生きている実感を感じられない人へ
このページを開いたあなたは、人生には常に何かしら感謝できるものがあることを、そして夫や恋人に対して感謝しなければならないことを、思い出してください。
愛する人がいるあなたにとって、いまはたいへん幸福で満足のいく時期でしょう。恋人と交際を始めたばかりのあなたは、その幸福な出会いに感謝しましょう。新しい出会いを求めているあなたは、これから出会う相手に感謝しましょう。
感謝するようになると、「悪いことばかりではない」と思えるようになります。もちろん、順風満帆の人生を送っていれば、心から感謝するのは簡単です。
けれども、逆境にあるときほど、ほんとうは感謝の気持ちが必要となってくるのです。
では、苦しい状況にあるとき、いったい何に感謝すればいいのでしょう?
日常生活のほんのささいなことから、宇宙の存在まで、すべてに感謝してください。生きていること。心臓が全身に血液を送り込んでいること。自分の頭で自由にものごとが考えられること。
すべてに感謝するのです。
愛に感謝し、愛する人が支えてくれることに、たとえ苦難のときが訪れても共に闘ってくれる相手がいることに、感謝しましょう。将来の見通しなどなくても人生の一時期を共に成長してくれる相手がいることに、感謝しましょう。日々、昨日とは違う自分が生まれています。自分のあり方を自分の意思で決定できることに、選択できることに、感謝しましょう。
ものごとのよい面に目を向けて感謝する人は、成長します。ものごとを斜めに見て、否定的に考えるほど、人生はどんどん悪い方向に流れていきます。その反対に、ものごとのよい面に目を向けるようにすれば、もっとよいもの、明るいもの、希望が見つかるのです。ですから、何かに感謝することで、人は希望を持って生きていくことができるのです。
新しい出会いを求めているあなたは、いま現在の夫や恋人に感謝しましょう。いまのあなたには、隣の芝生が青く見えているだけなのです。いまここで独身に戻ったらどうなるのか、よく考えてみてください。
いまの相手と別れることを決心しているあなたは、これまでの関係に感謝し、いっぽうで新しい道に進む自由があることに感謝しましょう。
感謝しなければならないことに気持ちを集中させてください。感謝の気持ちが日ごとに強まっていくのを自覚してください。
あなたが感謝の気持ちを向けるものは日に日に成長し、そして、あなた自身も成長することができるのです。
出典 : 感謝しよう ~生きている実感を感じられない人へ 『恋に揺れるあなたへ 56の処方箋』より
「ありがとう」はあなたを輝かせる
「感謝しよう」という話は、ラブ・ウィズダムに限らず、どこの世界でも言われていることだと思います。
しかし、自分を虐待してきた親とか、暴言を吐く上司に感謝するのは無理ですね。
「感謝が大事」でも、どうしても感謝したくない相手に、無理に感謝する必要はないし、まずは身近なところから始めたらいいと思います。
パネル操作を手伝ってくれたコンビニの店員さん、具合が悪い時、仕事を代わってくれた同僚、いつも笑顔で荷物を届けてくれる宅配のお兄さん。
「仕事だから、やって当然」と思い込んでいる人は、身近な人に、いっそう感謝の気持ちを向けてはいかがでしょう。「ありがとう」は誰でも言いますが、「おかげさまで助かりました」「いつも一所懸命で偉いね」「頼りになる方だと尊敬しています」とひと言添えるだけで、相手もあなたもハッピーな気持ちになるものです。
相手は「人間」でなくても、感謝すべき対象は身の回りにいっぱいあります。
春の暖かな陽気、やさしいせせらぎ、美味しい白桃、見ているだけで癒やされるペットちゃん。
たとえ、世の中酷いことばかりでも、生きているだけで、挽回のチャンスはあるものです。
もしかしたら、あなたが気付かないだけで、周りはあなたのことを心配しているかもしれません。
でも、それに気付かないのは、あなたが周りに心を閉ざし、「どうせ、私なんか」とひねくれているからです。
今すぐ素直になれなくても、身近にある小さな優しさに目を向けて、「今日食べるご飯があるだけでもありがたい」というレベルから始めたらいいと思います。
一日、一つ、「ありがたい」を積み重ねるうちに、自分の中に眠っている優しさ、希望、人間らしさが戻ってくるのではないでしょうか。
毎日が空しくて、文句ばかり言っている人は、自分ばかりが損をしていると思い込んでいます。
大変なのは皆同じなのに、自分だけが貧乏くじを引かされたと思うから、余計で貧乏神に愛されるのです。
そうではなく、あの人も、この人も、皆大変。でもそれぞれに頑張っている。小さなワンコや猫ちゃんでさえ、自分の人生を一所懸命に生きている……と思えば、少し見方が変わってこないでしょうか。
「ありがとう」と言う人の顔は、顔の良し悪しに関係なく、輝いて見えるもの。
心の中の「ありがとう」は、いつかその人全体を輝かせるものです。
Appreciation 感謝とは相手の良さを見出す気持ち
この章の原題は、Appreciationです。
appreciationには、「感動」「(良質なものを)味わう力」「十分な理解」「思いやり」といった意味があります。 [ジーニアス英和辞典第5版]
一般に、「感謝」といえば、thank you のイメージが強いですが、appreciationには、「良質なものを味わう力」とあるように、「ある物事の良さを見出し、心を動かす」というニュアンスがあります。
たとえば、スチュワーデスが乗客の依頼に応じて、毛布を持ってきてくれたら「Thank you」ですが、上司が部下の体調を気遣って、病欠の手続きに協力してくれたり、親戚の叔母さんが、実親の葬儀の時に積極的に動いてくれて、心の支えになった……というような場合は、appriciationですね。
「上司(親戚)なんだから、当たり前」と思えば、感謝の対象にはなりません。
しかし、上司の気遣いを理解すれば、ありがたさが身に染みると思います。
ラブ・ウィズダムの言う『感謝』とは、スチュワーデスが毛布を持ってくる親切と異なり、「自分から見出す感謝」です。
誰もが当たり前と思っていることに、相手の優しさや気づかいをくみ取り、ありがたく思う心の働きです。
そして、それがどれほど多くの人と自分自身を癒やすか、何気ない人の気遣いに救われた経験のある人なら分かるのではないでしょうか。
イライラして、余裕がない時、人に感謝するのは、それだけで心の負担ですが、ほんの少し、間口を拡げるだけで、ずいぶん生きやすくなるはずです。