小説– tax –
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新しい価値観
「楽しいことだけ考えて、安らかに暮らしたい気持ちは俺も同じだ。何かあっても、見て見ぬ振りができたら、どれほど楽か知れない。だが、それは俺の生き方では断じてないし、父の教えとも違う。そこから離れたら、自分が自分でなくなってしまう」 「それも分かるけど、その為に不幸になったら、本末転倒でしょう。あなたは新しい価値観を恐れ... -
君ならではの才能
「君も大変だね。偉い人ばかり相手にして」 「そうでもないわ。トリヴィアでもしょっちゅう経験してきたから。ここではカクテルドレスを着る必要がないだけ、まだましよ。愛情をもって見てくれる人もないのに美しく装うなんて、時々、虚しくなるわ」 「だが、それこそ君の才能だよ。誰もが君と同じように人の目を釘付けにできるわけじゃない... -
自分の気持ちをストレートにぶつけよう
「喧嘩しようと、尽くそうと、壊れる時は壊れるし、今にも壊れそうなものが案外長続きすることもあります。お嬢さんもあれこれ考えず、もっと自分の気持ちをストレートにぶつけてはいかがです? それから先のことは、その時に考えればいいではありませんか。お嬢さんも若いのですから、いくらでもやり直しが利きますよ」 海洋小説 MORGENROO... -
『力』ではなく、強さ
「お前は、たった一つの勘違いで、人生を台無しにしようとしている。それは強さに対する誤解だ。お前が身に付けようとしているのは「力」であって、強さじゃない。明日、『助けてくれ』と言えたなら、その意味が解るだろう。明日はプロとして操縦席に座れ。お前なら出来るはずだ」 海洋小説 MORGENROOD -曙光 -
人を救うのも人
人は裏切り、傷つけもするが、人を救うのもまた人だ。 自分から人に背を向けて、どうしてこの世で一事を成せるかね? 海洋小説 MORGENROOD -曙光 -
運命はあなたと共にある
「運命なんて、俺は信じないよ」 「あなたが信じようと、信じまいと、運命はいつでもあなたと共にある。あなたが少しでも心を開いてくれたら、運命はあなたに手を差し伸べることが出来るのよ。船の帆を孕ませる追い風のように」 海洋小説 MORGENROOD -曙光 -
海の鉱物と人間の可能性
アルが思い巡らせていると、リズが水色の瞳を瞬きながら言った。 「でも、パパは信じているのでしょう。そうでなければ、人生を懸けたミッションに、一年以上もブランクのあるパイロットを連れて来たりしないわ」 「彼には可能性があるからね」 「アステリアの海と同じね」 リズは目の前の海を見渡した。 「一見、何も無さそうだけど、深... -
愛は取引ではないけれど
「あなたはよく私に言ったわね。『愛は取り引きでも、所有することでもない。それはよく分かっているけど、僕はそれだけでは満たされない。勝手なのも分かってる。それでも側に居て欲しい』――だけど、誰もが『囚われの蝶』に甘んじられる訳じゃない。羽ばたく力があれば、外に飛び出そうとするわ。男の子なら尚のこと、いつまでも籠の中に居... -
ただ存在するだけで愛される
「どんな生き物も、別の世界に適応するのは大変なことだ。人間に限らず、魚でも、鳥でも、それぞれの身体に適した世界があって、その中で生きるように遺伝子にプログラムされている。どんな生命も、その星の土や水から作られていて、それらも含めて、自然のシステムを成している。たとえば、大昔は、鉱物資源の生成に微生物が関与しているな... -
感じることが全ての始まり
彼はまだ気難しい顔をして、口を一文字に結んでいたが、心は微かに波立っている。 今はそれで十分。 心が動けば、行動が生じる。 行動すれば、流れも変わる。 何かを感じ取ること。 それが全ての始まりだ。 海洋小説 MORGENROOD -曙光 -
一人ではどうしても開けなかった扉
一人ではどうしても開けなかったチャンスの扉が、彼女の力で次々に開けていく。 それを『運』と呼ぶなら、「意思こそ全て」と頑なだった態度が歩みを妨げてきたのではないだろうか。 彼は今更ながら彼女の存在に感謝し、一人で何もかも出来るような気持ちでいたのは間違いだと悟った。 他人を信頼して任せることと、甘えて依存することは、ま... -
自分を信じる
もっと自分を信じろ。自分で信じられないものを、誰が信じてくれる? アイデアの価値を見出すのも自分なら、形にするのも自分自身だ。 誰かが代わりにやってくれるわけでもなければ、答えを教えてくれるわけでもない。 そして、ひと度、生涯のテーマと定めたら、ぶれず、迷わず、やり通せ。 日々積み上げれば、必要な技術や資金は必ず後か...
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