人はなぜ恋をするのでしょう。
「動物的本能」という人もあれば、「人を愛したい」という高次な欲求からという人もあるでしょう。
始まりが何であれ、大切なのは、恋愛関係は「デートするためにあるのではない」ということ。
そして恋人は、「あなたという人間を救済し、あなたの人生を満足させるための道具ではない」ということです。
恋に多くを期待し、「愛されたい」「楽したい」という気持ちばかり優先すれば、いずれ恋を失います。なぜなら、どんな素敵な恋人も、あなたを100%満足させることはできないからです。
心の中で「あの人が好き」と思い描いているうちは、恋は美しい夢に過ぎませんが、ひとたび交際が始まれば、現実の人間関係に移行します。「現実の人間関係」とは、気持ちや考えが行き違い、怒ったり、疑ったり、傷つけ合ったりすることです。どれほど優しい相手でも、決してあなたの思う通りにはなりません。
真実の愛は、相手の意見に耳を傾け、過ちを許し、あるがままの相手を受け入れる中で育まれます。ロマンチックなデートや語らいは、そのプロセスに花を添えるに過ぎません。
こうした心の努力を無視して、恋の楽しい部分ばかりを追い求めるから、いざ相手が自分の思う通りにならなかった時、相手を問いつめたり、自分の不満をぶちまけたりして、せっかくの恋を台無しにしてしまうのです。
それを直さない限り、何度恋をしても、誰と付き合っても、結果は同じです。
たとえ表面的に上手くいっても、あなたはいつも不安で満たされず、いつ相手に捨てられるか、びくびくしながら、実の無い恋愛にしがみつき、若い時代を消費してしまうのです。
どうせなら、一つの恋を通して、大きく成長してみませんか。
嫌なことがあっても、決して目を背けたりせず、自分や相手とじっくり向き合い、人間に対する理解を深めるのです。
時に、それは辛い作業かもしれませんが、目の前の痛みを避けて通れば、いずれ老いや疲れや孤独という形で支払うことになります。欠点は欠点のまま、穴の空いたバケツみたいに、どれほどチャンスを掻き集めても、幸せはその穴からどんどん漏れ出してしまいます。
恋の辛い、苦しいは、あなたの若さがあれば乗り越えていけます。
若い今だからこそ、恋の辛い、苦しいも、正面から受け止めて、柔軟に対応することができるのです。
恋は、それが真剣であればあるほど、自分を変える大きなチャンスです。
相手に変えてもらうことを期待するのではありません。
自分から変わるのです。
失敗してもいいじゃないですか。
どんなにみっともなくても、一所懸命に取り組めば、いつか愛し愛されるコツが掴めるし、女性としての自信もつきます。
そのコツが分かれば、その先何十年の心の幸せを手に入れたも同然なのです。
【補足】
このマガジンでも繰り返し伝えていることですが、恋愛は人間関係を学ぶ最良の機会です。相手が彼氏となれば、上手くいくにはどうすればいいか、必死で考えますから。
その際、こうすればもっと愛されるとか、魅力的に見えるとか、小手先のテクニックに走って、なあなあで済ませて欲しくないんですね。
自分を見つめる、自分から考えを変える、といったことは、中高年でも難しいです。下手すれば、一生変わらない人もいます。そして、なぜ相手が怒っているのか、自分だけが邪険にされるのか、永久に理解しないまま、淋しく人生を終えていくのです。
恋愛に夢中になれるのは、人生の初めのほんの一時期です。
10代や20代で人間関係に躓いても、若さと希望があれば、新たにやり直すことができます。
後々、大きな心の糧を得る為にも、表面だけ取り繕ったような、つまらない恋をするのではなく、全力で自分や相手と向かい合って欲しいと思います。