高卒でも生きられる ~18歳の若さと借金ゼロの強み

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高卒でも賢く生きれば大丈夫

昨今の経済苦や高齢化問題、家庭内の諸事情で、やむなく高卒就職を選択する人も少なくないと思います。

しかしながら、「高卒就職=人生終了」「生涯年収に大差がつく」という声も多く、せっかく就職先が決まっても、絶望的な気持ちになっている人も少なくないのではないでしょうか。

このシリーズは、そうした不安を抱えている若い人に向けて書きました。

大学進学を断念せざるを得ない家庭の保護者にとっても参考になれば幸いです。

目標は『自活』

私が高卒就職した理由は、ただ一つ、「とにかく家を出て自活したかった」。

これに尽きます。

他にも、「きょうだいが三人いて、全員が大学に通うのは経済的に非常にハードルが高かった」「興味のある大学が近くになかった(通えないことはないが、毎日特急に乗って、三時間かけて通学するなど割に合わない)」「妥協して文系に進学したところで、得るものは無さそう」等々、いろんな理由があります。

『今すぐ自活』と『長期の人生戦略』について考えた際、「妥協して二流大学の文系に進学するより、いったん就職・自活して、百万単位でお金を貯めて、それからもう一度、自分に一番合ったやり方で人生の再スタートを切ろう」という結論に達して、高卒就職を選びました。

その選択は、今でも後悔してないし、むしろ、18歳の、身も心も若い時に、思いきって社会に出てよかったと、心の底から誇りに思っています。

職場は、総合病院の産科病棟で、18歳には苛酷な業務もたくさんありましたが。(死後処置とか、分娩の後片付けとか)

日本では、今も大学信仰が揺るぎなく、ある一面においては、大卒資格が物を言うのは本当ですが、だからといって、高卒就職組が人生終了かといえば、決してそうではなく、特殊な技術を身に付けて、一生仕事に困らない人、トータルすれば大卒より稼いでいる人、仕事しながら趣味に打ちこんで、それなりに楽しい人生を送っている人、等々、いろんな人がいます。

メディアでは、一流大卒+ハイキャリアの人の声ばかりが目に付くこと、また学生に進路指導する教師や回りの大人自身が大卒であることから、高卒=終わった感がありますが、一人一人の人生を追っていけば、芸能人みたいな特殊な例を除いて、大卒も高卒も人生の質において大差ないのが分かると思います。

あえて言うなら、大卒で一生分の幸せパスポートが手に入るほど、甘いものでもありません。

遊び人の大学生でも、一流メーカーや地方銀行に正社員として就職できたバブル時代ならともかく、今は経済力も落ちる一方、少子高齢化も進んで、明るい要素はほとんどありません。

上手い具合にレールに乗っても、そのレール自体が、数百メートル先で折れ曲がっているような時代に、大学に行けば一生安泰みたいな考えは、自ら壊れた新幹線に乗りこむようなものです。

逆に言えば、小さなトロッコ車、裏街道を行くようなマイナー路線でも、最後まで無事に完走できれば、『上がり』です。

たとえ首都高速を最速で走ることはできなくても、自分の好きなことをしながら、南アルプスの街道をのんびり行く方が幸せな人もいるのではないでしょうか。

人生は最後まで生きてみないと分からないにも書いているように、人生というのは、本当に、最後まで生きてみないと分かりません。

この文章を書いている私自身でさえ、最後はどうなるか分からないほどです。

なので、人生の一時期、ゲームに喩えれば、最初の山を越えたばかりの10代、20代が、周りの声にかどわかされて、人生に絶望するのはナンセンスだし、デメリットばかりドヤ顔で語る大人もどうかしています。

大事なのは、いかに生活を立てるか

その上で、有意義に生きるか。

この二点さえブレなければ、案外、どうにかなるものです。

学校で教わる勉強が全てではありません。

若さと借金ゼロの強み

高卒就職組のメリットは、何度でもやり直しが利く点です。

四年制大学を卒業した場合、22歳以降に社会に出ますから、18歳で世に出た高卒就職組に比べて、時間的にも、収入面でも、4年の開きがあります。

見方を変えれば、その4年間を有効に利用して、開業や受講の資金を貯めたり、実社会で使えるスキルや知識を身に付けたり、ファンや理解者を得たり、方向転換したり、いろんな事が出来るわけですね。

大学の場合、学部で固定してしまいますから、18~22歳のうちに方向転換することは非常に難しいです。

いったん就職して、自分に合わないと気付いた時には、25歳ぐらいになってたりします。

その点、高卒就職組は、人生の早いうちに世間を知り、現実社会を目の当たりにしますから、20歳を過ぎる頃には「この分野は合わない」と見切りを付けて、他に進むことができます。

その際、貯金があれば、自分に本当に合った学校に通う機会もありますし、仕事を通じて、良い大人と知り合えば、その人のコネで、もっと良い所に転職したり、有意義な助言を得て、「これ」と思うものが見つかったり、大学生の就活とは一風変わったチャンスがあるんですね。

多くの人はそのメリットに気付いていませんが、18歳から22歳にかけての四年間は、大人の10年に匹敵するほどの価値があります。(あるいはそれ以上)

『高卒就職したから、人生終わり』ではなく、これこそ本当のモラトリアム、実践(仕事)の中で考える人生設計です。

しかも奨学金という借金を背負いませんから、同じ22歳でも、すでに100万円の貯金がある人と、500万のローンを抱えた人では、将来に対する展望もまったく違ってくるわけですね。

人生というのは、60年、70年、あるいはそれ以上かけて完走するものですから、第一コーナーで大差が開いたからといって、そのまま決着がつくものでもないです。

一流大に進んで、一流企業に就職したけど、結婚できない、友達いない、出世コースからも外れて、窓際でゴミ扱いされている中高年もたくさんいることを思えば、18歳~22歳にかけての回り道が、そこまで人生の質を歪めるものではないと分かるのではないでしょうか。

高卒就職組が手にする「若さ(時間)」と「借金ゼロ」の可能性は計り知れないものです。

人によっては、大卒の学歴をはるかに上回るかもしれません。

絶望する暇があれば、この4年間を使って、何を成し、何所に向かうか、真剣に考えましょう。

そして、少しでもお金を貯めましょう。

「借金しない」というだけでも、この社会はずいぶん生きやすくなります。

高卒就職組は意外と愛される

今も昔も、日本人というのは、涙の苦労話が好きなものです。

高卒を馬鹿にする人がある一方、真面目で優秀な高卒の苦労人を応援する大人も一定数存在します。

私も、段ボール箱二つを個人配送業者の小型トラックに積み込んで、家を出た時は、ドライバーのおじさんが涙ぐんで、励ましてくれました。

「あんたは偉い! うちの娘は大学生やが、遊んでばっかりや。爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。あんた、頑張りや、幸せになりや」と、それはもう感涙の極みでした。

トラック運転手だけでなく、ブティックでも、屋台でも、家電売り場でも、高卒就職組というだけで、どれほど愛され、励まされたか知れません。

それはそれで美しい物語であり、自分の心の糧として、大事にすればいいのです。

特に日本社会は若い苦労人にホロリとなる習性がありますから、そうした人情を利用して、社会生活を楽しみましょう。

渡る世間は鬼ばかり・・でもありません。

誰かにこっそり教えたい 👂
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