文芸– category –
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大層な空理空論を吐くくせに、人間として当たり前のことができない『天文学者』~イソップ寓話より
「ねえ、先生。空のものは見ようとなさるのに、地上のものは見ないんですかい」大層な空理空論を吐くくせに、人間としてあたり前のことができないような連中にこの話は適用できる。イソップ寓話の有名なエピソードより。 -
詐欺師は他人にも詐欺行為を勧める イソップ寓話『尻尾のない狐』
なぜ尻尾のない狐は、尻尾の価値を否定し、他人にも尻尾がない事を勧めるのか。それは尻尾のない狐が増えた方が自分に都合がいいからである。同じ理屈が世間でもまかり通っていないだろうか。尻尾の価値を全否定する主張は要注意である。 -
イソップ寓話『狐と鶴』 文化の違いと日本のお・も・て・なし
イソップ寓話集の『狐と鶴』といえば、「他人に意地悪をした者は、同じように意地悪をされる」という寓意で知られているけども、全文読めば、決してそれが主旨でないことが解る。 狐が油をたっぷり使った豆スープを平べったい石の皿に入れて、鶴を招待したが、鶴はご馳走になるどころか笑いものにされた。豆スープは液体で、鶴の細い嘴ではす... -
扇動政治家は祖国を内紛へと誘導する時、最も力を発揮する『水を打つ漁師』イソップ寓話集より
「しかし、こうやって川をかきまぜないと、俺さまが飢え死にせにゃならん」このように国の場合でも、扇動政治家は祖国を内紛へと誘導する時、最も力を発揮するのだ。ジョン・レノンのイマジンと併せて。 -
安逸な日常を疑え 『隣同士の蛙』イソップ寓話集より
隣同士の蛙が二匹、一匹は深くて道からも遠い沼に、もう一匹は道にできた小さな水たまりに住んでいた。沼の蛙がもう一方に、自分の側へ引っ越して来て、もっと楽しく安全な暮らしをするように、と勧めたが、こちらは、住み慣れた場所から離れがたい、と言って従おうとしなかった。そしてとうとう、通り過ぎる車に轢き殺されてしまった。 -
【詩】 Darkness 闇もまた優しい
陽が当たりそうで 当たらない そんな暗闇を生きている 生きることに意味があったのは 言葉も知らない 無垢な頃 何が私を変えたかは 遠い昔のことなので 語る気にもなれない 時々 蜃気楼のように 夏の日差しを思い出すぐらいで そうして私は 何度も闇に落ちる 悲鳴も上げずに 何度も 何度も 闇もまた優しい そこでは 希望を持つことも 忘れ... -
悲しみは、あなたを強く、優しくする
ある時、私の友人に悲しい出来事があって、心配になって電話したら、彼女がこんな風に言っていました。 「私には、こうやって、一人で辛い時に心配して電話してきてくれる友達がいる。それだけでも、なんて幸せなんだろうと思う」 それは私もお互いさま。 辛い時、悲しい時、互いに励まし、慰め合える友だちがいることは、本当に有り難いし、... -
立ち止まって初めて気付く過ちもある ~『頑張り』という現実逃避
海洋小説 MORGENROOD -曙光の主人公は、自分を傷つけたものに復讐したい一心で、がむしゃらに頑張りますが、とうとう自らの落ち度で、仕事も、信頼も、全てを失い、断崖に立ち尽くします。 しかし、大いなる海を見るうちに、心も慰められ、これまでの行いを内省するようになります。 一生懸命。 勤勉。 向上。 頑張り。 絶え間なく努力する人... -
存在理由 ~ただ存在するだけで愛される
意味があるから、役割があるから、愛されるわけじゃない 「どんな生き物も、別の世界に適応するのは大変なことだ。人間に限らず、魚でも、鳥でも、それぞれの身体に適した世界があって、その中で生きるように遺伝子にプログラムされている。どんな生命も、その星の土や水から作られていて、それらも含めて、自然のシステムを成している。たと... -
『世界は変わる。 変わると信じた人が 変えるのだ』人生の決意とコルネリス・レリーの志
心の海が凪いでいる 目の前は 未だ黒い雲が垂れ込め 水面には陽も射さないけれど それを見つめる眼は 不思議なほど穏やか まるで心の海を映し出すように 風は荒ぶり 波は切り立つ それでも彼は水際に立ち 一人静かにつぶやくのだ 「世界中で この海を生かせるのは 私しかいない」 心の海が凪いでいる 目の前の嵐とは裏腹に それは深く確かな... -
海は生きとし生けるもの すべての故郷
海洋小説 MORGENROOD -曙光では、故郷を襲った大洪水により、主人公のヴァルターは最愛の父と家をなくします。フランス人の母に連れられ、フォンヴィエイユという港町に引っ越しますが、日に日に悲しみは深まるばかり。そんな時、彼は母と海岸に出かけ、波音に耳を傾けます。母のアンヌ=マリーは、悲しみに暮れる彼の肩を抱き、「海があなた... -
「生きる」とは雪の中を泥だらけになって歩くこと
雪は、暖炉の傍らで、ホットチョコレートを飲みながら窓越しに見るから美しい. 右手に重さ2.5キログラムのジャガイモの袋、左手に直径17㎝の片手鍋とキャベツ一個、他にも、数種類の野菜や果物を持って歩く身には決して美しくない。 雪が深く降り積もれば、一歩前に進むだけでも大変だし、少し気温が上がって、一気に雪が溶け出せば、道全体... -
人生はまだ開かぬ薔薇のつぼみ
人生も、ミニバラも、つぼみを開く瞬間が最も苦しいという喩え。 -
努力が報われた時の悦びの涙 ~Tears of Joy
先日、枕を日干ししようとカバーを外し、陽にかざして見たら、何とも強烈な黄色いシミが幾つもあるのに気が付いた。それも拳大のものが、裏表ほぼ全面に。 なんだなんだ、これは!毎晩ヨダレをたらして寝ているワケじゃねえぞ! と思いながら、ここ数年の歩みを振り返ってみると、ああそう──涙して寝た夜のなんと多かったことか。 人は、いつ... -
明かり ~希望の見つけ方 河合隼雄の『こころの処方箋』より
前に河合隼雄さんの本で読んだ。 真っ暗な夜の海で遭難した釣り人たちが、 なんとか生き延びる道を探そうと、手持ちの明かりをあちこちにかざして見た。 ところが、なけなしの光はすべて闇に吸い込まれて、 自分たちがどの辺りにいるかという検討さえつかなくなってしまった。 そこで明かりを一斉に消してみた。 すると闇の彼方にぼんやりと... -
政治家 たんに就職しただけ ~セカンドキャリアとしての政治~
政治家、特に自民党の政治家の言動を見るたびに、私の頭にはある一つの言葉が浮かぶのだった。「就職」という言葉である。あの人たちはべつだん政治家になったわけではないんだな。たんに政界という特殊業界の中の、自民党という特殊会社に就職しただけの人たちなんだ。 -
『過ち』 ~旧石器捏造事件に思う
先日、『神の手』と称される、民間の考古学研究所員の旧石器捏造事件が発覚し、厳しく糾弾された。某氏は、「魔が差してやった。皆様に迷惑をかけて申し訳ない」と涙ながらに謝罪したが、考古学界に与えた衝撃は大きく、長年の実績や信用を揺るがしかねない大問題となっている。 もちろん、某氏の行いは糾弾されて然るべきものだし、他にも捏... -
『地獄 極楽 胸三寸』 なぜ地獄の亡者は永久に満たされないのか
『西洋絵画の主題物語〈1〉聖書編』によると、『天国』の絵はどれも似たり寄ったりで退屈なのに対し、『地獄』の方はどれも想像たくましく、生き生きとした名作が多いそうです。 実際、神や天使を描いた名画より、ヒエロニムス・ボッシュの「聖人を誘惑する奇怪な悪魔」や、フュースリの「夢魔」や、フランシス・ゴヤの「我が子を食らうサト... -
NHKスペシャル『宇宙 未知への大紀行』 宇宙を知ることは、自分を知ること
最初は「宇宙」を見ているが、いつしか、自分と向き合っているような気持ちになる。宇宙を知ることは、自分を知ることであり、未来を創ることなのだ、きっと。 -
物理学者と詩人と占星術師 ~世界は異なる個性と能力でバランスを保つ
人はそれぞれ個性も能力も異なるから世界はバランスを保っている。物理学者も詩人も占星術師も異なるスタンスで世界の謎を解き明かそうとしているだけで、意外と共通点は多いかもしれない。掲示板のトピックス『物理で80点以上取れる人ってどんな人なんだ』をテーマにした科学コラム。科学も究めると最後は神を見る。