映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』
作品の概要
ベスト・フレンズ・ウェディング(1997年) – My Best Friend’s Wedding
監督 : P・J・ホーガン
主演 : ジュリア・ロバーツ(ジュリアン)、ダーモット・マルロニー(マイケル)、キャメロン・ディアス(マイケルの婚約者キム)、ルパート・エヴェレット(ジュリアンのゲイの友人・ジョージ)
あらすじ
料理評論家のジュリアンは、男友達のマイケルと「28歳まで、お互いに独身だったら、結婚しよう」と軽い気持で約束していた。そして、28歳の誕生日を間近に控えた夜、マイケルから電話がかかってくる。てっきりプロポーズと思っていたら、「素敵な女性に巡り会った。四日後に結婚式を挙げる。ブライダル・メイト(花嫁の付添人)になって欲しい」というお願いだった。
そうなって初めてマイケルを愛していることに気づいたジュリアンは、あの手この手で二人の仲を引き裂こうとするが、逆にマイケルは純粋なキムに心惹かれていく。
これ以上、待てなくなったジュリアンは、マイケルになりすまし、キムの父親で大富豪でもあるウォルター・ウォーレスに偽のメールを送って、キムと仲違いさせることに成功する。
ところが、マイケルが追いかけたのは、ジュリアンではなく、キムの方だった。
果たしてジュリアンは本当の気持ちを打ち明け、マイケルと寄りを戻すことができるのか……。
見どころ
ジュリア・ロバーツが最高に輝いていた頃の珠玉のラブコメディ。20歳の大学生・婚約者を演じるキャメロン・ディアスも、とってもキュートで、マイケルが心惹かれるのも納得だ。
ジュリアンの緩衝材となるゲイの友人、ジョージを演じるルパート・エヴェレットも、相変わらずの色男ながら、ここではコミカル一面を見せ、全てがきれいに噛み合った、奇跡のような作品だ。
21世紀になってから、何かとマイノリティやジェンダーを意識した恋愛映画が多産される中で、本作は、結婚に憧れる女心をストレートに描き、非常に好感が持てる。
またゲイの友人、ジョージの描き方も、まるでイヤミがなく、自然にコミュニティに溶け込んで、格好いいのひと言。(これで十分じゃないの?)
今見返しても、まったく古さを感じさせない良作である。
愛は、気づいてからでは遅いもの
『最高の男友だち』
そういう人、私にもいた。
知り合って、10年。
何だかんだで、いつも一緒に行動し、将来や社会に関する真面目な話もすれば、下ネタや馬鹿話で笑い転げることもあった。
いわば、「一つの布団にくるまって、一緒に寝ても、何も起きない仲」。
私はいつも他の男の子に夢中だったし、あっちも途絶えることなくカノジョがいて、お互い、異性と意識することもない。
周りには「どうして恋人付き合いしないの?」「結婚すれば?」とさんざん言われたが、全然その気もなく、いつも平行線。
多分、男女の関係をもって、『友だち以上、恋人未満』の絶妙なバランスが壊れるのが怖かったのだと思う。
そうして、お互い社会人となり、その後も、時々、飲食を楽しむような関係を続けていたある日、彼に本命の恋人ができた。
突然、言い知れぬ喪失感に襲われた。
彼と過ごした10数年の歳月が、どっと胸に押し寄せてきた。
後悔しても、もう遅い。
何度も何度も、夢の中で再会しては、彼の左手の薬指にリングが光っているのに涙した。
一度も、意識したことはないが、多分、人生で最高のパートナーだったんだろう。(私が他の男性と付き合っていた時でさえ)
そんなわけで、初めて映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』を見た時は、我が事のように感じ、コタツの中で号泣した。
いろんな出来事がフラッシュバックして、しばらく立ち直れなかったほど。
こういう行き違いは、多分、万国共通なのだろう。
*
本作では、ジュリア・ロバーツ演じる料理評論家のジュリアンが、長年の男友だちであるマイケルと「お互い、28歳になっても独身だったら結婚しよう」という約束を取り交わす。
そして、誕生日の前、本当にマイケルから電話がかかってくるが、その内容は、「素敵な女性に出会った。四日後に結婚式を挙げる。君には花嫁の介添えとしてぜひ出席して欲しい」という依頼だった。そうなって初めてマイケルを愛していることに気づいたジュリアンは、四日間の間にマイケルを取り戻すことをゲイの友人ジョージに誓って、結婚式場へと旅立つ。
花嫁となる女子大生のキムは、美人で、性格も明るく、父親は有数の資産家だ。
マイケルは彼女に夢中だし、ちょっとやそっとで取り戻せそうにない。
「マイケルがあんなに素敵な男性とは思わなかった」と泣いて悔やむジュリアンに、友人のジョージは言う。
「君はマイケルを本当に愛しているのか? それとも他の誰かのものになったから、奪いたいだけ?」
よく「いいな」と思った男性は、結婚してるか、恋人がいるか、どちらかと言うが、パートナーのいる男性は、それだけで自然と成長するのだから、シングルの女性には素敵に見えて当たり前。
そこで、ジュリアンは、キムの前でわざとマイケルの思い出話をしたり、音痴のキムに無理やりカラオケを歌わせて、恥をかかせたり。あの手この手で、二人の仲を引き裂こうとするが、その度に、マイケルとキムの絆は深まり、ついには結婚式の日を迎える。
そして、まさに式が始まろうという時、ジュリアンはとうとう愛を告白し、ジョージに「私と結婚して」と迫る。
Choose me, Marry me, Let me make you happy.
私を選んで。結婚して。私にあなたを幸せにさせて。
私がこの場面が好きなのは、「Make me happy(私を幸せにして)」ではなく、Let me make you happy(あなたを幸せにさせて)だからだ。
マイケルも最後にはジュリアンに感謝するのも、この台詞ゆえだろう。
結局、マイケルとキムは手に手を取って新婚旅行に旅立つが、一人残されたジュリアンにも素晴らしいサプライズが待っている。
ラスト、ジュリアンの輝くような笑顔を見れば、「次はきっとあなたの番よ」と励ましたくなるはずだ。
つまらない意地を張って、大切なものを無くしたとしても、人生はそこで終わりではない。
劇中、馬鹿なことをしたと落ち込むジュリアンに、ホテルマンが言う、「すべてのことは過ぎ去る」。
それこそが、若さの特権ではないだろうか。
キャメロン・ディアスのカラオケは名場面ですね。本当に音痴だそうです(^_^;
若き日のルパート・エヴェレットが名門校で繰り広げられる権力闘争と禁断の愛を体当たりで演じるイギリス映画の秀作。共演のコリン・ファース、ケアリー・エルヴィスも美しい。目の保養になる。