原哲夫氏の時代劇漫画『花の慶次』(作:原哲夫)に、戦国の定めによって思いを遂げる事ができなかった武士に対して、主人公の慶次が『結ばれるだけが恋じゃないさ』と慰めるシーンがあります。
恋を語った言葉の中で、私が特に気に入っているものの一つです。
恋をして交際が深くなると、誰もが、
「この先、私たちはどうなるの」
「彼は将来の事をどれくらい真剣に考えているの」
といった不安にかられるもの。
中には結論を急ぎ過ぎるが為に、彼に同棲や結婚をほのめかし、それが原因で別れに至ったり、気まずくなるカップルも少なくありません。
しかし、結ばれるばかりが恋ではありません。
恋に結果ばかり追い求めると、自分自身はもちろん、相手の気持ちも見失います。
物事を自分の思う通りにコントロールしようとして、余計で事態を悪化させるかもしれません。
先が見えないからこそ、結果にこだわらず、『今』というこの瞬間を楽しむことが大切なのです。
物事には、成就するにふさわしい時期があり、プロセスがあります。
どうあがいても動かない時は動かないし、人生には、じっと嵐が過ぎ去るのを待つしかない時期もあります。
その度に「こんな辛いことには耐えられない」と自分から投げ出し、新しい出会いに期待しても、上手くいきません。
それより、恋愛中に、自分が感じたり、考えたりしたことを大切にしましょう。
大人の女性として成長し、相手にも感謝できたなら、たとえ失恋に終わっても、とても誇らしいことです。
私たちは目隠ししながらマラソンしているようなものです。
その道がどこまで続いていて、どこで折れ曲がっているのか。
先にはどんな障害物があって、どんなゴールにたどり着くのか。
今、自分がどの地点を走っているかさえ、本人には分かりません。
分かるのは、先の見えない道と、必死で走る自分の息づかいだけです。
目隠しが取れて、道の全容が見えるのは、まさにゴールに辿り着いた瞬間なのです。
男女が出会ったら、結末は二つしかありません。
『結婚するか』『別れるか』です。
どんな人も、死ぬまで添い遂げられるのは『一人だけ』。
相手がその一人でなかったら、終わるのは自然な成り行きです。
もし、今の彼と別れることになっても、それは運命の相手に巡り会うための、一つのプロセスに過ぎません。
あなたの人生も、そこで終わりではないんですね。
ある意味、『先が見えない』というのは、神さまの情けです。
もし道の先が険しい坂になっていると分かったら、あなたは走るのを止めてしまうでしょう?
先が見えないからこそ、最後まで完走できる道もあります。
人生を変える出会いは、一つの道を走り終えた先にあります。
辛いと言っては途中で投げ出す人に幸せな結末はありません。