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意思の力が幸運を運ぶ
『フォルトゥナの娘』と呼ばれるリズは、不利な条件で海洋都市の改善を訴える恋人のヴァルターに幸運の風を吹かせるべく、プレゼンテーションの機会を設けます。
もちろん、プレゼンテーションに挑んだからといって、必ず勝利するとは限りません。
しかし、何もしなければ、無はいつまでたっても『無』のままです。
何かしようとする意思の力が働いて、幸運も運ばれてきます。
幸運を当てにしても、物事は変わりません。
また意思の力だけでは、どうにもならないこともあります。
では、運と意思とどちらが強いのか……といえば、結果的には、意思の力が勝ると思います。
意思なくして運は立たず、運に手足は無いからです。
全ての人に幸運が輝くとは限りません。
しかし、意思なき人生は、もっと空しいものです。
運命は、それ自体に意味はない
運命には予告など無いもの。いつも突然訪れて、跡形もなく去って行く。
多くの人は、それが利運とさえ気付かず、後ろに逃してしまうもの。
幸運はガラスの馬車に乗ってやって来ると思い込み、痛みの妖精が抱えた幸せの種には見向きもしないからよ。
実際、運命ほど不可思議で、強力なものはないと思うわ。
この世の全ては、見えない糸で織り上げられた一つの物語のよう。
その中で、一人一人の存在など片糸ほどの意味もないかもしれない。
かといって、運命が全てを支配するわけじゃない。
運命がどんなシナリオを描こうと、意思が動かなければ何の形も成さないわ。
運命は、それ自体に意味はないの。
そこに意思が働いて初めて、意味のある何かになるのよ。
あの人が栄光を掴んだとしても、それは幸運ではなく意思の勝利よ。
運命のお膳立ては、決して本人の目には見えないのだから
海洋小説 《曙光》 MORGENROOD 第六章より