに丸めて、マットの隅に折り目が付いているし……。

そう、子供には物の価値なんて分からないんですよ。その裏に込められた、親の必死の気持ちも。

それがどんなに高価なものであろうと、優しい気持ちで買い与えたものであろうと、自分が面白いと思えば、壊す、破く、投げる。

幼い子供にとって「物」というのは、鑑賞したり、大事にしたりするものではなく、投げたり、叩いたり、という感触から学ぶものなんですよね。

そんなのに、真剣になって、「物は大事にしよーね」なんて優しく諭せる人を、私は心から尊敬します(泣)

で、その後、ランチョンマットをどうしたかというと、子供の好きにさせておいたら、それこそ1時間と経たないうちに、揉まれ、折り曲げられ、めちゃくちゃにされるのが目に見えたので、棚の一番高いところに隠しておきました。(ああ、イジワル)

でも、夕食を食べる時になって、「どーぞ」と再びテーブルに出したら、

「わあ、ブンブン、ママ~っ、ブンブ~ン」

おお、目の中に星が輝いているではないか。(; ;)

このキラキラ星を見たいが為に、私も家人も、この3年間、欲しい物も買わず、やりたいことも後回しにして、ティラノザウルスのような幼子二人と格闘してきたんですよね。

独身時代、職場の先輩が、「自分たちはダイエーで買った1000円か2000円のトレーナーで済ませても、子供には1万円以上するMiki Houseのトレーナーを着せたいと思う」と語り合っているのを聞いて、「そんなのイヤ~~」なんて思ってましたけど、今なら分かるような気がします。

ところで、翌日、そのランチョンマットがどんな運命を辿ったかというと――

「さあ、ご飯にしよう。マックイーンと一緒にスープを食べようね♪」

「いやぁああああああ、ワンキウイ(マックイーンのこと)いや~」

「えーっつ、昨日、これで食べてたやーん??」

「いやーっつ、トーマス、トーマスがいいーっ」

買ってから10ヶ月あまり、ついに一度も使われることのなかったきかんしゃトーマスのランチプレートを突然指差して、ごねる息子。

昨日の歓喜もどこへやら、マックイーンは再び戸棚の奥に引き揚げたのでした。チャンチャン。

コラム子育て・家育て : あせらず、あわてず、あらそわず 第3号 【自尊心を育む ~本当に幸せな子供に育てるために】 2007年08月01日

誰かにこっそり教えたい 👂
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