恋人の嘘に悩んでいる人へ
このページを開いたあなたと彼との間には、何らかの裏切り行為、嘘や偽りがあります。そうはっきり言われて、あなたの心はいま、さぞ沈み込んでいることでしょう。必死になって「そんなことないわ」と否定し、素知らぬ顔をしても、あなたにはちゃんとわかっているはずです。さあ、いまこそ、現実と向かい合ってください。
愛情ある健全な関係の基本は「誠実さ」にあります。いつも相手に正直であり、信頼を置いていなければ、愛と幸福は成り立ちません。彼との間に誠意がなければ、二人の関係は決してうまくいかないのです。
「いまの生活にも、彼との関係にも、どこにも嘘や偽りなんかないわ」と、あくまでも言い張るのなら、少し掘り下げて考えてみましょう。私たちは日常生活を送るうえで、次から次へと、さまざまなことに対して嘘をつきます。
「わたしはべつに八方美人じゃない。男の人に媚びたりしてないわ」
「あの男が浮気なんかするはずがない。彼女とは食事をしただけだって言ってたもの」と、私たちは自分自身に嘘をつきます。そしていったん嘘をつきはじめると、歯止めがきかなくなります。嘘を正当化するためにまた嘘をつき、後戻りできなくなります。そして結局、あなたは涙を流すことになるのです。
嘘や偽りのツケは必ず払わなければならず、その代償は大きいのです。
「はっきり口に出して言わない」、ただそれだけのことが嘘になる場合もあります。ほんとうに大切なことについて、私たちは自分の考えや感情をはっきり口に出さないことがよくあります。しかし、これは自分自身に対する裏切り行為に当たります。自分の意見をちゃんと言わず、曖昧にし、自分をごまかしているのです。
これからは、勇気を出して自分の考えを述べましょう。そして、言葉と行動が一致するよう努力しましょう。つまり「言行一致」を心がけるのです。
「裏切っているのは彼のほうよ、私じゃないわ」と思っているあなたに、忠告しておきます。裏切り行為は、実際、あなた方二人の問題なのです。
相手が自分を裏切っていると感じると、それを認めたくないという思いが自然と湧き上がってきます。真実を受け入れたくない、厳しい現実を認めたくないという思いが生じて、つい事実をねじ曲げて解釈してしまいます。
たとえば、ほんとうは彼が浮気をしていても、その事実を認めるのがいやで、つい見て見ぬふりをしてしまうことがあります。真実と向き合うのが怖いのです。
嘘や裏切り行為を直視するのは、たしかに勇気がいることです。しかし、無視していてはいけません。その努力をしなければ、真実の愛を得ることはできないのです。
出典 : 自分自身の嘘や偽りを認めよう ~恋人の嘘に悩んでいる人へ 『恋に揺れるあなたへ 56の処方箋』より
相手の間違いを認めることは、自分の間違いを認めること
この章は、タイトルが「自分自身の」となっているので、少し分かりにくいですが、「相手の嘘に気付いている自分自身をごまかすな」というのが、上記の主旨です。
たとえば、知人のしつこい化粧品の勧誘に負けて、1万円の高級美容クリームを購入したとします。
しかし、中身はどう見ても、1万円の価値もない、安物のクリームです。
それに気付きながらも、「あの人がお勧めしてくれるのだから、1万円の価値のある美容クリームに違いない」と自分で自分に言いきかせ、知人に騙された現実を決して認めようとしないのと同じです。
相手の間違いを認めることは、自分の間違いを認めること。
「浮気なんかしてない。愛してるのはお前だけだ」という彼氏の言葉にすがりつくのも、それを認めたら、彼を選んだ自分の間違いを認めることになるからです。
しかし、現実から目を背け、自分の都合のいいように彼氏の行動を解釈して(「なかなか会ってくれないのは、彼の仕事が忙しいからだ」「彼が結婚したがらないのは、プレッシャーに感じているからだ」)、ずるずると結論を長引かせると、何年も待たされた挙げ句に捨てられる――という不幸にもなりかねません。
相手の間違いを直視し、自分の間違いを認めることは勇気が要りますが、それこそが真の幸福への第一歩ではないでしょうか。
Dishonesty 自分自身にも誠実であれ
この章の原題は、Dishonestyです。
dishonestyには、「不正直」「不誠実」「ごまかし」「詐欺」といった意味があります。 [ジーニアス英和辞典第5版]
誠実やごまかしと言うと、「相手に対して」という印象がありますが、自分に対しても同じことです。
もしかしたら、自分自身に対する誠実の方が、もっと重要かもしれません。
なぜなら、「自分にあれこれ言いきかせて、本音をごまかす」という行為は、自分自身はもちろん、相手も不幸にするからです。
友だちがインチキ化粧品を売り歩いている時、それを見て見ぬ振りするのは簡単ですね。仲がいいほど、「今はこういう方法が新しいのかもしれない」みたいに、相手をかばう考え方をすると思います。
しかし、そうした疑念は、自分の中でどんどん増大しますし、誰にも本当の事を言ってもらえない友だちは、どんどんエスカレートして、もっと悪い詐欺行為に手を染めるかもしれません。
そう考えると、自分で自分の気持ちをごまかすことの弊害も理解できるのではないでしょうか。
相手が大事な人であるほど、本当のことが言いにくかったり、「悪いのは私」と相手を庇うような考え方をしがちですが、大事な相手だからこそ、自分の気持ちに正直になりましょう。
そして、ごまかすのを止めて、本当のことを伝えましょう。
もしかしたら、案外、簡単に解決するかもしれません。