国際遠距離恋愛が始まった時、先の事は何も分からなかったけど、一つだけ心に決めていた事があります。
それは、「何年もだらだら付き合わない」という事です。
恋に賞味期限を設けるのもおかしな話と思われるかもしれませんが、いつでも顔を合わすことのできるご近所恋愛と違って、遠距離恋愛はカフェでお喋りしたり、海岸を散歩したり、日常を共有する機会も限られます。
いくらチャットやSNSでコンタクトが取れても、相手の身振り素振りを直に確かめながら間近に話すのとカメラ越しでは伝わり方も違いますし、時差の壁もあります。
メールや電話ではぎくしゃくすることも、一杯のコーヒーが二人の仲を和ませることもありますし、それまで気まずかったのに、道端で面白いパフォーマンスを見かけて、思わず笑った……というようなこともあります。
しかし、離れていると、そうしたバッファーもありません。
愛の絆は、日常の小さな体験の積み重ね。
泣いたり、笑ったり、拗ねたり、仲直りしながら、二つの心が紡ぎ出す一つの宇宙です。
そのプロセスが思うように作れない遠距離恋愛は、どうしても恋のハードルが高くなってしまうわけですね。
遠距離恋愛に限らず、ご近所恋愛でも、「友だち以上、夫婦未満」のまま、何年もずるずる付き合いを続けて、女性が30代半ばに達してから突然別れを告げられるケースも少なくありません。その理由が「君はもう若くない(=子供が産めない)」みたいな話なら、泣くに泣けないですよね。
でも、現実に、こういう話はあるのです。本人は良くても、相手の両親が難色を示したりね。
理想をいえば、結婚が全てではないし、自分の納得いくようにすればいいんですよ。
でも、あなたが真剣に結婚や出産を望むならば、若い時間は何よりも大事にしなければなりません。なぜなら、身体的に、女性が結婚して、妊娠・出産できる期間は限られているからです。
もちろん、人によって年齢の前後はありますが、20年も、30年も、のんびり構えておれるほど、現代の結婚事情は甘くありません。
特に男性は、就職も収入も厳しくなって、昔みたいに勢いだけで結婚に踏み切るほどの余裕もありません。
男女が一緒に暮らすだけなら、40代、50代でも結婚はできますし、60代、70代のシルバー婚も、現代では何の違和感もありません。
しかし、妊娠・出産・子育てだけは気合いや愛情だけで何とかなるものではありません。たとえ気持ちは若々しくても、身体は確実に年をとっていくからです。
仮に40歳で子供を産んだら、子供が大学生になる頃、あなたはもう60歳です。ご主人も定年間近です。それでもまだ高い授業料を払い続け、後に控える弟や妹の分まで学費や生活費を工面しなければならないとしたら、大変なプレッシャーです。これに老親の介護も加われば、ダブルパンチです。
50代ならまだ体力もありますが、60代になれば、自分も病気して、下手すれば介護が必要な年代です。そんな年齢で、大学の学費や、住宅ローンの残りや、老親の世話や、あれもこれもこなせると思いますか?
気合いだけで何とかなるのは、保育も介護も外注できる、お金のある女性だけです。たまにメディアで「45歳の私でも妊娠・出産できた」みたいな話を見かけますが、それは全国区で名の知れた女性タレントだからこそ出来ること。お金もある、ステータスもある、子供を産めば、CM目的で新たなスポンサーも付く。そんな身分なら、ベビーシッターでも、家政婦さんでも雇って、家事も育児も分担し、自分の好きな仕事も続けられるでしょう。
しかし、手取り20万あるかないかの庶民の女性が、同じように考えてはいけません。子供一人育てるだけでも大変な時代なのですから。
そういう意味で、恋にも賞味期限を設けるのは、自分の為でもあり、相手の為でもあります。先が無いなら、きれいさっぱりお別れして、お互いにふさわしい相手を見つけた方が時間を無駄にせずに済みます。
もし、相手が何も切り出さず、考えている風でもなければ、一度、こちらから意思表示しましょう。
自分は結婚したいけど、あなたはどう思っているのか、と。
その時、「焦ってる」だの「結婚に逃げてる」だの、女性を責め立て、はぐらかすようであれば、そんな相手はさっさと見切りを付けて、他の誰かを探した方が利口だと思います。適齢期の女性が結婚や出産を意識するのは当たり前、それを思いやりもせず、非難するのであれば、それは男性側の認識が完全に間違っています。そういう人と無理に一緒になっても、今度は別の場面で、男性の思いやりのなさに愕然とするかもしれません。
また、男性は女性ほど子作りの年齢を意識しませんから、居心地がよければ、いつまでもだらだら付き合い続けることができます。
「あと一年待ってみよう」「半年だけでも様子を見よう」と男性が決心してくれるのを期待する気持ちも分かりますが、いつまでたっても煮え切らない人とだらだら付き合っても、時間を無駄にするだけですよ。
そして、一度、意思表示したら、後はごちゃごちゃ言わずに、彼が返事をくれるまで待ちましょう。
彼の返事があなたの望み通りでなくても、深読みしたり、取り乱したりせず、「そのまま」受け止めること。
駄目なものは、駄目。
その気がないのは、どうしようもない。
辛くても、腹を括ることです。
作詞家の秋元康さんがこんな風に言っています。
『本物の赤い糸は、ブンブン振っても、切れないものだ。彼のことが本当に好きなら、恋を過保護にせず、一度、ブンブン振ってみてはどうか。切れてしまえば、君の赤い糸の人はどこか他の所に居るというだけの話じゃないか』
破局を恐れる余り、面と向かって結婚の話をすることを躊躇う人もありますが、言うべき時に言わないと、時間ばかりが無駄に過ぎていきます。
秋元さんの言う通り、確かな絆があれば、彼との間に一悶着あっても、最後には収まるところに収まるはずですよ。