「心配すると性格が変わってしまいます」
といった人がいますが、心配すると本当に性格が変わってしまうのでしょうか?
どうして、わたしたちは悪いことばかり想像してしまうのでしょうか?
いつも最悪のことばかり想像していて、たまたまよいことが起きればラッキーだと思っている人がいます。
よいことが起こるのを心配する人などまずいないでしょう。最悪のことを想像するから、心配してしまうのです。
もしも最善のことを想像したら、どうなるでしょうか?
それが起こらなかったら失望してしまうのでしょうか?
たとえ失望したとしても、それによって死ぬ人は、ほんのわずかでしょう。
確かに、誰にとっても失望するのはおもしろいことではありません。
しかし、失望が致命的であることは滅多にないのです。
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「まだ来てもいない日のことを心配して、一日をつぶしてしまうのはもったいない」
と、作家のサラ・オーネ・ジェウェットはいいました。
まだ来ていない日は、来ていないのです。単純なことです。やって来てもいない日を経験することなんて、できるわけはありません。心配性の人はただ悪いことばかりを想像して、自分自身をすり減らし、その日をつぶしてしまうのです。
そんなことはせずに、楽しいことを想像することもできるはずです。たとえば、長期休暇ほど期待で胸が膨らむときはありません。友だちとプレゼントを交換することを想像して、興奮することもあります。こうして、ちょっとした魔法を使えば、新しい日がやってくる素晴らしさを素直に喜ぶことができるのです。
悪いことばかり想像して、自分をすり減らすことはやめて、楽しいことを想像しましょう。たとえそれが実現しなかったとしても、少なくとも夢を見る楽しみがもてます。
【コラム】 失わない努力で心配も消える
多くの人にとって、幸せを思い描くより、最悪なことを想像する方が簡単だと思います。
『心配事の9割は起こらない』という言葉もありますが、どうしたって、最悪のことを考えるのが人間というもの。
景気後退、財政破綻、賃金カット、孤独死…
世の中には悪いニュースが溢れかえり、いつ、その不幸が自分に襲いかかるかわかりません。
そうそう脳天気に、明るいことばかり考えられないのが現状だと思います。
かといって、まだコップの水が半分あるのに、ゼロになることばかり想像して、ヘトヘトに疲れてしまうのも考えものですね。
多くの場合、心配の原因は、『失うこと』にあると思います。
お金がなくなったら、どうしよう。
仕事がなくしたら、どうしよう。
健康をなくしたら、どうしよう。
恋人をなくしたら、どうしよう。
失う心配を始めれば、本当にキリがありません。
しかしながら、「失わない努力」は、今日からでも出来ると思います。
お金を失うのが怖いなら、使い方を見直してみる。
仕事を失うのが怖いなら、転職や自営に有利なスキルを身に付ける。
健康を失うのが怖いなら、暴飲暴食を控え、適度な運動を取り入れてみる。
恋人を失うのが怖いなら、今という時を精一杯、愛する努力をしてみる。
ぼーっと布団に横になって、「どうしよう、どうしよう」と心配ばかりしているより、毎日少しでも「失わない努力」をする方が、よほど建設的です。
勉強も、ダイエットも、親切も、やって損することはないのですから。
そうして、失わない努力をするうちに、「もしかしたら、このままイケるかも」と自信も湧くかもしれません。
目に見えて成果が上がれば、過剰な心配も解消されるでしょう。
「もっと前向きになろう」「こだわるのをやめよう」等々、あれこれ自分に言い聞かせて、気の持ち方を変えるより、具体的に失わない努力をした方が、はるかに効果的だと思います。
お金のことでクヨクヨする暇があるなら、一日数時間でもアルバイトした方が、いくらかの収入を得られるのは確かなのですから。
この投稿は【何かを心配しているときにそっと開く本 (ワニ文庫)】から一部を引用しています。後半のコラムは管理人が執筆しています。