自分の立ち位置で務めを果たす ~王冠とは責任の証し ディズニー映画『眠りの森の美女』より

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王冠とは何か ~ディズニー映画『眠りの森の美女』より

近年、

「好きなことをして生きる」

「肩書きや役割にとらわれない」

といったことがしきりに言われてますが、一方で、一つの役割を真っ当する尊さも大きく評価されているように感じます。

ディズニーのアニメ映画『眠りの森の美女』では、16歳の誕生日を迎え、御守り役である三人の妖精から自身の身分を知らされたオーロラ姫が、初恋の男性(王子)と引き離され、生まれ故郷の城に連れ戻される場面が描かれています。

悲しみに暮れるオーロラ姫に、三人の妖精は王冠を授け、「この王冠は王女としての責任感の象徴です」と諭します。

一般には、王冠を戴けるなど、何と羨ましいと思いますが、それは決して金銀の飾りではなく、この世で最も重い責務を負うことでもあります。

王女として王冠を戴いたからには、「いつでも森で遊びたい」「初恋の男の子と結婚したい」という訳にはいきません。

王女には王女としての役割があり、それを真っ当してこその自由と権利です。

一見、夢のようなプリンセス物語として知られる『眠りの森の美女』ですが、オーロラ姫は魔女マレフィセントの呪いの対象であると同時に、王冠という重い責務を背負った少女です。

こうした責務を真っ向から受け止め、泣く泣く初恋を諦めて、王女としての階段を上がっていくところに、この物語の美しさがあるんですね。

本作のヒロインであるリズも、高名な経営者の娘に生まれたというだけで、様々な社会的責務を負うことになります。

同じ年頃の女性が、恋に、お洒落に、華やかな私生活を愉しんでいる時も、彼女は常に父親の名誉を守るために、見た目や振る舞いに気を配らなければなりません。

そして、その為に、周りに誤解され、女性としての自信もなくしてしまいます。

が、一方で、フィリップ王子がオーロラ姫の責任感の強さに心惹かれたように、主人公であるヴァルターも、あえて父親の名誉を優先するリズの生き様に好意を抱くようになります。

将来、国王となるフィリップ王子にとって、真に花嫁にふさわしい女性は、天真爛漫な女の子ではなく、王女の立場を弁えた、責任感のあるプリンセスだからです。

ヴァルターは王子ではありませんが、世の中には立場を優先する生き方があることも知っています。

自由に生きることが全てではなく、自分の立ち位置で務めを果たすことも立派な生き方です。

【小説の抜粋】 自分の立ち位置で務めを果たす

著名な社長令嬢で、何かにつけ特別扱いされるリズの最大の悩みは、同年代の女性と気軽に遊んだり、胸の内を明かしたりできないこと。

常に衆目に晒され、『アル・マクダエルの娘』らしく、清く、慎ましく、聡明であることが求められます。

周りには、「親の資産で、美味しいものを食べて、綺麗に着飾って・・・」と揶揄されますが、分かる人には分かるんですね。

彼女には彼女の役回りがあり、それに徹するからこそ尊敬もされること。

君は逆立ちしても『普通の娘』にはなれないよ。

生まれも育ちも、そこいらの女の子とは違う。

たとえ量販店の服を着て、港町のスタンドバーでビールを飲んでも、君が普通でないのは誰の目にも分かる。

俺の母もそうだった。運河沿いの小さな家で暮らしていても、他とはどこか違ってた。

でも、それでいいんだよ。君には君の生き方があって、ポジションがある。

皆と同じ平原に降りてこなくても、君の立ち位置から務めを果たせばいい。

そして、俺もその方がきっと好きだよ。

誰かにこっそり教えたい 👂
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