25年目の再結成にあたって
2010年の思い出話です
あの伝説のロックバンド(私の中では今でも当たり前の存在なのだけど)、『ザ・ポリス』が再結成して世界ツアーを再開したそうですが(2010年)、長年のファンである私としてはちと複雑な心境です。
だってさ、ヴォーカリストのスティングとドラマーのスチュワート・コープランドが決定的に仲違いして、それが元で解散したわけでしょ。その後も、お互いに悪口を言い合ってたとか何とかで、「こりゃもう再結成なんて夢のまた夢だろう」と思っていたら、再結成の運びになったワケですからね。
皆さん、年を取って、人間が円くなったのかしら。
あるいは、昔のコトは水に流して、この際、皆でもう一儲けしようとか。
いやいや、スティングのことだから、何か深い訳があるのでしょう。
私はそう信じたいけど、一番再結成して欲しくなかったバンドが再結成に至って、何とも言えず、ブルーな気分です。好きな気持ちに変わりはないですけど(泣)
売れに売れていた頃の、パンクなスティングが一番好きだった。
25年後。それぞれに年を重ねて、屈託のない笑顔。
やはり、これが人生なのか……。
スティング & ザ・ポリスへの想い
知的な女の子のピンナップスター
かつて「知的な女の子のピンナップスター」と呼ばれたスティングと、今や伝説となったブリティッシュ・ロックバンド、ザ・ポリス(THE POLICE)。
これほど恋いこがれ、夢中になった男性アーティストは、後にも先にも彼一人だ。
今でこそ貫禄のある大人のシンガーとして、啓蒙活動家の側面も見せるスティングだが、ザ・ポリスの全盛期は、私にとって「やんちゃなインテリさん」であり、解散後、独立してからは、男の色気が匂い立つような「セクシーで知的な男性」だった。
Someday Somewhere (いつか、どこかで) と想像するだけで、英語の歌詞が、水が砂に染み込むように頭の中に吸収されたもの。
私の夢は、いつか欧州行きの飛行機の中で、スティングと隣り合わせになることだったのだ。(有り得ないことを思い描くことを『夢』という)
結局、出会えたのは、スティングではなく、今のダンナだったけど(爆)
学がないにもかかわらず、若干の英語が話せたのは、スティングとザ・ポリスのおかげだ。
今でも口ずさむのは、彼の歌である。
近年は「保守的になったなあ」と感じることが多く、80年代のハチャメチャな頃が懐かしいのだが、彼がいなくなったら私も死ぬ~、と言うくらい、彼の存在は大きい。
おじいさんになったスティングを見るのは若干辛いけど(。・・)
どうか夢かなって、いつかお目にかかるまで、長生きして下さい。
ヒット曲『マジック』の魅力と歌詞
数あるザ・ポリスのヒット曲の中でも、私が一番好きなのが『Every little thing she does is Magic (邦題「マジック」)』だ。
スティングのラブソングといえば、『Every breath you take(邦題「見つめていたい」)』が圧倒的に有名だが、メロディは『マジック』の方が断然いい。なぜ前者の方が人気なのか、私には理解不能だが。
ちなみに、スティング自身は、「『見つめていたい』は醜い嫉妬心を歌ったもの。皆が思い描くような、素敵なラブソングじゃない」とコメントしており(バイオグラフィーで読んだ)、私もそう思う。
『マジック』は、トロピカル風のMVも印象的で、ギタリストのアンディ・サマーズとおふざけするスティングがすっごく可愛くて、メロメロでした。
スティングのピンピンと立つアホ毛も、とってもキュートです。
すでにスチュワート・コープランドとは目を合わさず、手を叩いている仕草に、その後のザ・ポリスの崩壊を予感させますが、ビジュアル的にはこの頃が一番アイドルっぽくて、好きでした。
歌詞もロマンティックで、過去のヒット曲からは想像もつかないようなラブソングに仕上がっています。
Of the feelings I have for her in my heart
Every time that I come near her
I just lose my nerve as I’ve done from the start
Every little thing she does is magic
Everything she do just turns me on
Even though my life before was tragic
Now I know my love for her goes on
Do I have to tell the story
Of a thousand rainy days since we first met
It’s a big enough umbrella
But it’s always me that ends up getting wet
Every little thing she does is magic
Everything she do just turns me on
Even though my life before was tragic
Now I know my love for her goes on
I resolved to call her up
A thousand times a day
And ask her if she’ll marry me
In some old fashioned way
But my silent fears have gripped me
Long before I reach the phone
Long before my tongue has tripped me
Must I always be alone?
Every little thing she does is magic
Everything she do just turns me on
Even though my life before was tragic
Now I know my love for her goes on
Every little thing she does is magic
Everything she do just turns me on
Even though my life before was tragic
Now I know my love for her goes on
Oh yeah, oh yeah, oh, yeah
Every little thing, every little thing
Every little thing, every little thing
Every li’le, every li’le, every li’le
Every little thing she does
Every little thing, every little thing
Every little thing, every little thing
Every li’le, every li’le, every li’le
Every little thing she does
この想いを何度も彼女に打ち明けようとするけれど
彼女の側に来るだけで ドキドキしてしまう
彼女のどんな小さな仕草も 魔法のようだ
為すことすべてが 僕をクラクラさせる
彼女に出会う前の人生は みじめなものだったけど
今では 僕の愛が 日に日に深まっていくのを感じる
僕たちが初めて出会った日から
幾千ものうかない日があったことを話すべきだろうか
大きな傘をさしてはいるけど
いつも濡れるのは僕の方なんだ
一日に何千回も君に電話をかけ
古典的なやり方で 君に結婚を申し込めば 解決するのだろう
だけど 不安が僕の心をとらえて離さない
君に電話をかける前に
バカな事を口にして失敗する前に
僕は一人でいるべきなんだろうか
アルバム『ゴースト・イン・ザ・マシーン』
『マジック』は、ザ・ポリスの四枚目のアルバム『ゴースト・イン・ザ・マシーン(Ghost in the Machine)に収録されています。
これからそろそろデジタル化……という時の作品なので、未来を感じさせる、デジタル仕様のグラフィックデザインも印象的。
全米アルバム・チャート1位に輝いた三枚目『ゼニヤッタ・モンダッタ』(『ドゥ・ドゥ・ドゥ・ディ・ダ・ダ・ダ・』『高校教師』『ウォーキン・イン・ザ・ムーン』が有名)と、グラミー賞受賞の『シンクロニシティ』の間のアルバムなので、いまいち影が薄いが、精神世界と物質世界の関わりを歌った『マテリアル・ワールド(Spirits In The Material World)』、北アイルランド紛争をモチーフとし、社会問題にもなった『インヴィジブル・サン』、冷戦下の不安を歌う『ワン・ワールド』など、メッセージ性の高い楽曲が収録され、人気ロックバンドとは思えない異質なアルバムに仕上がっている。 リンク先は、公式YouTube。
個人的には、社会派シンガー・スティングの足がかりとなる、実験的な一枚。
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ザ・ポリスとスティングの名声を不動のものにしたグラミー賞アルバム。映画『デューン 砂の惑星(リンチ版)』にインスパイアされたMVも印象的なロックの名曲。
ザ・ポリスの『シンクロニシティ』を旅する -ロック史に残る名盤
一度聞いたら忘れられない個性的なリズムとメロディが印象的な初期の傑作。ザ・ポリスとスティングの歴史を知る上で欠かせない一枚。
ザ・ポリス&スティングの聴き方 『孤独のメッセージ』と『ウォーキング・オン・ザ・ムーン』
CDとSpotifyの紹介
シンクロニシティ
初の全米トップ3「マジック」を含む、ポリスの4作目。スーパー・スターとしての名声を確立したアルバム(1981年作品)
シンセサイザーの導入で今までのイメージを一新させ、アルバム・タイトルをコンセプトにしたトータリティある作品で、レゲエ色を極力抑えたタイトな演奏も素晴らしい1枚。
それまではウケ狙いっぽい作りだったが、この4作目あたりから、いよいよスティングの哲学志向が頭を持ち上げてくる。
前3作の成功で自信をもった彼らが、「本当にやりたい音楽をやり始めた」といった感じだ。
タイトルの「物質世界の神」は、まさにその方向性を要約している。(確かスティングが読んだ哲学書の中の言葉)
「頭の軽いロックシンガー」のイメージから逸脱し、メッセージ性を重視した音楽作りが垣間見える、過渡的な一枚だ。
The Police Anthology
数々のヒットを飛ばした80年代を代表するスーパー・グループ、ポリスの2枚組ベスト・アルバム。
「見つめていたい」「高校教師」など、24曲が収録されている。
Stingに言わせれば「ヤクザなベスト盤」らしいが、ポリスを知らない人には最適の入門編。
映画『ムーラン・ルージュ』で使われ、再び注目を集めた初期のヒット作『ロクサーヌ』をはじめ、ロン・カーターをも唸らせたスティングのベースが光る『ウォーキング・オン・ザ・ムーン』、同じポリスの音楽とは思えないpop調の『マジック』など名曲ぞろいだ。
「ああ、なんで解散しちゃったんだろう、まだまだやれそうなのに、もったいない」と思わせるところが彼らの戦略であり、ポリスの限界だったのかも。
ともあれ、伝説となってしまった今はベスト盤を聴いて自らを慰めるしかない。合掌。