ホラー&サスペンス– tag –
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映画『エクソシスト』~悪魔は嘘に巧妙に真実を織り交ぜる
悪魔の言うことに耳を傾けてはならない。悪魔は嘘つきで、真実を嘘に巧妙に織り交ぜる。現代の悪魔は言葉の中に潜み、弱った人の心に囁きかけて搾取する。ポスターの元となったルネ・マグリットの名画『The Empire of Lights』と併せて。 -
映画『魔界転生』転生は人間の弱みにつけこみ、命を弄ぶ(1981年)沢田研二&千葉真一
徳川幕府に復讐を誓う天草四郎時貞は細川ガラシャ、宮本武蔵、伊賀の霧丸らを魔界衆に引き入れ、国内を混乱に貶める。絶頂期の沢田研二と千葉真一らの剣術が素晴らしい角川映画の傑作。コラム『『転生』は人間の弱みにつけこみ、命を弄ぶ』と併せて。 -
愛すべきキャラクター「リスベット」二大女優の個性が光る 『ドラゴン・タトゥーの女』
複雑なパーソナリティを有する天才ハッカー、リスベットは、虚偽の汚名を着せられたジャーナリスト、ミカエルと組んで、大富豪から依頼された少女失踪事件の解明に挑む。謎解きよりもリスベット・サランデルというキャラクターの造形に情熱が感じられる秀作。 -
映倫のボカシがぼかした作品の本質 サイコスリラーの傑作『羊たちの沈黙』
バッファロービルは性倒錯ではない。自分自身を嫌って『変身』を望んでいる。推理の鍵となる女装ダンスの場面(被害者の生皮を被って鏡の前で全裸で踊る)に挿入された映倫のボカシのせいで、作品の本質までぼやけてしまった日本の劇場公開版に対する異議を動画と画像で説く。 -
映画『イベント・ホライゾン』 美しきSFゴシック・ホラー ~モフィアスの前哨戦
映画『イベント・ホライゾン』は90年代を代表するSFゴシック・ホラーの異色作だ。 『エイリアン』に似たダークな美術に、色形を持たない悪の表象。どこか映画『シャイニング』を思わせるグロ&スプラッタに、王道的な結末。 視聴者の中には「盛り上がりに欠ける」「二番煎じ感が否めない」といった理由で低評価をつける人も少なからずあるが... -
ヒポクラテスの誓いと良心の呵責 『殺意の誓約』(2016年)
優秀な外科医フィンヌルは娘アンナの恋人がヤクの売人であり、娘も薬物依存症であることを知って、別れを迫るが、逆に手切れ金を寄越せと脅される。切羽詰まったフィンヌルは、恋人を拉致し、殺害することを計画するが、意外なところからアリバイが綻び始める。 -
老いらくの恋こそ盲目 ~人生の結果をいかに引き受けるか 映画『鑑定士と顔のない依頼人』
美術鑑定士ヴァージルは若い令嬢から美術品の競売を依頼される。顔を見せない依頼人に次第に心惹かれるが、そこには巧妙な罠が仕掛けられいた。老いらくの恋で嘘が見抜けなかった老人の悲哀を描く。 -
人生とは霧の中を走るが如く 映画『ミスト』(スティーヴン・キング原作)
霧の中に奇怪な生物が現れ、人々が襲われる。スーパーに閉じ込められたデヴィッドとビリーは必死で逃走を図るが、一人また一人と命を落とす。疑心暗鬼に陥る人々の心理面にフォーカスした恐怖ドラマ。不条理なエンディングは映画史に残る衝撃である。コラム『人生とは霧の中を走るが如く』と併せて。 -
神を笑うなかれ 修道院ゴシックホラーの傑作『薔薇の名前』 ショーン・コネリー主演
ゴシックホラーの異色作。高邁な修道僧ショーン・コネリーと若きクリスチャン・スレーターが厳格な修道院で起きる連続殺人事件に挑む。殺害の理由には中世キリスト教における『笑い』が秘められていた。なぜ僧は笑いを禁じられたのか、笑いと神にどんな関係があるのか、映画のスクリーンショットを交えて解説するレビュー。 -
現代の魔女狩りとキャンセルカルチャー 映画『アダムス・ファミリー 1 & 2』(1991年~1993年)
ブラックユーモアとゴシックホラーが融合したコメディで一世を風靡した映画『アダムス・ファミリー』も、キャンセルカルチャーの嵐が吹き荒れる現代にはとても放映できないというコラム。#1000文字 映画評 -
石岡瑛子さん追悼 フランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』~不滅の愛を描く~
フランシス・コッポラの描く『ドラキュラ』はホラーを超えた愛の物語である。悪魔と知りながら恋に落ちるミーナ、愛欲に狂いながらも「愛するあなたをこんな苦しみの世界に引き込むことはできない」と吸血することを躊躇うドラキュラ。ゴシックとエロティックが織りなす幻想的な背景に、日本人デザイナー石岡瑛子の卓抜した衣装デザインが花を添える。 -
お説教ホラー映画『ソウ』 が失敗した理由 ~死のトラップを克服しても、人間は変わらない
被害者を拷問にかけ、Live or Die. Make your choice(生きるか、死ぬか、決断しろ)の名台詞で命の尊さを悟らせる猟奇殺人犯ジグソウ。だが死と向かい合った者は本当に改悛し、生きることに感謝するようになったのか。異色のシリーズ作の特徴を動画で紹介。コラム『死のトラップを克服しても、人間は変わらない』 -
父(夫)の家庭内暴力を描く 映画『シャイニング』
失業中のジャックは妻子を伴って山上の高級ホテルで冬期管理人を務めるが、次第に正気を失い、斧を片手に妻子に襲いかかる。父親の内に潜む暴力性とその発露を恐れる息子の恐怖をシンボリックに描いた心理劇。 -
神への回帰と殺してもいい権利 映画『セブン』と七つの大罪
キリスト教における七つの大罪「大食」「強欲」「怠惰」「色情」「高慢」「嫉妬」「憤怒」に基づいて猟奇殺人を繰り返すジョン・ドゥは、社会に害悪をもたらす罪人は死ぬべきだと主張する。殺してもいい権利は存在するのか? 映画の見どころとコラムを掲載。 -
サイキック少女と毒親の破滅を描く 映画『キャリー』(原作スティーブン・キング)
狂信的な母親に支配される娘の悲劇を描いたホラー仕立ての青春ドラマ。心優しいキャリーは学校で酷いイジメに遭いながらも幸せを夢見てプロムに参加する。だが彼女を妬む級友の仕業で血みどろに。キャリーの怒りが爆発し、プロム会場は地獄絵と化す。 -
心の醜悪は外見に現れる ~嫉妬に狂った男の悲劇 映画『ザ・フライ』
天才科学者セスは物質転送機『テレポッド』の開発に成功するが、恋人の過去に嫉妬するあまり、自棄を起こして、自らを実験台にする。だが、ポッドの中には一匹のハエが紛れ込んでいた。 -
金か、命か 大富豪の醜怪な内面を描く 映画『ゲティ家の身代金』
世界一の富豪ポール・ゲティ石油王の孫が誘拐される。犯人は巨額の身代金を要求するが、ゲティは支払いを拒否。苦悩する母親アビゲイルは粘り強く交渉を続けるが、誘拐された孫の耳が新聞社に送りつけられて、事態が一転する。#1000文字 映画評
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