愛の能力を使い方を覚えていくしかない フォースター『眺めのいい部屋』より

Man has to pick up the use of his functions as he goes along ――
especially the function of Love.

From “ A Room with a View” by E.M.Forster

『人生では、さまざまな能力を使ってみて、その使い方を覚えていくしかない
――とくに、愛する能力の場合は。』
“眺めのいい部屋”から E.M フォースター

ここでは能力と翻訳されていますが、『functions』には、「機能」「作用」「職務」とった意味合いがあります。

上記においては、「心のはたらき」とも訳せるかもしれません。

人は様々な「体験=心のはたらき」を通じて、精神的に成長し、人間として完成されてゆくものですが、この世におけるもっとも困難な「心のはたらき」とは、人を愛する能力だと思います。

世間では「愛」という言葉を簡単に使いますが、真実、「愛すること」を知っている人は稀でしょう

何故なら、「愛する」ということは絶え間ない努力と忍耐だからです。

人が人を好きになるのは簡単ですが、理解するとなれば相当な努力を必要としますし、まして「愛し続ける」となれば、大変なエネルギーを要します。

人は自分自身の為には惜しみなく心を注ぐことができますが、他人にはそうそう尽くせるものではないからです。

自分とは異なるもう一つの存在を、何の見返りもなく受け止め、理解し、慈しむことは、人間にとって一つの能力であり、失っても、間違っても、実際に使って覚えていく他ありません。

それは語学や計算と異なり、誰にも教えられないし、理屈で身につくものでもないからです。

もしかしたら、「愛する能力」を身につけた人こそ、最も優れた人かもしれませんね。

1999年4月15日 メールマガジン【Clair de Lune】より

誰かにこっそり教えたい 👂
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