人は心で生き、肉体で存在する
高卒でも生きられる ~18歳の若さと借金ゼロの強みの続きです。
やむなく高卒就職する事になり、気落ちしている皆さんに知って欲しいのは、『生きること』と『生存すること』は大きく異なる、という点です。
なぜなら、人は心で生き、肉体で存在するからです。
心だけでは、体がもたないし、身体は動いても、心が満たされなければ、生きている気がしません。
人は、心と体の両面で生きており、どちらを欠いても、生きていかれないんですね。
でも、どちらが「より大事か」と問われたら、まずは体が生きることが先決ではないでしょうか。
体が生きるには、食糧が不可欠ですし、安心して眠れる場所も重要です。
他にも、体を温める衣服、持ち物を保管するためのバッグや収納箱、風邪を引いた時の薬代、心身の清潔を保つためのシャワーやトイレ、その為の水道代、光熱費。
人ひとりがこの社会で生きていくには、実に多くのモノとお金を必要とします。
幸不幸はともかく、まずは体が生きてないと話になりません。
これを『生存』と言います。
世界を見渡せば、飢饉、疫病、貧困、戦争など、深刻な問題により、生存すら危ぶまれている人が数多く存在します。
日本国内も、例外ではありません。
今の世の中、生存するだけでも、非常にハードルが高いのです。
では、寝て、食べらることができたら、それで満足かと問われたら、人間はそれほど単純でもありません。
どうせ生きるなら幸せに生きたいし、やり甲斐のある仕事に就いて、自分の存在意義を実感したいと願います。
心が生きるとは、そういうこと。
人は「寝て、食べて、生存できればいい」というものではなく、人生の価値は、心の生き方にかかっている、といっても過言ではありません。
そして、この世では、「心が生きること」と「体が生存すること」を同時に充たすことは、非常に難しいのです。
『生きること』と『生存すること』を分けて考える
実家が裕福で、生存することに何の問題もない人は、生きることも簡単でしょうが、経済的に恵まれない場合は、心の充足も得にくいです。
やりたい事があっても、生活費を稼ぐのに精一杯で、そんな自分が惨めに感じられることもあるでしょう。
だからといって、全てを諦める必要はなくて、まずは『生存すること』に注力し、人生の基盤を築いてはいがでしょう。
実入りのいい仕事に就いて、暮らしが安定すれば、それを土台に、いくらでも好きなことができます。
最初の数年は、周りに差を付けられたみたいで、苦しく感じるかもしれませんが、若い頃の数年など、人生全体から見れば、ほんの一瞬に過ぎません。
それよりも、まずは長期にわたる生存戦略を立てて、どうすれば、この社会で生きていけるか、考えましょう。
一攫千金の有名人を目指すのではなく、月に一度は外食を楽しみ、年に一度は旅行に行けるような、普通の暮らしです。
今の時代、普通の暮らしを手に入れるだけでも、どれほど大変か、それを考えれば、「普通の暮らし」などと決して小馬鹿にできないはずです。
若くして、すでに生き甲斐を手に入れて、ドヤ顔で人生を語る人も少なくないですが、人は人、自分は自分、生存する為に働くことも尊いものです。
周りを見て、自分だけ何もしてないみたいに焦るのではなく、いったん、『生きること』と『生存すること』を切り分けて考えましょう。
この社会で生き延びる術を確立すれば、そこから先は、余裕をもって、自分の人生を考えることができます。
趣味に打ちこんでもいいし、まったくジャンルの異なる勉強や副業にチャレンジしてもいい。
人生の礎さえしっかりしておれば、途中で躓いても、何度でもやり直しが可能です。
今すぐ「やりたいこと」や「好きなこと」が見つからなくても、とりあえず食うに困らなければ、人生の楽しみ方はいろいろありますし、中高年になってからSNSでブレイクする人もあることを思えば、今すぐ、この時にこだわる必要は無いのではないでしょうか。
やりたい職業がなければ、どうやって生活していくか考えようにも書いているように、とにかくこの社会で生存できないことには、何もなりません。
そして、その方法について考えることは、人生の目標や生き甲斐についてドヤ顔で語るより、もっと重要です。
生き延びることを第一に考える
補足になりますが、現代の進路相談の最大の弊害は、『生存すること』を軽んじて、「生きること」と「生存すること」を一致させることが目的になっている点ではないでしょうか。
この社会で生存するには、人が嫌がる仕事に就く必要もあるし、そうした働き手がなければ、社会そのものが回っていかない職業もたくさんあります。
誰もが食べていくのに必死な時代、定職に就いているだけでも立派ですし、収入が低いからといって、人に蔑まれる覚えもありません。
それよりも、今、自分が自立し、それなりの稼ぎを得て、社会の真ん中で生存している事実の方が、生き甲斐探しより100倍大事です。
たとえ好まぬ仕事でも、無いよりは有る方が助けになるし、生活が立つ限り、次のステージに向けて努力することもできます。
高卒就職は最初の一歩、それで人生の全てが決まってしまうわけでもありません。
夢を追うのも、趣味に生きるのも、確たる暮らしがあってこそ。
その為の生存戦略として、いったん就職することに、何の間違いもないはずです。
定年まで同じ会社で勤め上げることが美徳とされた昭和と違い、今は転職や社会人入学も当たり前、オンラインで海外の大学の無料講座も受けられるような時代です。
最初の一歩で、大卒に差を付けられたからといって、それを死ぬまで持ち越す訳がありません。
前の話でも述べたように、18歳から22歳の四年間は、中高年の10年分の価値があります。
その中で、小銭を貯めながら、次のステップの準備をすることは、決して敗北ではないし、むしろ経験と貯金を得られて、良い事づくめではないでしょうか。
大卒のキラキラした成功談に目を奪われるのではなく、どうかご自身で世間を見まわして下さい。
あなたが思ってる以上に、高卒で活躍し、幸せに暮らしている人は多いはずですよ。