ユキがワンワン泣いた時、いつも思い浮かぶのがこの言葉。
小さなユキは泣いて訴えるしか手段がないのだもの。
その泣き声から、お腹が空いているのか、オムツが濡れているのか、甘えたいのか、どこか痛いのか、判断するのが親の務めに違いないのだけど、はっきり言って、泣き声だけで分かる訳がない。
それで私たちは、あやしたり、オムツをチェックしたり、乳首をふくませたりするのだけれど、これが当たったり、当たらなかったり、非常に頼りない。
空腹だろうと思ってオッパイを飲ませようとすれば、首を振って、ワンワン嫌がるし、ウンチかなとオムツを開けてみれば、どこも何ともなかったりする。
首をひねる親の目の前で、尚もワンワン泣き続ける我が子。
泣きたいのは、こっちだよ。――と、時に。
親の心 子知らず 子の心 親知らず。
私だって、父や母の心は分からない。
父や母にさえ通じないものがあるように。
だから、同じ。
記 04年秋